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なまけたろうと登山ブログ

【群馬】谷川岳 岩と鎖の西黒尾根から絶景の稜線へ

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普段は低山を好むぼくですが、夏になれば空を歩くような山旅に思いを馳せます。とはいえ、首都圏から日帰りで歩ける高山となれば、選択肢は多くありません。

そこで今回スポットが当てられたのが、東京からアクセス抜群の名峰・谷川岳(たにがわだけ)。天気さえ当たれば絶景間違いなし。ネームバリューも文句なし。

夏空、急登、稜線美。アルペンムード漂う谷川岳へ。

 

どうも、スラ男です。

 

今回は、群馬県新潟県の境にそびえる人気の山、谷川岳を歩いた時のお話です。

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仰ぎ見るとネコミミのような谷川岳は、トマの耳オキの耳という山頂からなる双耳峰です。麓から山腹まではロープウェイが通り、手軽に絶景の稜線が楽しめるため多くの登山者から人気を集めています。

一方で、ルートや気象条件によっては難易度が跳ね上がり、手放しで「お手軽な山」とはとてもいえません。容易なアクセスから雪のシーズンも人気だそうですが、豪雪地帯のため油断は禁物です。

馴染みの友人と二人、盛夏のチャレンジ登山の始まりです。

 

谷川岳(2021年7月23日) 目次

 

深夜発、憧れの谷川岳

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今回の遠征も北アルプス那須岳を一緒に歩いた友人と一緒です。「日本百名山」等のブランド高山へのアプローチが乏しいぼくには、その界隈を得意としている友人はかけがえのない存在です。

東京を深夜に発ち、高速道路をスルスルと走って、拠点となる谷川岳ベースプラザへ。駐車場のキャパシティはなんと総数1,500台!夜間も駐車可能なので、さっそく仮眠をとります。

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まだ日が昇る前、4時半ごろに出発です。十分な時間的余裕と体力を確保してから望みます。

というのも、ぼくたちは今回ロープウェイを利用せずに麓から稜線まで直登するため、万全を期していきたいと思います。

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ベースプラザから車道を歩いていくと、西黒尾根登山口が見えました。

この西黒尾根は、「日本三大急登」の一つに数えられるタフなルートです。ぼくも夏の間、ランニングや筋トレなどで準備してはきましたが、いざ対面するとドキドキが隠せません。

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黙々と樹林帯を一時間ほど登っていると、朝日が昇りました。この感じ…最高です。元気を分けてもらえます。

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しかし、やっぱり急登というだけあって、いきなりハードな登りが続きますね。

そうそう、こういう時こそ役立つのが行動食。好物のグミ、なかでもこのタフグミは噛み応え、満腹度、酸っぱさ、そして量をほどよく備えたマストアイテムといえます。※個人の感想です

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樹林帯を抜けると、今日初めての展望が飛び込んできました。遠くに見えるのは、ロープウェイの天神平駅。近いと思いきや、結構な距離を歩くんですね山頂まで。

ロープウェイ利用のハイカーさんたちで山頂が混雑する前に、なんとか辿り着きたいところです。

 

立ちはだかる岩と鎖の壁、西黒尾根攻略戦

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ここまで順調なペースで歩いてきた西黒尾根ですが、その真骨頂はえげつない急登に加え、立ちはだかる岩壁と鎖場の連続にあります。

さっそく現れた第1の鎖場。見た目は派手ですが、足場が確保しやすいのでここは何とかクリア。

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鎖場の先には、大迫力の谷川岳とマチガ沢が!マチガ沢が雪渓になっているため、そこから吹き上げる風が冷たくて気持ちいい。

ところで、稜線に雲がかかっているのが気になります。天気が崩れないといいのですが…

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とはいえ、焦ってケガしたら大変ですよね。ここは絶好のたろうスポット。イエーイ。

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先行する友人も西黒尾根は初めてとのことでしたが、アスレチック通り越して『SASUKE』のようなタフルート。とても面白いです。現時点では。

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そうだ、盛夏の谷川岳といえば、高山植物も見どころの一つでした。この花は見たことあるような、名前何でしたっけ?

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などとのんきに歩いていたら、第2の鎖場が登場です。ここは鎖場の核心部ともいえる場所で、岩の中央部分が一枚岩になっており、これが蛇紋岩(じゃもんがん)のため滑る滑る。鎖とフィジカルに頼らざるを得ません。

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続いて第3の鎖場。こちらは足場がしっかりしていたので難易度はそれほどでも。2番目がえぐかったですね。

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3つの鎖場をクリアすると、ラクダの背というピークが休憩適地なので小休止。目の前には絶景の稜線が見え…見、え??

 

あれ登り返すんですか?

 

 

まるで違う惑星?急転して雲の中へ

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ようやく鎖場を超えた矢先、えげつない登り返しとさらなる急登を目の当たりにしたぼくら。まだまだ元気じゃい!と励まし合い、足を前に。お、重てー…

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振り返ると、ここまでの道のりはそう大変でもないような感覚に。もう何も信じられないんだぜ。

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どれくらい登ったのだろう?しばらく静かな登山が続きました。ふと見上げると、いつの間にか雲の中へ。

西黒尾根は日差しを遮るものがないため灼熱登山を覚悟していましたが、非常に涼しくて肩透かし。しかし、絶景はしばらくお預け。励ましの意味も込めて、ここは晴れていてほしかったなぁ。

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黄色いペイントを頼りに、岩をよじ登って先へ。頑張れスラ治郎頑張れ!俺が挫けることは絶対に無い!

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長い鎖が垂らされた鎖場の横を見てみると、非常に大きな一枚岩が印象的でした。

後で調べてみると、ここは氷河期の跡だそうです。それもあってか、ここだけ別の惑星のように感じます。

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細い鎖場の急登、ザンゲ岩も通り過ぎて、あともう少し!もう少し!見上げた先に、肩の小屋の道標が見えました。うおおおお!!!

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雲の流れるスピードも増してきました。これは青空チャンスも期待大!

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ハァハア…ゼェゼェ……谷川岳肩ノ小屋に辿り着きました。ここまで長かった~!約4時間の登り、思わず友人とハイタッチ。

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小屋前で小休止し、いよいよ二つの山頂へ向かいます。目の前に連なる稜線にかかる雲は、まるで生きている龍のよう。戻ってくる頃にはすっきり取れてくれるといいんだけど。

 

トマの耳とオキの耳、天空の稜線歩き

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肩ノ小屋からひと登りで最初の山頂、トマの耳へ着きます。高山の大自然にとけこむように建つ山小屋、素晴らしい風景です。

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まずは標高1,963mのトマの耳。気になる名前ですが、トマとは手前、つまり麓の水上・湯檜曽から見て“手前”の耳ということらしいです。

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残念ながら周囲を雲に覆われて360度の絶景は叶いませんでした。それでも標高以上のスケール、空を歩いているかのような気分に先ほどまでの疲れはどこへやら。

谷川岳楽しいいいいい!!!ヒャッホー!(単純)

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次のピークまでの稜線は惚れ惚れする美しさ。雲がいい塩梅で出ており、さながら仙境のような風景。確信しました。ここに神様住んでる。

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辺りの雲のせいか、谷川岳のいかめしいシルエットが際立ちます。お次はオキの耳へ。

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とその前に、先ほど肩ノ小屋から見た稜線がはっきりと見えてきました!

ここは谷川主脈という絶景の縦走路だそうです。まだぼくのレベルでは到底歩き通せませんが、天空の花畑と名高い平標山(たいらっぴょうやま)から仙ノ倉山(せんのくらやま)の稜線は、いつか歩きたい道です。

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話を戻して、やってきましたオキの耳!手前を意味するトマに対して、なるほど“奥”の耳ですね。

標高は1,977mなので、こちらが谷川岳の最高点になります。タフなルートを歩いてきたから余計に達成感が、うう……!

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下を覗き込むと、凄まじい高度感に足がすくみそう。恐竜の背のような眼下の尾根が気になります。

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二つの山頂を堪能し、耳の間に下りてくるとロープウェイ組が続々と。混雑する前に帰路に着けるのは深夜発最大のメリットといえます。

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とはいえ、下山に使う天神尾根も果てしなく長そう。ロープウェイ駅は見えていますが、これは一筋縄ではいかなそうです。

 

下山は天神尾根、そして“あの温泉”へ

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絶景を眺めながらひたすら下る天神尾根。こんな爽快な道ならいつまでも歩いていられそうです。そう思ってましたこの時は。

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だんだん多くなる登りの登山者、急な下り、そして鎖場。登山道渋滞が起きる要因フルコンボだドン!

というか、天神尾根って初心者向けルートというイメージでしたが、ガッツリ登るし急登じゃないですかー!ヤダー!

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避難小屋のある休憩適地まで下りてきました。まだ時間は11時半。これからが谷川岳の混雑ピークなのでしょうか。人が本当に多かった。

ところで、夏秋だけでなく、冬も大人気の谷川岳ですが、降雪時はこの熊穴沢避難小屋が埋まることもあるそうで。え、何それ怖い……

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避難小屋を過ぎてからは完全に樹林帯となります。ここも思ったより長かった。

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ついに、ついにロープウェイ天神平駅に辿り着きました!

ここで標高1,319mなので、山頂との差はたったの600m!?体感では1,000m以上の高低差があったような気がします。おそらく、谷川岳が標高の割に十分すぎるアルペンムードを漂わせているからではないでしょうか?

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駅周辺はすっかり観光地なので普段着の方も。当然、登山道に入る場合はしっかりとした装備が求められます。

まあ、ここからでも十分すぎる景色ですが。ネコミミ谷川岳、登山道の割に見た目がかわいすぎる問題。

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ロープウェイに乗って、しばしの空中散歩。

絶景を他所に、この時ぼくと友人が考えていたことは120%で一致します。

 

「早く風呂入りてえ……」

 

 

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プハー!!下山後のコーラとかいうベスト・オブ・ベスト!このために山登ってますハイ。

谷川岳ベースプラザの駐車場に戻り、ちょうどお昼時です。この後は麓で蕎麦を食べにいきましょう。人気のお店とのことで入れるか不安ですが…

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ベースプラザから車で10分ほどの距離にあるこちら、「そば処 角彌(かどや)」さん。新潟名物のへぎそばが食べられると聞いて、すごく楽しみです。

ところが、お店に着いたらやはり大行列が!整理券をもらって、車の中で待つことなんと一時間!!ちょうどいい仮眠タイムとなり、結果オーライ(笑)

ざるそばは予想に反して「直盛り」スタイル。へぎそばというとあの独特の盛りのイメージしていましたが、茹でたてがすぐ食べられるこちらの盛り方が人気のようです。美味しい~!!

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蕎麦を堪能した後は、そのまま県道63号線を進み分岐を左へ。20分ほどで宝川温泉で旅の締めくくりです。こちらの宝川温泉 汪泉閣(おうせんかく)」は、映画『テルマエ・ロマエⅡ』のロケ地としても知られる名湯です。

豊かな自然に包まれ、最大200畳もの広さを誇る大露天風呂は圧巻ですが、何より特徴的なのは“混浴”ということ。もちろん女性専用の露天風呂もあるし、別館にある内湯は男女に分かれています。

また、2019年から湯あみ着の着用が義務付けられたので、混浴へ抵抗のある方も入りやすくなったのかもしれません。ただ、夏場は虫が非常に多いので苦手な方には…というところですかね。やはり一番人気は紅葉シーズンでしょう。

 

谷川岳の山旅、終わりに

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興奮と不安が入り混じった山旅となった今回の谷川岳

実は谷川岳は、800名を超える死者を出している遭難事故件数の高さから魔の山というレッテルを貼られ、ギネス世界記録にも登録されています。しかしそれは一般ではない登攀ルートでの話。

まずは無事に登って下りてこられたこと、そして誘ってくれた友人に感謝感謝です。

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夏山ということで不安定な天気、突き刺さる日差しに苦戦もしましたが、それゆえに登頂の喜びもひとしお。次は紅葉を見に訪ねてみたいです。

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そしていつかは谷川主脈への挑戦も……なんて、絶景だけでなく、夢や期待も膨らむ山旅となりました。

 

次はどの山に行こうかな。