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なまけたろうと登山ブログ

【三浦】三浦アルプス 山から海へ、早春の里山縦走

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山に登って、海に下りる。関東圏でそんな山旅がしたいなら、三浦半島の低山にスポットライトを当てたい。

人気の鎌倉エリアのすぐ近くにも関わらず、人は少なく地味な印象が先立ちます。しかし、歩いてみると意外と山深く、まちから山、山から海へと繋がるルートが非常に面白い。三浦低山の印象が一気に覆りました。

低山なれど侮るなかれ、花と海と絶景の待つ三浦アルプスへ。

 

 

どうも、スラ男です。

 

今回は、神奈川県三浦半島西部に位置する三浦アルプスを縦走してきた時のお話です。三浦アルプスは逗子と田浦の間にある低山帯の総称ですが、町名をとって「葉山アルプス」とも呼ばれます。

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梅が見頃を迎える2月。田浦梅林から逗子方面へ抜ければ、花と山に海まで加えた三浦の自然を堪能できるコースになります。

ただ、三浦アルプスは登山道が複雑に入り乱れているので、道迷いも多発とのこと。紙やアプリの地図の用意はもちろん、細かな事前調べは必須といっても過言ではありません。

 

■三浦アルプス(2021年2月20日) 目次

 

トンネルのまちを抜け、田浦梅の里へ

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三浦半島は前々から行きたいと思っていましたが、なかなかタイミングが掴めないでいました。今回初めて降り立った田浦駅は、冬の朝らしく、まだ布団を被っているように薄暗さが残ります。

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田浦を起点とする三浦アルプスは、田浦梅の里(田浦梅林)がコース上にあるため、この時季は外せません。

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梅の里を目指して市街地を歩いていると、やけにトンネルが多いことに気が付きます。

調べてみると、横須賀市“トンネルの多いまち”として有名なようです。軍港としての整備事業から始まり、山、海に囲まれた自然と街との距離が近いため、トンネルが多くなったということです。

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こののの字坂も特異な風景を作っています。この坂は、戦前、城に築いた大砲台へ物資を運びあげるために作られたといいます。山に辿り着く前だというのに、市街地の散策が非常に面白い。

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坂を上がった先で、浦賀を通って梅の里へ抜けていきます。

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浦賀道を下りた先、線路の下をくぐって右側に梅の里の入口が見えます。すでに何本か梅が見えますが、朝のジョギングには辛いと感じる石段を登り切った先に本命が待っています。

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ゆったりと朝日を受け、田浦梅林へ到着です。観光協会によれば、訪れたこの日はまだ咲き始めの頃。もう一週間ほど後に訪れていれば、満開の白や紅の梅が迎えてくれそうです。

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それでも咲いている箇所では見応えがあり、また青空との対比が素晴らしい。

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また、田浦梅の里は梅の他にもスイセンの名所として知られてます。実はこちらのほうが見頃かなと思っていましたが、なんとスイセンは終わりかけ、梅は咲き始めというド真ん中のタイミングでした。

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梅の里の頂上まで登ると、広々とした原っぱがとても爽やか。早朝のため誰もいませんが、お昼ごろには花見やファミリーハイキングなどで賑やかな風景が想像できます。

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頂上広場にも梅はたくさん植えられています。

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奥にある展望塔に登ると、梅の里の全景と東京湾が一望できます。ちょっと前まで市街地を歩いていたと思ったら、この景色。いやはや恐れ入りました。

 

低山ながら山深い三浦アルプス

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田浦梅の里の奥へ進むと、そのまま三浦アルプスのハイキングコースへ繋がっていきます。各所に道標はあるものの、登山道が無数に枝分かれしているので現在地の把握はしっかりしながら進みます。

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自然林の中を歩いていると、かすかに車の走行音が聞こえてきます。程なくして高速道路が見えました。しかし、ひとたび山の中へ入ってしまえばこの人工音はほとんど気にならなくなります。

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街はすぐ下にあるにも関わらず、どこかの奥地に迷い込んでしまったかのような静けさが漂います。緑も豊かで、岩も露出してきました。

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三浦アルプスとひと口に言っても、展望台のある二子山を通る北尾根、森戸川源流を通る中尾根、そして乳頭山・仙元山を通る南尾根に分けられるそうです。

三浦エリアをよく歩かれている方のレポートを拝見すると、源流を散策できる中尾根も興味深いですねぇ。ただ、やはり道迷いの危険が高いそうで(; ・`д・´)

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ロープが垂らされた小規模の岩場も出てきて、アスレチック気分も楽しめます。こういう道大好きです!

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分岐点を下りたいところですが、くるりと階段のほうへ上がっていくと一つ目の山頂に到達です。先端が少し尖った山容が由来と思われる乳頭山(にゅうとうさん)は、またの名を矢落山(やおちやま)とも呼ばれます。

何やら伝説を感じ取れる“矢落山”。山名由来が気になったので調べてみると、源為朝(みなもとのためとも)畠山重忠(はたけやましげただ)が放った矢がこの地に落ちたという話があるようです。

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乳頭山から次の目的地は観音塚ですが、三浦アルプスの最高地点となる茅塚(かやづか)へ寄り道を。左側の坂道を上った先に鉄塔があるので、その下をくぐった先にあります。

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あまり山頂感のない茅塚ですが、標高215m、本日の最高地点となります。南側に展望が開けています。小休止の後、来た道を戻ります。途中の倒木がなかなか厄介でした。

 

巨木街道、三浦アルプス南尾根

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茅塚との分岐まで戻り、ツバキのトンネルを抜けていきしばらく。背丈まである笹薮の間を歩いていきます。箱根の山旅でよく見る風景ですね。

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三浦アルプスの南尾根は、冬でも落葉せず濃い緑を残す照葉樹の森です。しかし、その中にあってひと際異彩を放つのがこの大桜。大きくバンザイをしたようなシルエットも特徴的で、春にはこの照葉樹林をどう色づけるのか気になるところです。

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大桜を過ぎたあたりからまた森に変化が出てきました。どっしりとした大きな木が増えてきたのです。奥多摩秩父の奥地まで行かないと見ないようなパワフルな巨木が、こんな街に近い山で見られるなんて感激です。

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そして、本コースの個人的ハイライトであるこのマテバシイの並木「どんぐり並木」と書かれた看板がかけてあり、大きく枝を伸ばした巨木が立ち並ぶ姿は壮観です。

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おや、こんなところに木霊が…?

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どんぐり並木の先、馬頭観音が祀られた観音塚に到達です。観音様の目の前には、山頂の主に思えるタブノキの巨木がこれまた力強く根を張っています。

大桜に始まりマテバシイスダジイ、そしてタブノキなど南国の樹木たちが我こそはと主張する、まさに巨木街道。緑豊かな南尾根でした。

 

山から海へ、仙元山と森戸海岸

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観音塚から仙元山へ向かう際、黄色いマーカーで書かれた「仙元山→」の道標を見逃さないよう要注意です。尾根伝いに左に行くと違う場所へ下りてしまいます。

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道標に従い右に折れ、しばらく歩いていくと開けた分岐点に出ます。この分岐を北側に少し歩くと、不思議な名前の“ソッカ”というピークに辿り着きます。

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手作りのベンチがたくさん設置されており、海や江の島、富士山の眺めも絶品です。

この不思議な山頂ソッカ。この近辺の環境整備活動をしている二子山山系自然保護協議会の活動記録によれば、「ソッカ」という名前は地元の聞き取り調査等により一番多く回答があった名称だということです。

 

二子山山系自然保護協議会

www.futagoyama.org

 

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ソッカから仙元山へ行く途中、まるで急降下、急上昇するジェットコースターのような階段が待ち受けていました。この山の名物?とも聞く階段ですが、山旅終盤にこの登り返しはこたえます…

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本日の三浦アルプス最後の砦となる葉山町仙元山(せんげんやま)は、大きな石碑とシンボルツリーが特徴的な山頂です。

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眼下に広がる海辺のまち並み、そして相模湾越しの富士山が見渡せる大展望。標高たった118mでこの抜けるような青空と海の眺望は、筆舌に尽くしがたいものがあります。

まさに「低山と侮るなかれ」を体現したような絶景です。また、海辺の山という地域性がグイグイと味わえるのも最高です。下山後に海産物を探すのもいいなぁ。

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仙元山を下ると葉山協会の脇から出てきます。ここから坂道を下って葉山のまち歩きを楽しむもよし、お土産を物色するもよし。いやいや、海岸へ出ちゃいましょうよせっかくなので。

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というわけで、やってきました森戸海岸!もちろん登山装備で。

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冬だからこそ可能な、山から海への下山。これが海水浴のシーズンだったらとてもいられません。

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海岸沿いにある葉山総鎮守、森戸大明神には源頼朝(みなもとのよりとも)に縁のある千貫松(せんがんまつ)があります。衣笠城へ向かう際、この地で休息していた時に「見事な松だ!」と褒めたたえたとか。

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確かに、頼朝じゃなくてもこの景色にはしばし時間を忘れてしまいそう。心地よい波の音の彼方に見える富士山!そしてうっすらと山並みも見えて…正直たまりません。

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海岸に後ろ髪を引かれながら、まちのほうへ。葉山といえばお洒落なお土産の激戦区ですが、ぼくが気になっていたのはコレ!三浦発のドーナツ専門店、「ミサキドーナツ」さん。

どの味も本当に美味しそうで、あれもこれも買ってしまいました。写真のレモンクリームチーズは、爽やかでいてしっかりとコクがある美味美味の美味でした。

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森戸海岸沿いの道路を北上し、葉山マリーナを過ぎると逗子市に入ります。逗子といえばぜひ訪れたかったのがこちら、太陽の季節記念碑がある逗子海岸。

写真で見たものより、目の当たりにすると結構大きいんですねこの太陽。製作者はご存じ岡本太郎さん。

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逗子海岸ではウィンドサーフィンを楽しむ方々がちらほらと。

前にウィンドサーフィンを嗜む方に話を聞いたことがありますが、その方が言うには「風が見えるようになる」そうです。ぼくもその能力ほしいです。

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逗子海岸に寄り道した後は、逗子・葉山駅が今回の山旅のゴール。この駅、少し前まで新逗子駅という名称でしたが、2020年3月に改称したそうです。

可愛いデザインの駅舎内でコーラを購入し、時計を見てみると…え!まだ12時半過ぎ!?

 

もうひと山、行けるのでは???

 

 

三浦アルプスの山旅、終わりに

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初めての三浦エリアでの山旅でしたが、まちと自然の近さ、まちに見え隠れする歴史の濃さ、何より山の深さが際立ったものとなりました。

三浦半島には子どもや家族連れでも楽しい低山がいくつかあるので、今後はそちらも視野に入れてまた違ったアプローチが楽しめそう。

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また、今回は三浦アルプスの南尾根を歩きましたが、北尾根や中尾根も歩いて、自分だけの三浦アルプスの楽しみ方なんていうのを見つけるのも面白そうです。

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空気の澄んだ冬にはぜひおすすめの三浦エリアの山旅でした。

 

次の山旅はどこにいこうかなぁ。

 

■後半は鷹取山

surao.hatenablog.com