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なまけたろうと登山ブログ

【三浦】鷹取山 神武寺の森と古代遺跡を訪ねて

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三浦半島の低山は奥が深い!たった一回登っただけなのに、鼻息荒くそんな感想をお伝えするのはおこがましいですが、そう思わずにはいられません。

田浦から逗子へと三浦アルプスを縦走した帰りの駅。時刻は12時半。電車を待っている間に「もうひと山、ショートハイクなら行けそうだ」と思い立ちます。

お洒落な逗子のまちからひと駅、突如迷い込んだ古代遺跡のような山へ。

 

 

どうも、スラ男です。

 

今回は、三浦アルプスを縦走した帰り、その続きのお話です。 

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つい先ほどまで海辺のまちを歩いていたと思ったら、鬱蒼としたシダ類の森へ迷い込んでしまったようです。ここは鷹取山(たかとりやま)へ続く神武寺の森。

全体的にコースタイムが短く、昼過ぎからでも十二分に楽しむことができます。いずれ子どもと一緒にと思っていましたが、その不思議な景観にぼくだけでも大興奮!これはまた子どもを連れて再訪必至です。

 

鷹取山(2021年2月20日) 目次

 

■前編記事はこちら

surao.hatenablog.com

 

太古の森を経て神武寺

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逗子・葉山駅から京急逗子線に乗ってひと駅、神武寺駅鷹取山のスタート地点です。もともといつか行きたい山だったので下調べはしてありますが、YAMAPで地図のダウンロードを忘れずに…っと、三浦アルプスと同じ範囲でした(笑)

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神武寺駅の西側には池子の森自然公園が広がっています。この公園は、戦時中に日本軍の弾薬庫が造られた場所で、敗戦後は米軍の管理下となった歴史があります。

現在では逗子市との共同使用となり、70年もの間手つかずだった自然が残る貴重な公園とのこと。週末と休日のみ開園されるので、鷹取山と合わせて周回なんてことも可能ですが…今回は午後入りなので欲張らず。ハイキングコースへ向かいます。

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逗子中学校を過ぎ、老人ホームの前より登山道となります。目の前にはすっぱりと切り取られた石の壁がありますが、ここはかつて「池子石」が採石された石切り場跡。神武寺周辺は凝灰岩で形成されているため、採石が盛んだったようです。

現在でも市内で池子石を使った建築物が見られるようですが、栃木の大谷石の出現などで採石事業自体は廃れてしまったとのこと。

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石切り場の登山道というと、千葉県南房総鋸山(のこぎりやま)を思い出します。メディアなどでしばしば「まるでラピュタのよう」などと言われる山ですが、この神武寺鷹取山もにわかに古代遺跡の気配が漂ってきました。

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登山道はやがて水気を帯びたシダ類が生い茂る景観となりました。午前中に歩いていた三浦アルプスとは全く違った雰囲気で、この日は本当にコロコロと景色が変わって面白い。

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神武寺周辺の岩肌には、びっしりとシダ類が生育しています。これらの植物群落は、神武寺周辺の岩隙植物群落」と呼ばれ、天然記念物に指定されています。岩隙(がんげき)植物…初めて聞きましたそんな単語。

この辺りの植生は、太古の三浦半島の姿をよく残しており、大変貴重なものだそうです。確かに、ジュラシック感たっぷりですね。恐竜出てきてほしいです。

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登山道を歩いていき、分岐点を左に折れれば神武寺の山門が見えてきます。そこから程なくして神武寺(じんむじ)に到着しました。厳かな名前のお寺は、古くは神之嶽(こうのたけ)と呼ばれる山岳信仰霊場だそう。神嶽(武)寺ということですね。

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境内には、かながわの名木100選に数えられる神武寺なんじゃもんじゃが見事。案内板には「樹種がわからなかったので“なんじゃもんじゃ”と呼ばれて親しまれてきた」とありますが、和名はホルトノキだそう。

実はなんじゃもんじゃという植物は特定の種を指す名称ではなく、「この木はなんじゃ?」というような珍妙な木の愛称なのだそうです。初めて知りました。

 

まるで古代遺跡!鷹取山を探索

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神武寺の境内奥からハイキングコースは鷹取山を目指します。石畳の坂を登り、登山道は再び明るい森へ。

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ハイキングコース入口で石切り場の話が出ましたが、鷹取山へ近づくにつれ、様々な大石が出てきました。中には穴の開いたチーズのような石も。

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展望のある場所からは、午前中に歩いた三浦アルプスの山容が広がります。おそらく未踏の二子山でしょうか。

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先ほどのチーズ石(仮称)もそうですが、この岩塊も右側に穴が開いています。たろうがすっぽり収まるくらいの。

こういった穴あき石が各所に見られますが、これもこの辺りの環境によるものなのでしょうか?

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巨石の隙間を通ったりする本コースは、小粒ながらもアドベンチャー感たっぷり!まず子どもは喜びますね、よし、今度はスラ坊(息子)連れてこよう。

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鎖を使う箇所、いわゆる鎖場も出てきます。

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鎖場を超えて、しばらく歩いていくといよいよ山頂へ続く階段が見えてきました。青空に吸い込まれるように階段を上がっていくと…荒涼とした遺跡のような風景が飛び込んできました。

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何より、左手側にそびえ立つ巨大な岩壁。無数の穴がびっしりと刻まれたこの岩壁は、鷹取山のシンボルともいえるロッククライミングの練習場なのです。

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ただし、勝手に登ることは禁止されており、事前に協議会への登録が必要です。訪れたこの日もロッククライミングで賑わっており、ぼくも休憩がてら見学していきました。皆さんスパイダーマンさながらです。

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山頂には展望台もあり、強風が凄まじいですが一帯を見渡すことができます。ほとんど市街地から散歩感覚で来られる距離なのに、この風景はちょっと他では味わえませんよ。異世界転生した主人公の気分です。

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まるで異世界、古代遺跡、それこそラピュタのような風景…こんな短時間で非日常感が味わえてしまえていいのか!というくらい、素敵な山頂。今回は冬なので乾いた色合いでしたが、緑の季節に訪ねれば、古代マヤ文明の遺跡感が出るのでは…!?と妄想が捗ってしまいます(笑)

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遺跡探索はまだまだ終わらず、山頂広場から追浜駅(おっぱまえき)方面へ向かう道中。ここなんか本当に遺跡そのものですよ。鋸山に匹敵するくらい。

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そしてコース終盤に待ち受けていたのが、この鷹取山の摩崖仏。市内の彫刻家が一年かけて制作した大作です。いくら柔らかい凝灰岩でできた地質だからといって、こんなきれいにできるものでしょうか。圧巻です。

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登山道には地元小学校による案内板も。ぼくはこの文章に山登りの面白さの全てが込められていると思います。いや本当に、元気いただいてます!!

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当初はオマケ程度で立ち寄った鷹取山でしたが、申し訳ないほど最高でした。こんな良い低山があったなんて!

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下山後は市街地を30分ほど歩いて駅へ。早朝の三浦アルプスから歩き続けて15時前、一日の二つの山旅を終えました。いつもと同じ活動時間でこれほどの密度、満足感。三浦低山恐るべし…!

 

鷹取山の山旅を終えて

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標高139mながらも切り立った岩壁が見事な景観を成し、“湘南妙義”とも呼ばれる鷹取山。短いハイキングコースながらこれほど奥深く楽しめる低山は、ちょっとすぐには出てきません。

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今回は立ち寄りハイキングとして登りましたが、横須賀から戦争遺跡を巡るルートや、石切り場としての歴史を訪ねるといったアプローチも興味深い。何より、鷹取山登山自体が非常に楽しめます。また季節と趣向を変えて再訪したいですね。

 

次の山旅はどこにいこうかなぁ。