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なまけたろうと登山ブログ

【三浦】武山~三浦富士 個性豊かな三山ミニ縦走

雪山登山に縁のないぼくにとって、厳冬期はまたとない低山めぐりのシーズンです。特に、この時季の南関東は陽だまりハイキングをするのにはもってこいで、早春の花やフルーツ狩りとあわせればグッと楽しみも増えます。

神奈川県南東部の三浦半島にある武山(たけやま)を中心とした低山の連なりは、その楽しみがコンパクトにまとまっています。

息子と二人、キャベツ畑の背後に連なる山々へ。少年よ、キャベツを抱け。

 

どうも、スラ男です。

 

今回は、三浦半島最南端の山である武山から砲台山(ほうだいやま)、そして三浦富士(みうらふじ)の三山を親子でハイキングした時のお話です。

いずれの山も標高200m前後ですが、個性豊かな縦走を楽しむことができます。山頂からの素晴らしい眺め、半島の温暖な気候が見せる独特の景観、山中に突如現れる歴史遺構などなど。特に、武山までのキャベツロードは見応え抜群です。

 

■武山~三浦富士(2022年2月6日) 目次

 

いざ三浦半島、キャベツ畑とイチゴ狩り

三浦半島を目指す場合は、都心から京急線で一本なのがありがたい。品川駅には三浦エリアで活用できるマップが配布されていますよ。

2月にしては暖かすぎる三浦半島。普段はやかまs…元気な息子スラ坊も、珍しく行きの電車で寝ていました。なんて穏やかなスタートなんだ…!!

さて、本日の起点はここ津久井浜駅。登山前に観光農園イチゴ狩りを楽しもうというプランです。ありがたいことに観光農園まで直通バスも出ていますが、ぼくがキャベツ畑の中を歩きたかったので、徒歩で向かいます。

 

許せスラ坊、バスはまた今度にしよう。

 

急坂を登っていくと、海の向こうに房総半島が望めます。真ん中にある双耳峰は富山(とみさん)でしょうか?

坂の先は、ひたすら畑を見渡す舗装路歩きです。畑にびっしりと敷き詰められた緑は、三浦半島の特産品であるキャベツです。

昼夜の寒暖差と、潮風に運ばれたミネラルが育む三浦半島産キャベツは、年間で450万ケースも出荷されているそう!国内有数のキャベツ産地だから、もうキャベツ半島と呼んでもいいくらい。ダメか。

一本道の両側を、びっしりとキャベツが埋め尽くす。まさにキャベツロード。青空とのコントラストもまた最高です。

キャベツ畑の向こうに、低い山々の連なりが見えてきました。あれが今回歩く武山、砲台山、そして三浦富士です。山を前にうずうずしますが、その前にちょいと寄り道をば。

キャベツ畑を抜けてやってきたのは、津久井観光農園さん。まずは冬の味覚、イチゴをめいっぱい食べてやろうぜ!

 

え、登山前に…??

 

そうなんですよね、今回、イチゴ狩りをするにあたって登山前か後かで悩みました。ご褒美という意味合いでは登山後のほうがもちろんいいのですが、時間の都合で登山前にしました。

イチゴ狩りも登山も、時間に追われることなく楽しみたい。ということでもぎもぎとイチゴ狩りを楽しみますが…正直、そんなにたくさんは食べられません(笑)。

スラ坊もほどほどに食べて満足。おっとトイレが呼んでるぜ!

 

山頂からの大展望が魅力の武山

さて、三浦半島の旬を目と舌で味わい、いよいよ本日のメインイベントへ。これより武山ハイキングコースに入っていきますが、山頂までは意外とあっさり着いてしまうそうで。

登山口には美人のお地蔵様が。ここから山頂まで、よく整備された階段の道が続きます。南山に続き、また階段か…許せスラ坊(本日2回目)。

大人の足ならすいすい~という登山道ですが、子どものペースに合わせてしっかりと。それでも登山口から山頂までは正味30分。

ほどなくして、お寺や民家のある山頂に到達しました。ここは標高200mと、高尾山のほぼ3分の1の低さです。

左端の坂の向こうには、三浦半島不動霊場の一番札所、武山不動があります。毎年1月28日が「初不動」となり、今年は規模を縮小しつつ開かれたそうです。ほぼ一週間前、惜しい!

お寺よりもこちらの展望台が気になるスラ坊。「アザレアハウス」と名付けられた展望台に登れば、目の前の相模湾からぐるり360度、素晴らしい眺めが堪能できます。

ところでこの武山ですが、4月中旬から5月上旬にかけて山頂一帯をおよそ1,200本ものツツジが咲き乱れるそうです。ゴールデンウィークにはツツジ祭りも開催されるというから、春の武山も面白そうですね。ちなみなアザレアはツツジの英名。なるほどそれでアザレアハウス。

展望台の一階部分にはテーブル、イスが完備されており、昼食休憩に最適です。冬はクリーム系の味付けだと温まりますよねぇ。ラーメンだけど合うのか…??合う。

 

かつての戦争遺跡を訪ねる砲台山

たっぷりと休憩したら、武山から砲台山、そして三浦富士へと縦走していきます。とはいってもそんな距離はないので、砲台山までは20分ほどです。

線路のような幅の狭い階段でいっきに下っていきます。縦走の醍醐味といえばこのアップダウン…!たまらねえーーー!!(錯乱)

途中、目を見張るような大きさのスダジイが枝を広げていました。その様はまるで神話のヤマタノオロチ。圧倒されます。

静かな森を歩いていくと、広場の中央にぽっかりと穴の開いた空間が見えてきました。ここが砲台山の山頂で、その名の通りかつて“砲台”があった場所です。

本来、大塚山(おおつかやま)というこの山は、昭和初期頃に旧日本海軍武山防空砲台が置かれていたことから「砲台山」と呼ばれるようになったそうです。防空の名が示すように、第二次世界大戦での対航空機用の砲台ですね。

砲台跡の周辺にも、何らかの遺構と思しきものがちらほらとあります。何だか遺跡探検に来てしまったようです。

砲台跡の中に入ると、その大きさが比較できます。周辺の穴は弾薬庫だったと考えられています。すぐ近くにあるパラボラアンテナは海上保安庁の受信所だそうで、麓からのいい目印になっています。そういえば、キャベツ畑から見た時も目立ってましたね。

砲台山には展望はありませんが、少し先に行くと展望台がありました。ここから南には視界を遮る山がないので、三浦半島南部がよく見えます。

そういえば、半島最南端にある城ヶ島(じょうがしま)も、この時季に行きたい場所のひとつです。訪ねれば訪ねるほどその魅力にハマっていく、三浦半島はそんなところです。

 

富士に登って富士を偲ぶ、三浦富士

砲台山から先、だんだんと自然色強めの道となってきました。これまでにふた山登ってきているため、終盤にきて階段ラッシュとかより気持ち楽というものですね。

 

オ~~~ノ~~~!!!

 

冗談はさておき、本日最後のピークとなる三浦富士へ到着です。砲台山からは20分ほどなので、各山とも20分前後の感覚で歩けるコンパクトさが嬉しい。

ところで、きれいな三角錐の山を本家富士山に見立て「~富士」というのは各地方で見られますが、三浦富士の山容は本家に似ているとはとてもいえません。そのルーツを辿ってみましょう。

三浦富士は正式には富士山(ふじやま)といい、相模湾から東京湾、房総半島や遠く伊豆大島まで望むことができる格好の展望台です。ここには富士信仰が根付いており、主に大猟や海上の安全を祈願する聖地でした。

富士山に登ることが難しかった時代、身近で参拝できるようにするため各地で富士塚が築かれました。三浦半島では、海から麓から、そして山頂からも眺めが良いこの山そのものを富士として見立て信仰を集めたのです。山頂から本家の富士山が見えることも要因のひとつかもしれません。

かつては山開きの7月8日には多くの参拝者で賑わったそうですが、それも現在では行われていないそうです。

時代の流れとともに、地元に残された伝統の記憶は薄れていってしまいます。しかし、別の形やきっかけでこの地を訪れ、知り、伝えることは意味があるのではないかと思います。

「見なよスラ坊、めっちゃ眺めいいぞー!」

 

じゃがりこめっちゃ美味しい!」

 

三浦富士からゴールとなる京急長沢駅に向けて下山です。おっといきなりの急下降!登ってきた方も額に汗。「いやぁ、これはキツいねえ」

また、台風や大雨の影響か森がかなり荒れています。別のルートもありますが、今回は下山までひたすら森歩き。じゃがりこで体力を回復させたスラ坊もノンストップ。

無事に下山口に出たところで、スイセンが迎えてくれました。1月2月はやっぱりこの花が見たいですよね。

さて、今回のハイキングのフィナーレを飾るのは、こちら京急長沢駅目の前にあるできたて屋さんの「超プレミアム苺大福」です。これをお土産に買っていけば、喜ばれること間違いありません!

 

「ごめんなさい、売切れです…」

 

 

(´・ω・`)

「お父さんかわいそう」という表情のスラ坊。大丈夫、まだ奥の手があるよ。帰りの品川駅で何か代品を…!!何とかイチゴ大福を手に入れ、帰途につきました。

 

武山~三浦富士の親子ハイキング、終わりに

青空とキャベツ畑、イチゴ狩り、暖かな照葉樹林と大展望。様々な個性が連続する武山~三浦富士のミニ縦走は、短い時間で非常に濃厚な山旅となりました。

今回は冬でしたが、鮮やかなツツジに彩られた春も歩いてみたいし、スイセン目当てで野比海岸から久里浜まで拡大縦走もしてみたい。やっぱりまた訪ねたくなる三浦半島の旅でした。

 

次はどの山に行こうかな。