ようこそ スラ男村

なまけたろうと登山ブログ

【山梨】向山~三頭山 奥多摩随一のブナ林と紅葉登山

11月3日「文化の日」は晴れの特異日ともいわれ、晴天になる確率が多い日です。近年はその前後のほうが晴れる傾向にあるそうですが、いずれにせよ11月初週は快晴登山にうってつけということです。

同時期に関東圏の標高1,000~1,500mあたりの山で紅葉がピークを迎えるので、タイミングもばっちり。今回は久しぶりに奥多摩にスポットを当ててみました。

圧巻のブナ紅葉が広がる三頭山・裏ルート!

 

どうも、スラ男です。

 

今回は、東京都と山梨県に跨る三頭山(みとうさん)を、山梨側の向山(むかいやま)を経由して歩いてきた時のお話です。

三頭山の東京側は「都民の森」として整備され、観光客からベテランハイカーまで多くの人で賑わっています。東京側の自然風景ももちろん素晴らしいのですが、それを遥かに上回るのが山梨側から登ると出会える美しいブナ林。

錦に染まるブナの天幕が今でも目に焼き付いて離れません。

 

■向山~三頭山(2022年11月3日)

 

余沢バス停から登る紅葉の穴場、向山

朝一番の電車でやって来たのは、JR奥多摩駅。紅葉シーズンの週末ともなれば、怒涛の改札ダッシュに競り勝たなければバスに座ることはまずできないでしょう。

そのせいもあって、なかなか奥多摩駅をゆっくり見られたことないんですよね…

人気の川苔山方面行きのバスではなく、三頭山に行く場合は小菅の湯行きのバスに乗車。しかし、こちらもなかなかの混みよう…もしかしたら、牛ノ寝通りに行かれる方が多いのかもしれませんね。

と思っていたら、ほとんどの乗客が手前で降りていきました。今回のスタート地点である余沢バス停で降りたのはぼく含め2人だけ。

先を急ぎたいところですが、目の前にあった神社の黄葉があまりにも見事だったので寄り道。

おお、御嶽神社だ!この名前を見るとつい狼像を探してしまいます。

バス停から少し戻り、供養塔のある分岐を小菅川に沿って下っていきます。原始村というキャンプ場を目指していけば迷わないでしょう。

途中で見た北側の山肌が見事!これぞ錦繍の秋!といわんばかり。確かあの辺は鹿倉山(ししくらやま)がある方のはず。気になりますねえ。

余沢バス停から10分ほど歩くと、今回の登山口が見えてきました。別名「オマキ平」と呼ばれる向山の登山口です。

目の前にはトイレもあるので、ここで準備を整えてから出発!ちなみにぼくとベテランっぽいおじいさん以外誰もいません。

序盤は薄暗い針葉樹林帯をつづら折りに登るので、ここは辛抱強く。でも奥多摩をよく歩く人には親しみを感じる道な気がします。(笑)

つづら折りを登り切ったところで、朝日に照らされた黄葉が飛び込んできました。うひょー!これこれ!

なんと!?ここはかつて「大多摩ウォーキングトレイル」のコースだったそうです。調べてみると、今から30数年前に作られたコースのよう。いわれてみれば「点」の文字が古い字体です。

現在は歩く方もほとんどいない静かな道ですが、ところどころで往時の面影が感じ取れます。

太陽が上がってくるとともに、森の中に黄金色の光が差し込んできました。明るい紅葉樹林、最高です。

背の高い樹木が多いのは、どこか牛ノ寝通りを彷彿させますね。やっぱり山域が近いから似るのでしょうか。

ザクザクと落ち葉を踏み鳴らして標高を上げていくと、真っ平らな広場にたどり着きました。なるほど、ここがオマキ平かな?

登山道に沿ってぐるりと回りこむと、余沢方面と三頭山方面を分ける道標が立っており、この奥が向山です。

本日最初のピーク、オマキ平こと向山に到着です。11月初週、狙い通り標高1,000m付近の紅葉ドストライク!

ちなみに向山には展望台があり、かつては登ることができたようですが、老朽化により現在は立入禁止でした。

※10年前くらいのレポートを見てみると、この付近にも通行止めの貼り紙があったようですが、ぼくが訪ねた時点では見当たりませんでした。

赤色、黄色、緑色、秋真っ盛りの景色にダイブ!

真っ平らな地形、紅葉の天幕、できることならここで休憩したいところですが、何せ人の気配が全くありません。なんなら獣でも飛び出してきそう…

怖いので先を急ぎます!

 

紅葉とブナ天国の三頭山・北西部

あまりにも鮮やかな向山の広場に後ろ髪を引かれつつも、何せひと気のない場所ですから長居は禁物。先へと進みます。

ところでこの向山周辺、かつて大多摩ウォーキングトレイルのコースとして整備されていたからかなのか、ところどころで道に迷わないための工夫が見られます。例えば写真道では落ち葉の上の木がコースを縁取っているのがわかります。

とはいえ、紅葉がきれいすぎてついつい視線は上の空。そんな時、YAMAP等の位置がわかるアプリを入れておけば道迷いのリスクがグッと減ります。

目指す先はずっと三頭山。比較的新しめの道標もある中で、獣か?と思うようなダメージを負った道標もあったり。くわばらくわばら。

ひと気のなさ、獣の恐怖こそあれど、あまりにも美しい紅葉風景につい足と目の自由が奪われてしまいます。

何度も言いますが、牛ノ寝通りに比肩する紅葉力ですよこいつァ…!!

標高が上がるにつれてブナの巨木もちらほら見えてきました。これが見たかったんですよぼくはッ!!(大興奮)

あっちからこっちから、向きを変えてブナ紅葉の写真をパシャパシャ。奥多摩でこれほどのブナの森に出会えるとはッ!

ブナだけでなく、葉の面積が広いカエデの黄葉も見事。一生ここにいたい。

素晴らしい紅葉を見上げながら階段混じりの尾根を登っていくと、鶴峠との分岐路に差し掛かりました。

ちなみに三頭山西部には鶴峠からも登ることができ、むしろそちらの方がメジャールートです。ぼくもブナの本を読んでこの鶴峠からのルートを歩いてみたかったのですが、何故か余沢ルートに引き寄せられました。最高でした。

鶴峠分岐からの尾根道も素晴らしい紅葉の森。しかし、向山よりも標高が高いためちょっとピーク過ぎ始めくらいでしょうか。

燃えるような紅葉の向こうには、目指す三頭山の姿が見えました。

ちょっとヒヤリとする箇所もあるので、油断せず油断せず。

そうだ、ちょっと息抜きにたろうを撮ろう。パシャ。ビュウ…(風)

 

おい落ち葉!!良い仕事したね?

 

そんな調子で進んでいくとまた分岐が。右は三頭山直下まで駆け上がるルートで、左側はその下を巻いていくルートです。

確かこの左側にブナ原生林が残っている~とかなんとかって情報を見たような気がするんですが、どうか!?

 

ええやん……

 

どこを切り取っても絵になる紅葉風景。激マブですわよ三頭山。

若干よだれを垂らしながら登っていたかもしれない紅葉の道。それもいよいよラストスパートです!三頭山北部、イヨ山、ヌカザス山を越えていくヌカザス尾根に合流しました。

ここからは以前にも歩いたことがあるルートですが、結構な急登だったような…

ここさえ登り切れば山頂なんだ!闘志を燃やして頑張れスラ男!え!?ブナも赤く燃えている!?

燃え盛る炎をまとったようなブナ。これは元気出ますねえ!

 

ついに…三頭山山頂だぁぁぁ!!

 

6年前に来た時はダグトリオみたいな山頂標でしたが、御影石タイプに変わったんでしたね。初めましてです。

山頂はこれまでのひと気のなさが嘘のような賑わい。ぼくもほっとひと安心、お昼ご飯といきましょう。いつものトムさんにトマトを追加。紅葉テイストとでもいいますか。

そうそう、三頭山といえば富士山がきれいに見えるので忘れずに。

6年前に初めてこの風景を見た時はえらく感動しましたが、今もう一度見てやっぱり感動です。山っていいよね。最高ですよね。

 

都民の森経由で奥多摩随一の温泉へ

食事と風景を満喫したら、いよいよ下山。都民の森へ下りるのですが、ここからはいくつかのルートに分かれます。ぼくはブナがたくさん見られるルートへ。ブナは何度見たって良いものだ。

三頭山の標高は1,500mちょっとあるので、この辺りの紅葉はピークをちょっと過ぎています。この辺りの紅葉を狙うなら10月下旬がベターかもしれません。

ブナの路コースは沢沿いを歩いて行くので耳も心地よい。初めて来た時も同じことを思いましたが、沢沿いを下山するのが好きなんだなぼくは。

下山から30分ほどで三頭大橋へ。橋の真ん中からは三頭大滝が望めます。

紅葉の滝風景もいいですよねえ。

滝から先は森林セラピーロードといって、癒やし効果のある歩きやすい道が続いています。もきゅもきゅとしたウッドチップの上を歩くのはクセになりますよ。

たろうも、ほら。

前を歩いていたご夫婦が「すごい紅葉ねえ」と見惚れていました。本当に凄まじい、紅葉力53万くらいありそう。

途中には展望所もあり、奥多摩周遊道路と山並みのパノラマビューが。

これは持論なのですが、奥多摩の良さってあの深緑にあると思うんですよ!

都民の森へ無事下山です。やはり三頭山の東京側は歩きやすいですね。初心者向けですし、運動が苦手な方は森林セラピーロードと三頭大滝だけでも十分楽しめますよ。

さあ!ここからのお楽しみは温泉です!!この近辺には数馬の湯や秘湯・蛇の湯温泉など雰囲気抜群な温泉がありますが…

帰りのバス時間の都合で、やっぱり瀬音の湯~。ここ本当に好き~。

レストランに入れなかったので、缶ビールで乾杯。うう、ジョッキで飲みたかった…

最後まで紅葉風景を楽しみながらバスで武蔵五日市駅まで行き、帰途に着きました。やっぱり秋川渓谷好きだなぁ。また来ます!

 

向山~三頭山の山旅、終わりに

三頭山の西側にブナ紅葉が広がっているというレポートを見た時、まさにビビーン!と一目惚れでした。余沢から向山、そして三頭山に至るまでの紅葉は最の高とんで紅の葉!

ひと気がないため万人受けするところではありませんが、静かに紅葉に浸りたいという条件にはベストマッチではないでしょうか。

三頭山の西部開拓!でありませんが、まさに過去に登った山の未踏域を歩いてみて、また一つその山の素晴らしい風景に出会えた山旅となりました。

 

次はどの山に行こうかな。