2月下旬、低山ハイカーの皆様お待たせしました。ついに梅のシーズンです!
ぼくは雪山に行く選択肢がないため、冬の間は花に焦点を当てた山旅が楽しみです。今年はどこに行こうかな?と、まずは関東の「梅林」で候補地を絞る作業から。
そういえば、湯河原にある万葉公園のリニューアル工事が完成したとの報せがありました。となれば、湯河原梅林(ゆがわらばいりん)に行くしかありません。
梅と海と、タヌキに触れる山旅。
どうも、スラ男です。
今回は、神奈川県湯河原町にある幕山(まくやま)へ、親子でハイキングした時のお話です。
幕山は箱根火山の外側にできた寄生火山のひとつとされています。火山の特徴である柱状節理の岩壁に取り囲まれた山容を、歌舞伎の幕に例えたことが山名の由来です。
火山としての性質をメインに訪ねても面白そうですが、この時季は山麓一帯を覆う湯河原梅林が人気を集めています。ただ…ちょっとタイミングが早かったかなぁ。
■幕山(2月26日) 目次
踊り子号とバスに乗って湯河原へ
湯河原の幕山といえば、初心者にも人気な初級の低山としてガイドブックに掲載されており、家族で登るのにもおすすめの山です。ですが、都心から地味に距離があるため、今まで二の足を踏んでいました。
子どもの成長に合わせ、ついに機会を得た今回。思い切って特急「踊り子号」に乗っちゃいますよ!
山旅×特急、特急×子ども。この組み合わせほど安心するものはありません。移動時間が苦になりませんし、車窓からの眺めも良い。トイレもすぐそこなのに加え、飲食も自由(コロナ禍なので控えめ)。
え?出費ですか?もちろん大打撃です。
そんな親心をよそに、家から持ってきたレゴブロックを並べて遊ぶ、息子スラ坊。引率の先生はパックンフラワー。ノコノコたちは生徒か。おい生徒にボム兵いるじゃねえか危険だ。
「わー!海ー!」とテンション爆上がりのスラ坊。そうだッ!海は見えるとテンションが上がるものなんだッ!!ということを魂に刻み込め。水は地球の命です。
長距離移動もなんのその。贅沢な特急ライフで湯河原駅に到着です。駅から幕山まで、梅の期間中に合わせて直通バスが出ているありがたさ。やった、これに乗ってまた楽しちゃいましょ~、などと思っていたら…?
突然の渋滞。
途中まではスイスイ走ってくれていたのですが、新幹線の高架をくぐった先の分岐でぴたりと止まってしまいました。30分以上の渋滞、これでもまだ軽い方だといいから恐ろしい。
一般駐車場に出入りする車の待機列を抜けると、バス停まで一気に走り抜けてくれました。これでひと安心。
バス停の先には受付所がありますので、湯河原梅林を見るための入園券(200円)を購入。この券は後で役に立ちますので、とっておくことをおすすめします。
まさに“梅の宴”、湯河原梅林
幕山公園に入ると、まずは目の前にどーんとそびえる幕山に釘付け。麓のほうへ視線を下げていくと、ほんのりと梅が咲いているのがわかります。あれ、見頃だと思ったんだけど、ちょっと早かったのかな…?
湯河原温泉公式観光サイトでは、2月下旬頃の梅林は「7分咲き」でした。それならまあ見応えはあるだろう、満開よりも混雑を回避できるだろうという狙いです。
良かった、つぼみも多いけど、きれいなピンク色の梅があちこちに。
登山口となる幕岩公園は、期間中出店やイベントやらで賑わいを見せています。
コロナ禍でもこうやって徐々にイベントの活気が戻ってきているのは素晴らしいです。関係者様方、会場に来ている皆々様方の努力あってのこと。ありがとうございます。
公園の奥に進むと登山口が見えてきました。ここからは梅林の中を縫って歩いていきます。満開だったら間違いなくここで足が止まりますね。
7分咲きの今回、見頃の梅の木を見つけるたびにそこで立ち止まります。スラ坊もその時間を利用してあちこちを観察。
梅林はハイキングコースではありますが、普通に観光客が行き来している安心な道です。幕山へのピストン(往復)登山なら、小さな子ども連れでも楽しめますね。
梅林のゴール地点からは、幕岩が見事。ここは源頼朝(みなもとのよりとも)が石橋山合戦で敗走した際に、危機を乗り越えたパワースポットとして知られます。
また、暖かな気候から冬の定番ロッククライミングスポットなんだとか。え、パワースポットって物理的な??笑
もう一時間くらい散策できそうですが、帰り道も梅林を通るため山頂へ向かいます。満開のタイミングを狙ってまた来たいですね。混雑も凄そうだけど…
山頂から海の眺めが素晴らしい幕山
梅林を抜けると、そこから先は一転して単調な登りが続きます。つづら折りに約1時間ほど登れば山頂へ辿り着くので、子どもが飽きないようにお話でも。
いい機会なので、名作漫画『ドラゴンボール』を最初からお話しました。もちろん、主人公・孫悟空が薪を割るあのシーンから。
ずどどえやあ~~っ!!!
ピラフ一味との戦い、悟空の大猿への変身あたりまで話した辺りで、開けた視界に海が飛び込んできました。手前の突き出た部分は真鶴半島(まなづるはんとう)。
下山後に半島まで足を延ばして「お林」と呼ばれる遊歩道を散策するのも面白そうですが、それはまたぼく一人の時にでも…
ドラゴンボールの話も、登場人物が大勢出てきて複雑になってきました。と、あっという間に頂上付近です。
広々とした原っぱの山頂、幕山へ到着しました。
道標には「鎌倉幕府開運街道」とあり、先ほどの幕岩も含めた頼朝にゆかりのあるコースです。幕山から先にも頼朝関連のスポットがありますが、それはまた次回のお楽しみ。
ぽかぽか陽気の中、海を眺めながら山の上でご飯を食べる。最高です。スラ坊もカップラーメンをガツガツ食べてます。あ、ちょっとお父さんの分は…
「はぁ~!めっちゃうまい!(*´Д`)」
じゃないよまったく!キングスライムみたいになってるじゃねえか。
ご機嫌な山頂タイムを満喫した後、来た道を戻ります。ドラゴンボールの話の続きをせがまれます。確か天下一武道会で天津飯が出てきた辺りだっけ。
再び湯河原梅林まで戻ってきました。下山は梅を見下ろす構図になるので、これまた良し。
まるで迷路のような梅林の中を、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。天気にも恵まれ、最高の登山日和ですね。
枝垂れの梅は真下から。午後になって観光客もグッと増えてきました。
梅林を出て振り返ると、幕山の全景が見事です。満開の頃にはより鮮やかに彩られるのでしょう。せっかちだからか、花のタイミングはいつも少し早いので反省。
まあそれはそれ!花より団子モードに突入!スラ坊は普通味、ぼくは梅ソフトをいただきます。これは!お、美味しい!!
さて、大満足の幕山を後に、湯河原に来たなら温泉は外せませんよね。後半戦のスタートです。
タヌキが見つけた?湯河原温泉のルーツ
できれば登山後すぐに入りたい温泉ですが、残念ながら幕山のすぐ近くに温泉は見当たりません。いったん駅まで戻り、そこから温泉を探します。
駅前には珍しい手湯がありました。温かくて気持ちいい~。
ですが、本命はここじゃありません。駅近くにも何軒か温泉宿があるというので、電話してみると…なんと全滅。休みだったり、中には調べた情報が古くて廃業しているところも。しまった…!
それなら駅から再びバスに乗って、日帰り温泉施設「こごめの湯」さんへ。こちらの温泉は広々とした大浴場が快適で、トロリとしたお湯も気持ちいい。思わず眠ってしまいそう…ブクブク。
ちなみに、湯河原梅林の入園券を掲示すると割引になりますよ。
施設の前にはタヌキの置物が。そういえば、湯河原駅にもタヌキがいましたね。なぜタヌキなのか、湯河原温泉の由来を調べてみると、面白いエピソードがありました。
その昔、猟師の弓でケガをした老タヌキが命からがら逃げて来た先で温泉を見つけました。温泉で傷を癒やし、回復した恩を忘れまいと人に化けて、この温泉の素晴らしさを旅人たちに伝えたそうな。
なるほど、それでタヌキが見つけた湯河原温泉なんですね。
こごめの湯の近くには、2021年にリニューアル工事を終えた万葉公園があります。その一角にはタヌキへの感謝を忘れないように狸福神社(りふくじんじゃ)がこじんまりと鎮座していました。
万葉公園の遊歩道を歩いていくと、新たにオープンした新名所「湯河原惣湯(ゆがわらそうゆ)」が見えてきました。
ここは自然も温泉も、自分の思うままに満喫できるリトリート施設。登山後の利用としては、無料の足湯のほか、日帰り温泉もあるみたいです。料金は…ゴージャス。
公園散策の最後に、トンネルの先にある大きな滝を見て締めとします。こちらの滝、なかなかの見応えなのに名前はないそう。
万葉公園のバス停から、湯河原駅まで戻って帰途に着きました。帰りは鈍行で許してね。スラ坊も温泉が気持ち良すぎたのか、ぐっすり。お疲れ様でした。
幕山の親子ハイキング、終わりに
ずっと行きたかった幕山。景色良し、花良し、温泉良しの素晴らしい山でした。家族でのハイキングにも最適ですし、源頼朝の歴史を訪ねてのハイキングも充実した内容になりそうです。
時間に余裕があれば、真鶴半島まで足を延ばして海産物や森林浴なんて楽しみ方も。個人的には、ぜひやりたいですね!
今回は幕山の魅力のほんの一端にふれた感じでしたが、調べれば調べるほど興味深いスポットが満載の湯河原。今後も訪ねていきたい山域です。
次はどの山に行こうかな。