低山を歩いているとしばしば目にする“ご当地名山”。栃木県では「栃木百名山」が下野新聞社により選定されていますが、なんとさらに範囲を狭めた「足利百名山」というのがあるそうで。
足利に百個も山があるの?名山は盛りすぎでは?いえいえ、人目を惹く巨大文字、冒険心くすぐる岩登り、そして山頂からの大展望。期待値を大きく上回る素晴らしい低山がそこにはありました。
迫りくる岩・岩・岩、足利ロックフェスティバル。
どうも、スラ男です。
今回は、栃木県足利市の西側にある大小山(だいしょうやま)へ親子でハイキングしてきた時のお話です。
不思議な名前を持つこの山の魅力は、なんといっても岩また岩のロッククライミングにあります。また、標高313mという低山ながら、ほぼ360度の大パノラマが山頂から楽しめるのも素晴らしい。地元の方が何度も登りに来ているという、地元愛たっぷりの山です。
■大小山(2021年9月20日) 目次
車窓から見えた謎の白い文字は何?
9月の良く晴れた日。雲もなく、遠くまで見渡せそうな空を狙って子どもとハイキングへ。ローカル線を乗り継いでやってきたのは、栃木県足利市。ここには小粒ながら個性的な低山がそろっているので、密かにリピートしています。
目的の山へ向かう途中、電車の車窓から何やら不思議な文字が見えてきました。山肌に掲げられた白い文字。あれはいったい何でしょうか?
文字の正体は後ほどわかるとして、JR両毛線、富田駅からレッツハイク。駅のすぐ右手側にある駐輪場から線路を渡っていきます。
駐輪場の管理人さんから「今日はどこ行くの?大小山?あそこはいいよぉ!頑張って!」とエールをいただきました。嬉しいスタートです。
一方、息子スラ坊は道端でぴょんぴょん跳ねるバッタに夢中。「見てお父さん!つかまえた!」とすごく嬉しそう。そしたらバッタにニックネームをつけて、目指せ、ポ〇モンマスター!
バッタを逃がして、舗装路を進みます。途中にはハイキングコースの道標が設置してありますので、そんなに迷う心配はなさそう。もちろん、YAMAP等の地図アプリは必携ですが。
犬伏街道に出て目印の三柱神社を左に折れます。すると、端正な形の山が見えてきました。地図には西場富士(にしばふじ)と記載されていますが、秋葉山ともいうそうです。秋葉というと天狗の山でしょうか。
西場富士から連なる稜線を左になぞっていくと、車窓から見えた白い文字の正体がわかりました。「大」と「小」の文字です。大小山はなんと名札をつけていたのです。
でも、いったいなんの大と小?
天狗の住む霊山、岩場が楽しい男坂へ
駅から30分ほど歩いていくと、鳳仙寺手前にあるお茶屋さんが見えました。ここの看板に、大小山の由来が書いてあります。なるほど、大天狗と小天狗の大小山。もしかしたら、先ほどの西場富士(秋葉山)も天狗つながりとか?
鳳仙寺のすぐ先には、大小山登山口となる阿夫利神社があります。ここには無料駐車場とトイレがあるので、地元の方はマイカー利用が多いみたいですね。
ぼくたちも支度を整え、いざ。スラ坊はこの杖を持ちたがっていましたが、岩登りには不向きのため、またの機会で。
岩場が多い山なので、安全祈願。天狗様、天狗様、どうかいたずらしないでくださいまし。
ゴルフボールが取り付けられた柵を通れば、舗装路から徐々に階段がメインの登山道になってきます。
階段脇には大量のイガグリが転がっていました。これを見たスラ坊は大喜び。確かに、イガグリ落ちてるとテンション上がりますよね。え?
「階段ばっかり~、岩は~?」と先を行くスラ坊。あわてるこたーない、おちついて歩こう。
階段のすぐ先が、男坂と女坂の分岐です。「スラ坊、岩場の男坂と緩やかな女坂どっちがいい?」と聞くと、「そりゃ男坂でしょ!」と頼もしい回答。
ちなみにこのスラ坊、岩場が大好きだといい自分のことをほぼヤギと評しています。
そうこうしているうちに、段々と大きな露岩のある道になってきました。両手両足を使って、しっかりと登りましょう。
途中、お気に入りの岩場を見つけてはスラ坊の撮影タイム。リュックから恐竜のアニアを取り出し、ジュラシックワールドを繰り広げます。良い、スゴク良い!なんだかティラノサウルスの咆哮が聞こえてきそうです。
さすがに滑落の危険がある場所ではおもちゃはしまい、天然アスレチックに全力を注ぎます。
そうそう、今回岩場の多い山ということで、子ども用の簡易登山靴を準備してきました。グリップもそこそこで、息子も歩きやすいと喜んでくれました。良かった。
鎖場の先で女坂と合流し、その少し先からは例の白い文字「大」「小」の看板が間近に迫ります。遠くからだとわかりませんが、かなり大きいです。
看板の見える地点には休憩所もあり、栃木低山の展望が見事です。中央の三毳山(みかもやま)から、左の山塊は岩舟山(いわふねやま)・晃石山(てるいしさん)です。三毳山の間には茨城の名峰・筑波山(つくばさん)もかすかに見えます。
ここでひと息つきたいところですが、山頂まではもうひと登り。頑張ります!
岩壁を超えた先、360度の大パノラマ
休憩所からハシゴを登っていくと露岩の稜線に出ます。先の見えないハシゴを一段一段上っていくのはドキドキですよね。
おっとバッタです!これは以前見たヤブキリとは見た目が違いますね…調べてみると、ミヤマフキバッタが近いかも。バッタの同定って結構面白いかも。
稜線の先、大小山山頂に辿り着きました。こじんまりとした露岩の休憩地ですが、はて?展望は……??
そう、冒頭で大小山山頂は大展望といいましたが、実は、「大小山」はこの先にある妙義山(みょうぎさん)と合わせた総称なのです。※諸説あり。
ということで、展望は妙義山までお預けです。そしてそのご褒美を得るには、最後の岩場への挑戦が待っています。
妙義山直下、露岩の登りへ突入です。下ってくる人もいるので、慎重に。
下から岩を登っていく息子を見守るのは、何かこうグッとくるものがありますね…頑張れスラ坊、頑張れっ!
まあ、スリリングではありますが、そこまで険しいというわけではありません。スラ坊もすいすい楽しそうに登っていました。ただ、日差しがキツい…
やった~~~!!妙義山に辿り着きました。山頂には無数のチョウが飛び交っており、いい雰囲気を演出します。ただ、直射日光ゥゥゥー!!
お楽しみの山岳展望です。西側には大坊山(だいぼうさん)までの縦走路がつながっています。当初、あちらまで行けたら行く予定でしたが、暑いしそれなりに満足したので周回コースに変更します。
大坊山の背後には、赤城山(あかぎやま)の山並みがはっきりと見えます。実はまだ行ったことないんですよね…夏あたりに行きたいな。
北側には男体山(なんたいさん)を始めとする日光連山が!北関東の百名山が見渡せる大展望。いやはや、恐れ入りました大小山。
山頂には続々と“常連さん”らしき方々が集まってきて、賑やかになってきました。ぼくたちも親切なおばちゃんに花の情報やコース情報など教えてもらい、その流れで談笑していたら「ご家族ですか?」なんて(笑)。
昼食休憩を終えたらいよいよ下山です。それにしてもスラ男よ、なぜこの炎天下でカップラーメンをチョイスした?汗だくで平らげました。
また来たくなる、地元の名山・大小山
さて、予定では大小山から大坊山へ縦走でしたが、満足したのでこのまま阿夫利神社へ。子どもの体力、暑さ、満足度などを考慮するとこれでベストでしたね。
妙義山からは大岩を経て、妙義山コースで下山します。このコースも露岩が多く、途中にはかなり険しい岩場もありました。ここはロープを使って慎重に。
こちらのコースにも、大小看板の展望台があります。
中間地点の大岩。かなりの大きさで、中は洞窟のようになっていました。妙義山コースは登りでも面白そうですね。
岩場が終われば、後は気持ちの良い緑の尾根をひたすら下るだけ。と思いきや、終盤にかけて細くえぐれた道が続き、結構大変でした。
ゴルフボールの柵が見えたら、阿夫利神社の駐車場でゴールです!やったねスラ坊。
マイカーならここでブイ~なのですが、駅まで30分の舗装路がこたえます。まあ、お話しながらのんびり行こうよ。
この暑さだし、帰りに温泉でもあればさっぱりなのですが…ないんだな、それが。
それなら自販機で下山後炭酸キメようぜ!ということで、自動販売機で購入しようとすると、おおーーー!!!カエルちゃん!!!この頃カエル運がきてます。
かんぱーい!!!
このために山登ってるゥー!!
行きと同じく、富田駅に到着して帰途につきます。時季であれば、すぐ隣にはあしかがフラワーパークがあるので、下山後に花見なんて楽しみ方も面白いかもしれませんね。
ぼくたちは、今は花見より温泉のほうが恋しいですが…
大小山の親子ハイキング、終わりに
足利低山、大小山。コンパクトなコースにもかかわらず、体全体を使って楽しめる岩場、名だたる名山を見渡せる展望台など、楽しみが盛りだくさんの山でした。
そんな大小山に登ってみて感じたのは、地元に非常に愛されているということ。地元の方が口をそろえて「またおいでね」といってくれたのも印象的でした。こういう地域とのつながりにふれあうのも、低山歩きの楽しみの一つです。
次はどの山に行こうかな。