子どもが目を輝かせる遊びの一つに「虫探し」があります。しかし、ぼくはセミとイモムシが大の苦手だったため、そこまで情熱を注ぐ遊びではありませんでした。見るのは平気なのですが、触るのが…
ところが、自身も親となり、子どもと遊ぶようになってからはいつまでも虫がニガテ!と言っているわけにはいきません。面白いもので、山歩きをしていると虫を見る機会が多いため、自然と苦手意識はなくなっていきました。
今回は自然と昆虫の宝庫である東京・高尾山を舞台に、息子と一緒に虫探しにでかけた時のお話です。
どうも、スラ男です。
「今年はなんと10連休!」ということで、日本全国の行楽地で大混雑が予想された今年のゴールデンウィーク。
ぼくもこの連休中に息子スラ坊と一緒に、東京都の人気観光地である高尾山へハイキングに出かけようと計画を立てていました。息子に「高尾山に虫探しに行こう!」と言うと「いいよ!」と嬉しそうな笑顔が返ってきました。
連休中でも、高速道路の利用と混雑の集中するお昼時を外してしまえば、それなりに空いている場合もあります。ぼくは過去に公共交通機関で早朝に高尾山を訪れておりますが、いずれもゴールデンウィークの混雑を感じたことはありませんでした。
しかし今回は3歳の息子とハイキングですので、早朝着が難しい問題です。なので、大型連休直後ならさすがに皆様どこへも出かける気力はないだろうと睨み、連休の翌週に高尾山へ向かいました。これが功を奏し、昼の高尾山でもさほど混雑は感じないという驚きの結果です。
ということで、新緑眩しい高尾山のハイキング、もといグルメ旅が始まるわけです。え?虫探しですか…?うん、まあ…(´・ω・`)
■高尾山(2019年5月11日) 目次
春の高尾へ直行!Mt.TAKAO号
高尾山へのアクセスですが、新宿から京王線の特急を使えば1時間弱で到着してしまうので、子どもと一緒でも安心です。さらに、以前10月に高尾山を訪れた時に、紅葉シーズンに「Mt.TAKAO号」が走っているという情報を見ましたが、実は新緑シーズンにもありました。
このMt.TAKAO号は新宿を出ると高尾山口駅まで直行となり、他のどの駅にも止まらないため快適な電車旅が楽しめます。令和のヘッドマークの前で記念撮影をし、いざ乗車です!
この座席指定列車、京王ライナーが導入された当初は、需要があるのか?という危惧や批判が少なくなかったそうですが、ふたを開けてみれば利用客の間では大好評とのことです。
ただでさえ混雑する京王線ですから、帰宅ラッシュ時などは座席を確保するためには一本電車を見送ることもしばしば。その「座りたいな」という心理に見事にマッチしたというわけですね。
このMt.TAKAO号ももしかして満席になるのでは…?とも思いましたが、乗客はほとんどいませんでした。やはり大型連休の影響でしょうか。
乗車後、車掌さんから限定のトレーディングカードがプレゼントされました。これにはスラ坊も大喜びです。
快晴の高尾山口駅にあっという間に到着です。赤紫色の車体が眩しく、さっそく京王ライナーのプラレールと絵本が欲しくなってしまいました。これは近々、京王れーるランドに行かないといけませんね…
ちなみに、京王ライナーは京王れーるランドで売っている絵本ではしんごくんという名前で登場するので、ぼくたちも「しんごくん!」と呼んでいました。京王線はけい太くんです。
■けい太くんたちについて
さて、電車旅に熱が入ってしまいましたが、今回の目的はあくまでもハイキングです。高尾山はどのコースも魅力的なので、いずれ稲荷山コースや6号路も紹介してあげたいところなのですが、スラ坊の楽しみはリフトにあります。
なので、今回もお得な切符である「高尾山きっぷ」を用意しました。ケーブルカーとリフト、どちらか選べるのが良いところだと思います。
5月上旬の高尾山と言えば、薬王院にあるアズマシャクナゲが隠れた名所なのですが、山麓の広場でもひっそりとその姿を見せていました。
いつも大行列を成しているリフトは、待ち時間なしで乗れたから驚きです。去年10月に訪れた時は、直前の台風の爪痕が凄まじかったのを覚えておりますが、リフト付近もきれいに修復されたようです。さすが高尾山。
■去年の高尾山親子ハイキング
リフト終点より少し先、ケーブルカー終点の中腹広場もこの空きようです。これならいつも長蛇の列に諦めてしまう高尾山グルメも食べ放題ですよ!「スラ坊、何食べる?(ソフトクリーム食べたいな…)」
「つぶつぶあいす(⌒▽⌒)」
ディッピンドッツ・アイスクリームという、近頃よく見る粒状のアイス。カラフルな見た目と、-196℃が生み出す新食感がクセになるそうで、スラ坊も見る度に「あれかってー(・∀・)」とおねだりしてきます。ちなみにぼくの分はない。
ぽかぽか陽気の5月はアイスの美味しい季節でもあります。先ほどまでいた都心部を眺めながら、ここで小休憩。まだほとんど歩いていませんが。
アイスだけではなく、お腹も満たしたいという方はこちらはいかがでしょうか?
展望レストランの手前で売っている天狗ドッグです。注文すると目の前でソーセージとパンを焼いてくれます。
天狗の鼻のように長いソーセージと、焼きたてのパンがベストマッチの逸品です。この長さから食べ歩きには向かないので、展望デッキで休憩がてら食べることをオススメします。
ぼくは手前から、スラ坊は奥からソーセージをかじるというポッキーゲーム的なこともできちゃいます。熱ッ!?
この展望デッキからはなんと奥多摩方面、空気が澄んでいれば雲取山まで望むことができるのです。しかし、多くの方は手前の八王子ジャンクションに視線が誘導されてしまうようです。
さあ、休憩もそこそこに、そろそろ目的である虫探しをしたいところです。
静寂の3号路、虫さん出ておいで
いつもなら観光客でごった返している1号路ですが、この日は嘘のように歩きやすく、また静かな道中でした。まだ高尾山口駅がリニューアルされる前、足繁く通っていた頃の情景を思い出します。
さる園・野草園を過ぎた先の鳥居が分岐路となり、ここから吊り橋が見どころの4号路、そして未踏の3号路へと繋がります。
今回ぼくは「虫探し」をテーマにしておりますので、高尾山の喧騒から離れ、静かに動植物の観察ができるという3号路を初めて歩いてみることに。
ちなみに、あくまで虫探しであって、採集ではありません。高尾山は昆虫の宝庫として有名ですが、高尾登山電鉄より昆虫採集に対して下記のようなアナウンスが出ております。
昆虫の採取は禁止されていませんが自然保護の観点からなるべくご遠慮ください。特に野草類、植物類、野鳥は持ち帰ると法律で罰せられます。尚弊社では、ケーブルカー・リフト駅周辺および構内では、昆虫の採取を禁止しております。
高尾山の自然とマナーを守っていくためにも、なるべく見るだけ、撮るだけにしたいものです。
3号路へ入っていくと先ほどまでの賑やかなムードが一転し、一気にひと気がなくなりました。何人かとすれ違うこともありましたが、「ここは本当にあの観光地の高尾山?」と思うほど静寂に包まれています。
静かな登山道を楽しむぼくとは対照的に、息子スラ坊はあまりの静かさに怖くなってしまったそうです。しまった!以前に奥多摩の赤ぼっこへ行った時の反省が生かされていないじゃないか。子どもは賑やかな場所が好きですよね、ごめんねスラ坊(´・ω・`)
そんな時、高尾ビジターセンターから助け舟が出されます。数箇所に設置された案内板を読んだりして、道中を盛り上げていきましょう。
まるで幽霊のような見た目のギンリョウソウは、この時季だとまだ早いか。
「きのねっこにもようがかいてある(・∀・)」
子どもの発想というのは実に面白く、大人が見たなら「木のコブ」だけで処理してしまいそうな情報を、自分の中にある情報を総動員させて、咀嚼し、新しい概念として生み出してしまいます。
言われてみれば、彫刻作品のように見えてきました(笑)
さて、肝心の虫探しは、ガの幼虫と思われるケムシならたくさんいたのですが、チョウやコウチュウ類は見つけることができませんでした。
高尾山は日本三大昆虫生息地の一つに数えられるほどの昆虫の宝庫ですが、素人の探し方ではなかなか見つけられず…5月から見られる虫がたくさんいるだけに残念です。
足元のケムシを怖がる息子を抱きかかえて歩いていると、ブーン!と重たい羽音とともに目の前に大きなハチが現れました!
刺激しないように静かに後ずさりすることで難を逃れましたが、緊張の一瞬でした。一瞬すぎて何ハチかはわかりませんが、かなり大きめのハチです。もしあれが毒性の強いスズメバチだったら…と思うと一気に汗が冷たくなりました。
ところでこの3号路、入り口から50分ほど歩いておりますが登りという登りがほとんどありません。平坦な登山道をずっと歩くものだから、そろそろでは…?と予想していましたが、やっぱり来ましたね。終盤の階段ラッシュです。
ただ、この階段もずっと続くわけではないので、かなり歩きやすいコースだなと感じました。何より静かなのが魅力です。
階段を登りきると、開けた休憩場所に到着しました。ここは若葉の天幕が心地よく、本コースで一番オススメの場所です。ベンチもあるので、ぼくたちもひと休み。
1号路との分岐路から先、5号路との交差点近くまでは新緑のカツラ林を見ることができます。高尾山のカツラは大正14年に植林されたものだそう。
今回初めて3号路を利用しましたが、情報通り静かな山歩きが楽しめました。もう少し季節をずらせば、虫たちも賑やかになるのかな?また季節を変えて訪れたいですね。
高尾山となめこ、グルメハイキングの巻
高尾山の山頂も、いつもより人が少なく快適な空間でした。人だかりが絶えない山頂標周りもご覧の空きようです。
山頂では、記念撮影や山ごはん、展望を楽しむ方々など思い思いの過ごし方で高尾山を満喫していますが、ぼくたちは真っ先にビジターセンターへ入ります。
ビジターセンター内にあるこの昆虫パズルがスラ坊のお気に入り。イラストのような風景が見られれば最高だったのですが、いつか見せてあげたいですね。「スラ坊はどの虫が見たいの?」
「マイマイカブリ(・∀・)」
えぇ…?
そういえば、高尾山では春と秋の季節にスタンプハイクが実施されています。コースに設置されたスタンプを貯めて、その個数と種類に応じて応募できる内容が異なります。
設置箇所も寄り道にはなりませんし、子どもは喜びますよねスタンプ。全部集めるコースは一苦労ですが、5スタンプコースなら高尾山口からの往復で貯まるので簡単です。
山頂の展望台からは丹沢山地方面と富士山が望めますが…あいにく富士山は春霞で隠れていました。
さて、実は今回、虫探しのほかにもなめこ汁を食べるという目的があるのです。高尾山となめこと言えば、奥高尾と呼ばれるエリアの小仏城山で売っているなめこ汁が有名です。何でも、多い時は一日で700杯も売れるとか。
しかし、午後に入ってから子連れで小仏城山を目指すのはなかなか難しいです。高尾山の山頂からいったん下って登り返し、小仏城山までは70分ほど。再び高尾山まで戻るのであれば往復で2時間ほど要します。
そこで、高尾山山頂から10分ほどのところにある細田屋さんをご存知でしょうか。
こちらのお店でもなめこ汁を食べることができ、また付近はもみじ台と呼ばれているので、紅葉期はもちろん新緑の時季もオススメの休憩場所です。
スラ坊はなめこの味噌汁が大好物なので、ぜひ今回の高尾山でなめこ汁を食べさせてあげたいという思いがありました。熱々のなめこ汁をズズズ…と美味しそうに食べている息子を見ると、ここまで来て良かったなと思います。
食べ終わったら再び高尾山へ戻り、1号路で下山です。舗装路がほとんどで味気ない1号路も、この時季だとシャガで賑わいますね。
薬王院にたどり着くと決まって食べたくなるのがこちらぶどう酢が入った力(りき)ソフト。味のある手作り看板も密かな楽しみです(笑)
このソフトクリームを食べながら、スラ坊が繰り返し押すものだから延々とリピートされる『若いお巡りさん』をBGMにするのがお決まりです。やけに耳に残るんですよねぇ…
帰りも待ち時間なく乗ることができたリフト。たまにはケーブルカーにも乗りたいんじゃない?と息子に聞くと、「リフトがいい!」と、えらくお気に入りの様子です。確かに、大きなブランコみたいで楽しいですもんね。
下りてきた清滝駅では、八王子のご当地アイドルグループがライブを行っていました。加えて、熱狂するファンの方々の激アツなパフォーマンスを見た後は、ひんやりとクールなかき氷がたまりません。
ハイキングの締めくくりには、駅に併設された「京王高尾山温泉 極楽湯」で一日の疲れと汗をさっぱりと流します。入浴後はキンキンに冷えたビール!といきたいところですが、小さな子どもと二人なので自粛。レストランで刻みタマネギが特徴の八王子ラーメンをいただきました。
帰りはけい太くんに乗って、ゆるゆると帰途につきました。
行きは元気満タンのスラ坊ですが、帰りはぐっすりと眠ってくれるので助かります。寝ると湯たんぽ並に熱くなるのがネックですが。
高尾山の親子ハイキング、終わりに
スラ坊と二人で高尾山に来るのは2回目になりますが、前回よりもたくさん歩いてくれたことに成長を感じます。しかし、目的であった虫探しが空振りだったのが少し残念です。虫を探すのであれば盛夏がいいのかもしれませんが、子どもの体力面を考えるとまだ厳しそうですね。
ただ、それを補って余りある魅力が高尾山にはありますから、また季節を変え目的を変え、何回でも訪れたい山です。
さあ、次はどこへ行こうかなぁ。