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なまけたろうと登山ブログ

【奥多摩】今熊山 ツツジに桜、花咲き乱れる信仰の山へ

4月中旬、低山が最も華やぐ季節。毎年このタイミングになると登りたい山が多すぎて困ってしまいますが、その分楽しみも蓄積されていきます。

去年は念願の外秩父の春を堪能したので、今年は久しぶりの奥多摩エリアへ。訪れた今熊山(いまくまやま)は、桜とあわせてミツバツツジが咲き乱れる、まさに“山笑う”を体現したかのような山。

ツツジ彩る、春の秋川低山めぐり。

 

どうも、スラ男です。

 

今回は、東京都八王子市の秋川丘陵に含まれる今熊山を歩いてきた時のお話です。

ミツバツツジの群生に彩られているのは、麓にある今熊神社。この素晴らしい風景を見るべく訪ねた今熊山ですが、このあと隣接する縦走ルート、戸倉三山(とくらさんざん)も合わせて歩いて行きます。長くなるので、それは記事の後編にでも。

まずは今熊神社を目指して駅からハイキング。もちろん徒歩で。

 

■今熊山(2022年4月9日) 目次

 

青空と桜を楽しみに、小峰公園へ

奥多摩といえば、御岳山や川苔山のある青梅線沿線が人気の登山エリア。しかし、拝島駅から分岐する南側の秋川丘陵はかなり空いています。これをしめしめと思うのは静かな山行を好むぼくの悪いクセなのか。

ホームから改札階へ下りると、木の温もりを感じる素敵な空間が。ここは多摩地域の木で生産された多摩産材(たまさんざい)が使われています。高尾山でもよく見かけるし、実はいろんなところで使われていたり。

さて、目指す今熊山まではバスが出ているのでそれに乗ればあっという間ですが、この季節ならばまちなかの風景をじっくりと見ていくのもいいし、里山の散策を織り交ぜるのも面白そう。

というわけで、今熊山まで歩いて行くことにします。まずは秋川沿いの遊歩道を散策。桜が咲いているだけでこんなにも楽しい道に。

市街地を抜けて、坂道をぐんぐん進んでいくと小峰公園に辿り着きました。よく整備された里山で、レクリエーションや里山の体験学習も楽しめます。

ビジターセンターの駐車場内には立派な桜の木が。青空とのコントラストも良き。

この小峰公園を通って今熊山へ向かうわけですが、この時季は公園内の桜尾根がベストルートとなります。というか、これが目的のひとつ。

この辺りに住んでいたら、毎朝散歩したくなるような優しい景色。こういう景色が好きなんだよなぁ。

長くは続きませんが、その分ゆったりと歩いていきたい桜尾根。展望広場へ続く分岐あたりで桜とはいったんお別れです。

展望広場からは、御岳山や大岳山方面が見渡せます。東屋もあるので小休止にもぴったり。

展望広場からそのまま今熊山までハイキングコースを進んでいきます。小峰公園最高地点の手前には急な階段が!ここで汗が吹き出します。

コース途中で東京電力の変電所が見えてきたら、ここがチェックポイント。緑の金網沿いに分岐があるので、今熊山へ向かう場合は左折しましょう。直進すると金剛の滝方面へ行きます。

階段が見えたらここを下りて、変電所に沿って歩いて行けば今熊山の麓に着きます。

ところで、変電所なる施設を目にした初代ポケモン世代ならば、思わずサンダーを探しにウロウロしてしまいそう。金銀リメイク版での施設前に佇んでいる姿はもはや伝説。なるほどこれが伝説のポケモンか。

 

今熊神社を彩るミツバツツジの大群生

変電所から道標に従い今熊山を目指します。まずは麓にある今熊神社のミツバツツジへ。時季であれば看板が立っているので迷うこともないと思います。

今熊神社に到着すると、奥にちらちら見える桃色の花々が眩しい…!まだだ…!まだはっきりと見ちゃダメだ!

まずはお参りから。既に数名の参拝客が訪れており、この後も続々とミツバツツジ目当ての人たちが。まずい!混む前に早く見ねば!!

 

うわあああああ!!??

 

あまりの美しさにここまでの疲れが吹き飛んだ!ミツバツツジが一面に咲き乱れる様は、まさにツツジの海。

駐車場側に回って、見上げる構図も美事。ツツジの奥に咲いた桜もまた良き。少し散り始めなのが惜しいですけど、十分すぎる。

たろうもきれいだと感心している様子。ほんとか?

そんなに大きくない神社なのですが、花のスケールが大きすぎてお腹いっぱいです。どこにカメラを向けても絶景。駅チカの山でこれほどの規模のツツジが見られるなんて。

たっぷりと花を愛でたら、いよいよ今熊山へ向かいましょう。

 

関東の“呼ばわり山”と名高い今熊山

今熊山へ向かうには、神社の右奥にある階段を上っていきます。今熊山までは軽ハイキングの道のりではありますが、その歴史を紐解くと、かつて修験者たちが登ったという霊験あらたかな山だそう。

きれいさから新しめなものに見えますが、丁目石も見つけました。

ある程度登っていくと、眼下に先ほどまでいた今熊神社のミツバツツジが鮮やかに。秩父にある武甲山から望む芝桜を彷彿させますね。

ところで、この今熊山は別名を“呼ばわり山”といわれています。失くし物や尋ね人を探す際に山頂から大声で呼ぶと戻ってくるという信仰があり、この今熊山も“呼ばわり山”のひとつに数えられ、江戸時代には多くの参拝者で賑わったとのことです。

そういえば、持っている本で、高尾山も“呼ばわり山”といわれているという民話があったような。何だか天狗が関わっているような気がしてなりません!

しばらくすると、天狗岩という展望の良い場所が。ほら、やっぱり天狗だ!天狗が攫っていったものを、天狗が返している。これが呼ばわり山の仕組みなんですよ。ソースは天狗です。

神域を示す注連縄の巻かれた二本の木の間を通っていくと、これまた見晴らしの良い休憩適地へ出ました。ベンチもトイレも完備の好スポット。

ここから尾根をしばらく歩けば今熊山はすぐです。途中にはミツバツツジヤマツツジと思われる蕾がちらほら。今熊神社のミツバツツジとは花期が合いませんが、週をずらしても尾根上で花見が楽しめそうですよ。

山頂には奥宮が鎮座しています。周辺を調べてみると、やっぱり天狗のウチワの紋がありました。麓か奥宮かは不明ですが、木彫りの天狗像一対も配置されており、その祭祀形態も修験道の特徴を物語っているそうです。

東京都神社庁によれば、今熊神社は元々は紀州熊野本宮大社から勧請され今熊大権現として伝わっていたとのこと。まさか「今熊」という名前にそんなルーツがあったとは…

いやあ今熊山、ミツバツツジだけでなく歴史にもどっぷりと浸かれる素晴らしい山ですね。ショートハイクの場合は、ピストン登山もいいですし、山頂から金剛の滝方面へ下りるルートもあります。

tちなみに、今熊山の歴史を深掘りするなら金剛の滝は外せないスポット。以前に見たことがありますが、不思議な洞窟と滝の景観は一見の価値ありですよ。

 

後編では、戸倉三山の縦走へ。展望の刈寄山、養蚕と狼信仰の残る市道山と臼杵山と個性的な山々を歩きます。

 

今熊山の山旅、終わりに

ミツバツツジのすごい山!ということで訪ねた今熊山でしたが、まさに圧巻の風景、言葉が出ませんでした。天気も花のタイミングもばっちりで、春爛漫の山歩きを楽しむことができました。

同じく秋川丘陵にある網代弁天山(あじろべんてんやま)という低山も、ツツジの素晴らしい山というから、またいつか訪ねてみたいところです。

また、バスでのアプローチが便利な今熊山ですが、駅から小峰公園の桜尾根を歩くのもおすすめです。今熊山だけのショートハイクなら距離もちょい足しできますし、何より長閑な里山風景にキュンとします。

 

次はどの山に行こうかな。

 

■後半は戸倉三山へ

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