子どもが夏休みの間、山遊び、川遊びのほかにも作りたかった思い出がもう一つあります。それが虫探しです。夜中、近所の森に出かけてカブトムシを見つけて以来、すっかり虫探しにハマった息子・スラ坊。それなら山にも虫を探しに行こうじゃないかと計画を立てます。
東京の西側、多摩エリアの丘陵地帯では、緑や水が生き生きとしたところが数多くあります。生き物たちの棲む森の中へ飛び込んで、ハイキングがてら虫探しをし、温泉で一日の汗を流す…そんな思い出ができたら最高です。
今回は、多くの自然と生き物に親しむことができる多摩丘陵を舞台に、子どもと一緒に虫探しに没頭してきた時のお話です。
どうも、スラ男です。
東京でお手軽ハイキングと言うと、やはり高尾山が筆頭でしょうか。春は花見、夏は虫たちのさざめき、秋の紅葉に冬の澄んだ空気の高尾山は確かにいつ訪れても間違いない名山と言えます。
そんな自然豊かな高尾山にも行きたいところですが、八王子よりも少し東に位置する多摩エリアにも、多くの自然と生き物たちの気配がするハイキングスポットがあるといいます。
今回ぼくたちが訪れたのは、小田急線唐木田駅を起点とするハイキングコースにある小山田緑地。しっかりと整備された里山で、日本の原風景を感じながらハイキングが楽しめる素敵な緑地です。
ということで、いざ多摩丘陵、めざせ虫取り少年!息子とぼくの小さな冒険が始まるわけです。
■小山田緑地(2019年8月25日) 目次
自然に親しむ、多摩丘陵へ行ってみよう!
新宿駅から簡単な乗り換えでやってきたのは、小田急線の唐木田駅。初めて降り立つ駅というのはどうしてこうもワクワクするのでしょうか。いつになってもこの冒険心をくすぐられる感覚を忘れたくないものです。
あ!(・○・)
と、身構えるスラ坊の視線の先には、この時期の風物詩とも言いますか、セミが落っこちているではありませんか。
セミといえば、少し前に、生きているセミと死んでいるセミの見分け方という「セミファイナル」なんてジョークが流行りました。ちなみにこのセミは…まだ生きていますね。
あ!?(;´Д`)
今度はぼくが驚いてしまいます。なんとぼくのカメラの液晶画面が真っ黒になり何も見えなくなってしまいました。ほんの2週間前までは普通だったのに…何だろう?
いろいろと対処法を試してみるものの、いずれも効果なし。写真は撮れるのですが、液晶モニターが見えないのはストレスです。
仕方ないのでカメラはしまい、記録はスマートフォンのカメラで。いつもよりも若干軽量になったかな?お、スラ坊を抱っこしやすい(笑)
カメラのトラブルにより出鼻をくじかれましたが、まずは本日の目的地である小山田緑地を目指します。唐木田駅から南に歩いていき、取り付きを探します。すると、丁字路の向こうによこやまの道の道標がありました。
よこやまの道とは、京王相模原線の若葉台駅から唐木田までの全長10kmのハイキングコースです。東西に大きく横たわるその姿が「横山」の由来とも言われており、また、最近何かと話題を集める『万葉集』にも詠まれている歴史の道でもあります。
■よこやまの道について
鎌倉古道や奥州古道ともつながり、多くの伝説や史跡が残るよこやまの道。今回は虫探しがメインのため、それらに触れることはしませんが、いつか歴史トレイルの舞台として歩いてみたいところですね。
樹々に覆われたこの尾根道は、夏の盛りでもことのほか涼しく、快適なハイキングが期待できます。お隣にはゴルフ場があるので、ボールが飛んでこないかちょっとハラハラしてしまいますが。
ふわふわと飛んでいるチョウ、大合唱するセミ、そして足元ではぴょんぴょんと小さなバッタたちがせわしなく跳びはねています。体の小ささからオンブバッタでしょうか。
バッタを逃してひと登りすると、視界から町並みが消えて一気に山の中の雰囲気に。天気もいいし、スラ坊も大喜びしています。
ぼくたちはこの後、山中分園を通りゴルフ場を南下し、大久保分園の分岐を右に分けてアサザ池経由で梅木窪分園へ向かいます。小山田緑地の見どころである田んぼと吊り橋を楽しみ、本園でたっぷりと遊んだらバスで唐木田まで戻る予定です。
日本の原風景に出会える里山、小山田緑地
よこやまの道からいよいよ小山田緑地へ入っていきます。小山田緑地はいくつかの分園から構成されておりますので、その全てを歩くとなると結構な時間がかかってしまいます。
山中分園では好展望の場所にベンチが設置されていましたので、ここでお昼ごはんをば。
こんなよく晴れた日に山の中で食べるおにぎりは格別です。「お山でたべるおにぎりはさいこうだよね」なんて、どうしてどうして息子も粋なコメントをしますね(笑)
木の階段を下りていくと、色の異なるセミの抜け殻を発見しました。恥ずかしながら最近知ったのですが、セミの種類によって抜け殻も姿形が結構違うんですね。中でもニイニイゼミの独特な姿には衝撃でした。
上の写真は、おそらくアブラゼミかミンミンゼミの抜け殻だと思います。色の違いで見分けるのかと思いますよね。しかし、この夏休みに様々な生物園でセミの抜け殻を観察しましたが、同じセミでも色の濃いものもいれば薄いのもいました。係員によると、アブラとミンミンは顔の先についた触覚の特徴で見分けるというのです。
なるほど、わからん。
虫探しを楽しみながら歩いていると、畑を囲む柵に付いた一枚の御札を見つけます。
以前に訪れた御岳山の時に触れましたが、これは東京都青梅市の武蔵御嶽神社の御札です。描かれているおいぬ様こと大口真神(おおぐちまがみ)は盗難除け、魔除けの神様なので、こうして畑を守ってくださるようにと願いが込められているのでしょう。
青梅から離れたここ町田市でも、御岳山の気配に触れられるなんて感動です。もしかしたら、普段何気なく歩いているところにも、どこかの山につながる何かが隠れているのかもしれませんね。
■おいぬ様信仰の残る御岳山
ゴルフ場に沿って歩いていき、大久保分園との分岐を右に分け、お次はアサザ池を目指します。日本の原風景とも言える田んぼとカカシが見事です。
アサザ池には東屋とトイレがありますので、ここでまた休憩を。相変わらずチョウが多く、水辺だからかトンボも増えてきました。
休憩後は、山道を通っていよいよ吊り橋へ。こちらの吊り橋は揺れないタイプで、しっかりとした作りなので安心して渡れます。おや、いつの間にか、スラ坊の右手には冒険時の必需品が。
再び山道を歩いていくと、いったん車道に出ます。近くにあった自動販売機で喉を潤し、本園で遊ぶ前にサービスセンターへ立ち寄ります。
虫かごの中を覗いてみると、宝石のように光るヤマトタマムシを見つけました。スラ坊も不思議そうにタマムシのキラキラ光る背中を見つめています。
ビジターセンターを出て、まずは本園内のみはらし広場へ。ここからの景色は関東の富士見百景に選ばれていますが、残念ながらこの日は富士山は見えず。
あ!!(・○・)
スラ坊が指を指した木の幹に、キラリと光るヤマトタマムシがいました!「さっきみた虫だ!」と大喜び。これは大人でも喜んでしまいますね。
本園の運動広場は一面が草原で、簡単な複合遊具とアスレチック遊具がいくつかあります。ここで本気の恐竜ごっこをしたらさぞ楽しいだろうが…今日はハイキングなのでできませんが。
それにしても、スラ坊ばかり虫を見つけてズルいです。ぼくが見つけるのはノコギリクワガタ(頭部のみ)やセミ(抜け殻)など、死骸ばかりです。
アスレチック遊具の近くでよじよじ動くイモムシと、それに群がるアリ。スラ坊はイモムシを助けたいそうですが、アリも生きるために必死です。命とは、食物連鎖とはを息子に説き、納得したスラ坊はイモムシを助けるべく木の枝で一生懸命こねくり回していました。
「こっちだよ、のって!(・Д・)」
スラ坊ェ…(´;ω;`)
ゴールは小山田の谷、そして温泉へ
アスレチックで遊んだ後は、「クワガタいないかな~(・.・)」と虫探しを再開します。夜行性のクワガタは、日中は日陰となる場所に隠れているそうですが…やはり簡単には見つかりませんね。
向かう先、本園の東側は小山田の谷という湧水地です。カエルの合唱でも聞こえるかと期待を膨らませますが、残念ながら聞こえず。代わりに木道のトントンと小気味良い音が静かな森に響きます。
湧水地を抜けると、小山田緑地ハイキングのゴールです。後はバス停まで田んぼの脇を歩いていきます。スラ坊は今日一日本当によく歩いてくれました。何せ自分から報告してくるくらいですから(笑)
15時5分、バス停に着きました。嬉しいことに、帰りの温泉で立ち寄る予定の多摩センター駅までのバスが出ているようです。さて、次のバスの時間は…?
15時00分発
ヌウ!!ニアミスじゃねーか!!では次回は!?
17時00分発
2時間後かい!仕方ないので、唐木田駅まで歩いていくことにしました。もちろん、ここまで一生懸命歩いた息子に負担をかけるわけにはいかないので、スラ坊は抱っこで。
抱っこで…坂道エグくない?
もはやトレーニングと化した最後の坂道歩きを気合いで攻略し、近くのセブンイレブンで休憩と水分補給を。用意してきた飲み水はまだありますが、炎天下で飲む炭酸はこれまた格別の味わいなのです。
舗装路を歩いていると、なんと虫探しの締めくくりにカマキリを発見!カマキリは見つけたら喜ぶ虫ですよね~。見た目がインパクトありますから。
ところでカマキリと言えば、NHK『香川照之の昆虫すごいぜ!』で香川さん扮するカマキリ先生のおかげでしょうか、最近の子どもたちは昆虫にすごく詳しいですよね。生物園に行くと、飼育員ばりの知識を披露する子どもがたくさんいてびっくりしちゃいます。
だけど、カマキリに関する知識は知らないほうがいいと思いますよ。色々とエグいので(;´Д`)
唐木田駅まで戻ったら、ひと駅隣の小田急多摩センター駅で途中下車。ここはサンリオピューロランドに隣接する駅なので、駅構内にはキティちゃんをはじめとしたサンリオキャラクターたちが賑やかです。
本日の温泉は、サンリオピューロランドの隣りにある極楽湯多摩センター店。極楽湯は店舗数が日本一ということで、どこかで見たなと思ったら高尾山口駅にあるのも極楽湯でしたね。
こちらの温泉は内湯、露天の岩風呂ともに良質な天然温泉で、さらに天然温泉と炭酸泉をかけ合わせた「金色の炭酸泉」という目玉もあります。訪れた日はちょうど縁日イベントが開催されており、なんと内湯に100個を超える数のおもちゃがばら撒かれていました。プカプカと浮かぶアヒルや極楽湯のマスコットキャラに、ぼくも息子も大喜び。
さらに、ぐでたまとのコラボメニュー(期間限定)もあり、どれも可愛いので迷ってしまいます。スラ坊はうどんを、ぼくはお蕎麦を食べて大満足でした。
温泉の質も良かったし、食事やイベントも充実している極楽湯。店舗数日本一というだけあって、非常に満足度の高い日帰り温泉施設ではないでしょうか。
小山田緑地の親子ハイキング、終わりに
虫探しということで訪れた小山田緑地ですが、こんなにも豊かな自然が多摩センターのすぐ近くにあるとは意外でした。調べてみると、多摩エリアにはまだ多くの緑地やハイキングコースが設定されており、また、町田市には12コースものフットパス(※)があります。※イギリス発祥の「歩くことを楽しむための小径」のこと。
今後も季節と目的に合わせて、様々なコースを歩いてみたいですね。いつか息子に「もの足りないよ」と言われるのも楽しみの一つだったり…
さあ、次はどこへ行こうかなぁ。
■東京の名山、高尾山でも虫探し