北アルプス、立山(たてやま)。山の友人から「絶対に行った方が良い」と何度もすすめられていた場所ですが、ついに行く機会が!
初めての富山県、初めての標高3,000m超え、そして友人たちと初めての立山。準備段階からワクワクが止まりません!
雲上の別天地、標高3,000mから見渡す一大山岳パノラマ。
どうも、スラ男です。
今回は、富山県立山町にある北アルプスの名峰・立山を歩いてきた時のお話です。
立山へのアクセスは、長野県・富山県をつなぐ立山黒部アルペンルートという山岳観光ルートが便利です。これにより、高山初心者が初めて3,000m超えの山を体験するのにおすすめというわけですが、天気の急変や高山病などといった高山特有の知識・対策が求められます。
全ての準備を整えれば、あとは当日の絶景を願うだけ。楽しみ過ぎます、念願の立山。
■立山(2023年9月2日)
立山黒部アルペンルートで、いざ室堂へ!
前日の夜に東京を発ち、富山県側から立山駅駐車場を目指します。途中、有磯海SAにて夜食休憩をしてから無事に駐車場へ滑り込めました。長距離運転をしてくれた友人には感謝感謝です。
立山駅駐車場周辺は約900台+混雑時のみの臨時駐車場約600台が用意されているので、それなりにゆとりをもって駐車できました。ほら、燕岳の駐車場とかやべーから…
立山駅からはケーブルカー、バスを乗り継いで立山のターミナルである室堂(むろどう)へアプローチします。その辺の段取りは、立山へ何度も来ている友人が心強い。
ただ、運転疲れもあるので始発の時間までしっかり休んでもらい、チケットの発券や列に並ぶのは朝強いぼくが担当。事前にWEBきっぷを購入しておいたので楽々です。※WEBきっぷはすぐに売り切れてしまうので注意です。
友人と交代で列に並んでいる間、立山駅の女子トイレ個室の多さに驚きます。でもこれなら女性ハイカーも混雑が緩和されて安心ですよね。
いよいよ6時40分始発のケーブルカーに乗り込みます。終点の美女平からさらに立山高原バスに乗り継ぎ、室堂へは1時間の道のり。ここでまた休息時間がとれますが、ぼくは圧巻の高原風景に終始車窓にかじりついていました。
そして8時20分に室堂へ到着し、立山とご対面です!!雲がけっこう広がっていますが、あまりにも大きすぎるフィールドに気分はもう最高潮!
今回の立山ですが、立山本峰を構成する三山・雄山(おやま)、大汝山(おおなんじやま)、富士ノ折立(ふじのおりたて)を縦走し、さらに別山(べっさん)を経由して雷鳥沢へ下りる予定です。
神社のある雄山の往復だけなら初心者向けですが、三山や別山までの縦走は距離があるので体力を要します。果たして…!
登山道脇には綿毛になったチングルマの群生しています。もう9月ですからね。というかチングルマの花見たことないかも。
最初に目指す雄山の巨大さに圧倒されてしまいます。それもそう、室堂で既に標高は約2,450mありますから、今まで体験したことないスタートなんです。
登山道を振り返れば、自分が遥か天上にいることが「言葉」でなく「心」で理解できます。え〜エモいなぁ。
鞍部に到着すれば一ノ越山荘がお出迎え。ひと息入れるには最適で、さらに雄大な山岳パノラマが見事に広がります。
前回の北アルプス、蝶ヶ岳からは見ることが叶わなかった極上の山岳展望が!
アルプスに疎いぼくでもパッと見てわかるのは、左側、特異な山容の槍ヶ岳。ほかにも野口五郎岳、水晶岳、赤牛岳、そして右側の笠ヶ岳と聞いたことのある名前が。
こうして憧れの立山にも来られたことだし、いつかあの山へも行けるのかしら。たろうもそんなことを考えているのかも。
絶佳の山岳霊場、立山を往く
一ノ越山荘から立山の主峰・雄山は、岩場の急登を越えた先にあります。室堂から雄山までは初心者向けといっても、こうした岩場での落石や転倒などの事故に遭うリスクはありますのでご注意を。
わずか5分で山荘があんなにも小さく。急坂なら息も絶え絶えですが、岩場は割と得意です。振り返れば先ほどの山々からエールが届きました。
急登の途中には休憩に最適な広場がありました。山頂の神社も見えますが、あそこまでまだまだ遠い。これがアルプス特有の距離感マジック。
眼下にはここまで歩いていた軌跡と、箱庭のような立山の風景が広がります。ここだけ切り取られ、空に浮いているかのような景色です。
山頂の雄山神社に到着です。立山は、富士山、白山とともに「日本三霊山」に数えられるパワースポット中のパワースポット。今後の登山人生を豊かにすべく、念入りにお参りを~!あ、御朱印も忘れずに。
ちなみに、雄山の山頂標はこちらの神社の奥にあります。参拝料を納めると、山頂で御祈祷もしていただけます。
ありがたいお話と登拝証までいただき、初の3,000m登頂の喜びを嚙みしめて次の山へ。
雄山神社の脇からお隣にある大汝山への縦走路がつながっています。左奥に延びる白砂の稜線を早く歩きたい気持ちを抑え、まずは手前の岩峰を攻略します。といっても歩いていくだけですが。
眼下の風景も、稜線を歩き進めることでその表情を変えていきます。季節や時間帯によっても全く違うのでしょうから、この風景に出会えるのは今の一度きりなのかもしれません。
巨石が積み上げられたピークが大汝山、立山本峰の最高峰です。平坦地ではありませんが、ここで昼食休憩をとります。
眼下には黒部ダムと雪渓、その真上に針ノ木岳と蓮華岳、左奥には浅間山も見える絶景はここでしか味わえません。ぜひ昼食休憩をとるならこちらのロケーションがおすすめです。
たろうたちも驚きのあまり硬直しています。表情が硬いぞ!
大汝山山頂のすぐ下には大汝休憩所があります。時間に余裕があればカレーとか食べてみたいけれど、目の前のピーク富士ノ折立を経て別山方面へ向かう予定のため今回は通過。
縦走路の奥に異様な風貌の山が見えますが…それは後ほど。
ニョキっと角を生やしたような富士ノ折立が、立山本峰最後のピークです。
ここから先の別山までは絶景の稜線歩きが楽しめますが、それに伴う時間、体力もなかなかのもの。無理をせず行きましょう!
白砂の稜線、別山と剱岳
立山本峰から先は、真砂岳(まさごだけ)もしくはその先の別山をぐるりと周り、雷鳥沢へ下山するルートがあります。まずは富士ノ折立直下の稜線へ。
立山縦走の際、“天空の稜線”という表現をよく目にしますが、真砂岳までの白砂の稜線がまさにそれじゃないでしょうか。室堂~雄山に比べてハイカーが少ない区間ですが、最高の稜線歩きが楽しめますよ。
雷鳥沢への下山路を分け、真砂岳へ。湧き立つ雲が鹿島槍ヶ岳、五竜岳、そして左端の唐松岳を引き立てます。
真砂岳から別山までの道のりが長く、疲労も溜まってきました。そんな時は絶景を見て英気を養いましょう。ここは立山、良い景色には事欠きません。
別山への登りの手前でいったん休憩。ここには破線ルートですが巻き道があるので、時間と疲労と相談して別山に寄るかどうかを決めます。
「ここまで来たら時間をかけても別山にも登りたい」という心理が働きますが、初めての立山、無理はしないということでここまで来ました。
ということで、別山を見送りハイマツの茂る巻き道へ。もしかしたらライチョウ!と期待しましたが、まあそんな都合よくいきませんよね。別山から下っていくハイカーのシルエットが印象的でした。
別山の魅力は剱岳(つるぎだけ)の正面からの展望ということで少し残念でしたが、巻き道の合流地点からこの絶景が飛び込んできました。
この威風堂堂とした山こそ剱岳その山。雪と岩の入り混じる峻険な姿から「岩と雪の殿堂」と称されます。もちろんアルプス初心者が気軽に立ち寄っていい場所ではなく、十分な経験と技術・知識が必要です。
合流地点から20分弱で剱御前小舎にやってきました。ここから剱岳方面へ向かうことができますが、今はまだ遠くあの城のような岩峰を眺めるだけ。雷鳥沢を経て室堂へと下山開始です。
風光明媚なみくりが池と、縦走を振り返る
長かった天空の縦走もいよいよ下山。向かう雷鳥沢があるところは地獄谷という荒涼とした火山地帯。現在は火山性ガスの危険から閉鎖されていますが、そこから湧き出たお湯を付近の温泉施設に配られているそう。
淡々と下り続ける下山路、視線を横に流せば真砂岳からの下山ルートが滑り台のように延びています。いずれにせよ、登りで歩くには急登地獄といえますね…
下ること一時間で、キャンプ場が見えてきました。あれがかの有名な雷鳥沢キャンプ場ですね。
途中の川で小休止。透明度抜群で、近くで冷やしてあるビールの美味しそうなこと。友人はタオルを濡らして頭から被っていました。これもまた最高か。
雄大な高山を前にカラフルなテントが散らばる風景は、雑誌やテレビでしか見られないものだと思っていました。ですがこうして目の当たりに。何だか実感がわきません(笑)。
キャンプ場から雷鳥荘までの階段による地獄の登り返しは、友人曰く「今回一番キツかった」とのことです。それは地獄谷から流れてくる硫黄のにおいもあるかもしれません。確かにこの区間は踏ん張りどころでした。
雷鳥荘まで登ると、キャンプ場のテントが豆粒ほどに。改めて立山、デカいですねえ。
ついさっきまであの稜線の上に自分がいたなんて、ちょっと信じられない。
さて、みくりが池温泉までやってきました。日本一高所にある天然温泉ということで、オフロスキーなぼくとしてはぜひ入りたい温泉でしたが、今回のルートではバス時間に間に合わないため割愛。次こそォォォ!
そしてついにやってきました、絶景のみくりが池。水面に立山連峰を映した姿は、立山観光で外せない風景です。
周辺は散策路として整備されているので、ハイカーじゃない観光客が多く見られました。室堂からこっち方面へやってきて温泉、なんてプランもありですもんね。
16時ちょっと前、懐かしの室堂へ帰ってきました。朝方よりもハッキリとその姿を見せてくれた立山は、自分たちがあの稜線を歩いてきたということもあって、より神々しさを感じる佇まいでした。
美女平までのバス、ケーブルカーを経て立山駅駐車場へ。お土産も購入して、下山後の富山観光へシフトします。といっても寄れるところは限られてますが。
まずは温泉で汗をさっぱりと流します。立山駅から富山駅方面までの導線上にあるこちら「立山吉峰温泉ゆ~ランド」へ。とろけるような湯心地でしたぁ~…
その後はモンベルヴィレッジ立山でご当地Tシャツを買って、締めの夕食へ。
富山といえば海鮮!海鮮といえば回転!ということで、友人イチ押しの「すし玉」さんで決まりだぁぁぁ!!!
ノンアルコールビールで乾杯して、ギョホホホ、とりあえず富山の宝であるホタルイカ、白エビはマストでしょ!う、う、う、美味あぁぁあぁぁ!
続いてノドグロ、アジ、マダイ!!もう全部美味しい!!
さすがに閉店間際だったので売切れも多かったのですが、富山の味覚を堪能できたので最高でした。また絶対に来ます。
さあ、家に帰るまでが登山というけれど!ここから東京まで謎のテンションでワイワイしながら帰途に着きました。
立山の山旅、終わりに
何もかもが初めての体験だった立山登山。スケジュールを組んでくれた友人、誘いに二つ返事でOKを出してくれた友人には感謝してもしきれません。そして無事に晴天のなかでこの絶景を目にできたことは最高の思い出になりました。
一度きりじゃなくて何度も訪ねたくなる、友人がそう進める理由がはっきりとわかった立山の魅力。季節をずらしたり、麓の観光も合わせてショートコースでもいいのでまた再訪したいですね。
次はどの山にいこうかな。