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なまけたろうと登山ブログ

【栃木】三峰山 セツブンソウの群生と修験の岩山

低山のお花見ハイクが楽しい2月から3月。梅や河津桜といった色鮮やかな花が注目されがちですが、足元にひっそりと咲いている小さな花々も見逃せません。

ぼくはこの時季に咲くセツブンソウフクジュソウが好きで、どちらも縁起の良い名前、石灰岩の地質を好むなど、共通点の多い花です。その二つが麓に群生している低山が栃木にあるといいます。

いざゆかん、お花見低山修験ハイク!

 

どうも、スラ男です。

 

今回は、栃木県栃木市鹿沼市にまたがる三峰山(みつみねさん)を歩いてきた時のお話です。

三峰山はその名の通り三つのピークを有し、右端の奥の院から左端の三峰山まで、標高600m前後の縦走コースが一般的です。ただ、この山は木曽の御嶽信仰を伝える山岳霊場修験道の山らしく、急登や鎖場、切れ落ちた斜面などハードな箇所も出てきます。

山麓にはセツブンソウの自生地や星野遺跡といった見どころもあり、登山と合わせて訪ねたいところです。

 

■三峰山(2022年3月5日) 目次

 

セツブンソウ咲き乱れる四季の森へ

日光への山旅が多いぼくにとって、栃木駅は主に乗り換えでしか使ったことがなく、ここで降りたのは今回が初めて。

栃木市「蔵の街」として有名で、下山後に時間の余裕があれば散策も面白そうです。

栃木駅から目的地である星野地区まで行くには、コミュニティバスを利用します。行きも帰りも運賃は同じなので、1日乗車券が便利ですよ。

バスに乗って登山口の星野御嶽山入口まで行くこともできますが、今日は星野新町バス停からスタート。朝一番でセツブンソウ自生地である「四季の森 星野」へ立ち寄ります。

県道32号線の向かいにある一帯が四季の森として管理され、ここではロウバイ、セツブンソウ、フクジュソウなど貴重な山野草が見ることができます。

特にセツブンソウの自生地としては日本一の規模を誇り、関東より西側にしか咲かない同花の“自生の北限”でもあるようです。

…あれ?確か秩父小鹿野の四阿屋山(あずまやさん)麓にある、堂上(どうじょう)のセツブンソウ自生地も日本一だった気が…??まあいいか。日本一がたくさんあってもいいじゃない。いいよね。(錯乱)

朝イチだからか、誰もいない自生地の中を散策していると、足元にひっそりと群生しているセツブンソウを発見!!あいかわらず小さい!!

小鹿野で初めて見た時にもあまりの小ささに驚きました。ロープが張ってあるので近くで比較ができませんが、たろうよりも小さい可憐な花です。

明るい黄色のフクジュソウも、何株か見つけました。白と黄色の共演、やっぱりこの組み合わせが好きですね。

ぐるりと2周ほど自生地を散策し、正直な感想を申し上げます。

 

セツブンソウ、少なくない?

 

決して文句ではないのですが、思ってたよりも…!いや、期待が大きすぎたのか、でも確かに少ない。

気になって調べてみると、栃木県の花事情に詳しい方いわく、例年に比べ今年は明らかに花の数が少なかった模様。よ、よかった~。いや、よくねえ。(泣)

セツブンソウが見られただけでも良し。それならもっと満開の時を楽しみにして、四季の森を後にします。次なる目的地は、三峰山登山口となる御嶽山神社。四季の森から徒歩10分ほどです。

実はこの御嶽山神社にも、セツブンソウが群生しております。密度でいえば、先ほどの四季の森の比ではありません。圧巻の見応えです。

さらに、フクジュソウも元気な個体があちこちに咲き乱れていました。こりゃすごい…!

たろうも思わずこの表情。

参道脇の枝垂れ梅も見頃で、まさに花の神社。四季の森とはまた違った見応えに大満足です。欲をいえば、四季の森の本気が見たかったぜ…!

 

修験道が色濃く残る御嶽山奥の院

さて、今回登る三峰山ですが、境内にある案内板でその全容が確認できます。北辰ヶ岳御嶽山(ほくしんがたけおんたけさん)とある通り、厳かな霊山という雰囲気が漂っています。まずは右側の奥の院を目指し、剣ヶ峰、三峰山と縦走する周回コースを歩きます。

ちなみにこの山の呼び方はたくさんあって、神社では上記の通り、栃木市側では地名をとって星野御嶽山(三峰山)、鹿沼市側では永野御嶽山(三峰山)とか、紛らわしいので栃木三峰山とも。

参道の左側にある階段を上がり、その奥から登山道へ続きます。ゲートを通って、いざ。

湿り気のある針葉樹林帯を黙々と歩いていくと、階段の先で清滝不動が見えてきました。山と渓谷社「分県登山ガイド 栃木県の山」には、今でも修行場として使われているとあります。

さらに登っていくと、普寛霊神(ふかんれいじん)をお祀りするお社が。普寛といえば、木曽御嶽山の王滝道の開祖として知られます。いつかの秩父御岳山(ちちぶおんたけさん)でもそんなエピソードに触れました。

御嶽山と普寛というキーワードで各地の御嶽山(御岳山)を訪ねる山旅も面白そう。

石祠がたくさん並んだ石段をさらに登っていくと、右手側にトラロープが見えました。登山道はだんだんとハードモードへ。可憐なお花を見に来たついでで登る山ではありませんので、しっかりと準備を整えていきましょう。

突如、大きな岩壁が現れました。ここは御嶽大神の岩戸のようです。写真奥の壁には鎖が垂れており、その先の岩戸まで行けるようになっています。

岩壁の脇を登っていき、ぐるりと巻いていくと切れ落ちた斜面のトラバースとご対面。補助ロープに頼りすぎず、慎重に進んでいきます。こ、怖ええ…

再び薄暗い樹林帯に入り、三峰山方面との分岐を右に進むと尾根に出ました。この尾根の先にある奥の院まではもうすぐ。

本日最初のピーク、奥の院へ辿り着きました。山頂には神皇産霊尊カミムスビノミコト)、天之御中主尊(アメノミナカヌシノミコト)、高皇産霊尊タカミムスビノミコト)の立像が並んでいました。これらの神は「造化三神」と呼ばれ、日本創生の神様なのです。

そんな超すごい神様たちに無事登山をお祈りし、次なるステージへ。

 

まるで武甲山石灰岩に覆われた三峰山

奥の院での休憩後は、尾根を戻り分岐を三峰山方面へ。三峰山へ向かって歩いていくと、修験道を色濃く残すこの山のもう一つの表情を見ることができます。

尾根上を歩いていくと、右手側がフェンスとロープでがっしりと保護されています。保護、というよりこの先は立入禁止区域なのです。

というのも、この三峰山は良質な石灰岩産出地であり、俯瞰してみると山の西側半分が広大な採石場となっているのです。石灰岩の採石は地域を支える重要な産業であるため、外野がとやかくいうことではありませんが…

はて、これとよく似た山をどこかで…??

 

あ、武甲山!!

 

埼玉県秩父市のシンボル、武甲山(ぶこうさん)も全く同じじゃないですか。写真は在りし日の武甲山の姿で、現在は北側斜面が大きく削りとられています。

そういえば、秩父の山も石灰岩地質で、それらの地質を好むセツブンソウやフクジュソウの群生地がありました。どことなく登山道の雰囲気も似ているような…?

露岩の目立つ尾根を少し登ると、こぢんまりとした山頂に小さな祠が。どうやらここが剣ヶ峰のようです。

尾根のすぐ真下にある採石場では発破作業も行われているようで、鉱山内への立入禁止の看板がありました。看板を見送り、ロープの張られた露岩地帯を急下降。この辺りは大きなアップダウンもあって緊張の場所でした。

下りきると、神社方面と三峰山への分岐に出ました。ここを三峰山方面へ…また登りか。薄暗い針葉樹の中をひと登り。

本日最後のピークである三峰山!…ですが山頂感はあまりなく、ロープと樹林に囲まれ、やはり小さな祠があります。ここまでのどのピークにも祠があるので、ここで修行した方々のお祈りがこの地に眠っているのでしょうか。

地味な山頂ではありますが、フェンスと採石場越しには北関東の山々のパノラマが広がっていました。ぼくは背が高くないので、背伸びしてとった写真は斜めに。酷い仕打ちだよまったく。

あとは神社を目指して下山するだけ。歩けど歩けど杉林。

途中で、倶梨伽羅不動(くりからふどう)をお祀りする大きな洞窟がありました。これはすごい!行きも帰りも岩に圧倒される登山道です。

厳しい修験の山でしたが、無事に下山しました。来た時よりも賑わいを見せていた御嶽山神社でまたセツブンソウに張り付いて撮影。可愛いですねえ。

 

星野遺跡見学と絶品の蕎麦に舌鼓

三峰山から下山後は、歩いて星野地区へ戻ります。ここには旧石器・縄文時代の土器などが展示されている星野遺跡記念館があるというので、見学してみましょう。

近くの公園には復元された居住跡が展示されていました。その奥には先ほどまで歩いていた三峰山の山容が見事!

それではさっそく記念館へゴー!と意気込むも、コロナ禍のため当面の間は県内在住者のみ入館可能とのことでした…

がっかりするのはまだ早いですよ。気を取り直して、来た時に降りた星野新町バス停の近くにあるこちら、「ゆず里亭」さん。人気のお店らしいので、期待しちゃいます!

大勢の常連さんで賑わっていたので、座敷へ。メニューは豊富で、そば、丼もの、ラーメンどれも美味しそう。ですが、この辺りは蕎麦が美味しいじゃないですか。だったら蕎麦で行くっきゃない!ごまくるみ汁そばお願いします。

 

美味しーい!!!

 

しかし、バスの時間が迫っていたので、慌てて完食。すごく美味しかったので、次回は大盛りか蕎麦二品頼んじゃいそう。(笑)

帰りのバスですが、そのまま栃木駅に向かうのもいいですが、やはりぼくとしては温泉は外せません。ちょうど、バスのルート近くに「栃木温泉 湯楽の里さんがあるので途中下車。

時間も早かったからか、広々とした露天風呂をほぼ独泉。気持ち良かった~。

お風呂上りはコレ!メイトーのコーヒー牛乳は優しい甘さと口当たりの良いビンがいいですよねえ。

最後に蔵の街を散策してもよかったのですが、何だか満足してしまったのでそのまま最寄りの新栃木駅へ。この辺りはまた組み合わせを変えて楽しめそうですね。

 

三峰山の山旅、終わりに

久しぶりのソロハイクで訪れた栃木の三峰山。内容的には濃かったように思えますが、時間的にはかなりのショートハイクとなりました。お目当ての花を見られたのは良かったけど、花数が少ない年だったのが若干の心残り。

採石事業との兼ね合いで登山道が今後どうなってしまうのかが気になりますが、またいずれ訪れたいところです。

 

次はどの山に行こうかな。