子どもとハイキングをするようになって、親子ともにだんだん自信がついてきました。高尾山や筑波山といった観光地化された山から、ステップアップとしてアドベンチャー感たっぷりの山に挑戦したい。
そんな時、埼玉県日高市にある低山に注目してみると、駅からほど近いにも関わらず、山深く、岩壁をよじ登っていくワイルドな山が見つかりました。
立ちはだかる岩の低名山、日和田山(ひわださん)へ。
どうも、スラ男です。
今回は、展望と岩壁が楽しめる駅チカの山、日和田山へ親子でハイキングしてきた時のお話です。
日和田山といえば、麓にある巾着田の曼殊沙華が有名ですが、今回は時季を外してのハイキング。花はなくとも岩がある。何より子どもは岩登りが大好き!
曼殊沙華だけじゃありません、日和田山の岩の魅力を堪能しに、いざゆかん。
■日和田山(2021年5月15日) 目次
独特のモニュメントが建つ高麗駅
飯能市や日高市の低山が集まる奥武蔵エリア。都心からアクセスするには池袋から出ている西武線の特急ラビューが便利です。何より座り心地と大きな車窓が良いので、ついつい利用してしまいます。
日和田山へ行くには、西武池袋線の高麗駅(こまえき)が最寄りとなります。駅前の広場には何やら独特のモニュメントが一対、目を引きます。このモニュメントは将軍標またはチャンスンといい、朝鮮における魔除けの境界標なのだそう。
なぜこの地に異国の文化が?というのも、かつての朝鮮・高句麗(こうくり)から日本に亡命してきた渡来人たちがこの地に集められたことが高麗の地名由来になります。
なるほど、広場の将軍標とつながりました。歴史好きな方は高麗の文字でピンとくるかもしれませんね。
広場で支度を済ませたら、線路を渡り、将軍標を模した道標を辿りながら歩いていきます。地図を見てみると、この辺りには高句麗とのつながりを示す文化財が点在しているようです。
高麗川にかかる鹿台橋を渡り、信号を左折していくといよいよ登山口へ。
登山口の駐車場には、女性で初めてエベレスト登山を成功させた田部井淳子さんの顕彰碑が建てられていました。凄まじい功績を持っている方ですが、田部井さんは日和田山のロッククライミング場で腕を磨き、また晩年も訪れていたといいます。
そんな偉人も愛した日和田山、いったいどんな山なのか期待が膨らみます。登山口からするりと中へ入ると、家族や友人、多くの人で賑わう里山の表情です。
「おとうさん、まって!」と、息子スラ坊。
スラ坊の最近のお気に入りのおもちゃ、アニア。そのジュラシック・ワールドモデルを取り出して、いい感じの岩の上に並べています。なかなか迫力がありますね。
お気に入りのおもちゃやぬいぐるみを持参して、山で撮影する。ぼくは登る以外にもこうした楽しみ方を尊重したいので、たっぷり時間をとってあげたい。なにせ自分もやっているので。
満足の写真が撮れたら、最初の休憩ポイントが見えました。鳥居をくぐると、男坂と女坂の分岐です。もちろん、ぼくたちはワイルドコースの男坂へ。
スラ坊もおやつのグミを食べてエネルギー補給。全体としては短いコース設定だけど、岩場が続くため油断は禁物。しっかり補給して臨みましょう。
天然のアスレチック、男坂の岩登り
ひたすらグミをもぐもぐするスラ坊を促して、男坂方面へ。一般に、男坂が急坂、急登で、女坂は緩めの坂道ということですが、果たして日和田山の男坂は?
水が流れ落ちるところから、いかつい岩の階段をよいしょよいしょと登っていきます。
手も足も、体全体を使って岩登り。地元の保育園や小学生の遠足で親しまれているという日和田山ですが、こんな素敵な山が間近にあるって最高では?
岩にはマーキングがあるので、そこから取りつきよっこいせ。子どもは軽々と岩の上へ。「はやくー!」とスラ坊。赤いから、緑のぼくの3倍速い。
岩の上を蹴って、すいすい加速していく赤い彗星のスラ坊ァ。奴は鳥居奥の休憩地点でたった一人でグミを食べ尽くした…に、逃げろ…!!
岩場を登り切ったところからの眺めは、達成感も相まって感動!眼下に丸く囲まれたところが巾着田(きんちゃくだ)。確かに、巾着みたいな形です。
恐竜のアニアも勢ぞろい。映画『ジュラシック・パーク』ラストシーンの咆哮が聞こえてくるようです。
絶景を眺めながら昼食休憩。いやぁー、最高ですね。
賑わいの山頂、そして巾着田の散策
休憩後は下山…ではなく、先ほどの展望場所は山頂ではありませんので、神社裏から山頂を目指します。
賑わう声が近づいてくれば、日和田山の山頂は間もなく。中央には宝篋印塔(ほうきょういんとう)があり、麓のお寺、聖天院により建てられたとのこと。
今回は聖天院やその先の高麗神社には立ち寄らなかったので、次回は高麗の歴史探訪と題してめぐってみたいと思います。
日和田山から奥へ向かえば、高指山、物見山へと縦走できますし、そこから鎌北湖、宿谷の滝、五常の滝方面へと、下山+観光の組み合わせが多彩です。ぼくたちはショートコースなので、チャートの小径から巾着田方面に下山します。
途中、男岩というロッククライミング場があるというので、見学していきましょう。
当然ですが、往路の男坂とは比較にならないほどの岩壁。
登山とロッククライミングの両方を嗜む方もけっこういるみたいですが、ぼくは今のところ縁がないようです。ボルダリングは興味ありますけど。
登山口まではジュラシカルなシダの道が続きます。ぼくはこういう雰囲気にテンション爆上がりなのですが、相棒のスラ坊は薄暗い雰囲気が苦手なよう。でも、草食恐竜に葉を食べさせたり、撮影は楽しんでました(笑)
無事に下山後、巾着田横の河原に立ち寄り、しばし水と親しみます。石をひっくり返したり、手を入れたりして生き物探し。
カエルさん見っけ!!かわいいいいいい!!!!
これにはテンション爆上がりのスラ坊。飛び跳ねて表現しているようです。時間も余っていますし、人もまばらな巾着田を散策してから帰ることにしました。
巾着田は、春には桜と菜の花、秋には曼殊沙華(彼岸花)とコスモスが咲き乱れる花の名所として知られます。夏にはアジサイが見られますが、5月半ばはちょうど休憩の時季。日和田山がすごく良かったから、これは再訪しちゃいますね。
長閑な里山の風景を、じーっと観察するスラ坊。後ろ姿、丸すぎ。
先ほどまでいた日和田山の姿が見事。展望の良い金刀比羅神社が目立ちます。
先ほどの河原がえらく気に入ったらしいスラ坊と「今度は家族みんなで遊びにこようね」と約束し、巾着田を後にしました。宮沢湖まで足を延ばせば温泉にありつけますが、今回は高麗駅へ戻りゴールです。
日和田山の親子ハイキング、終わりに
遠足や家族ハイキングで賑わう日和田山。思っていたよりもしっかり岩の山で驚きました。スラ坊も最初から最後まで楽しそうに登ってくれて、大満足でした。
奥武蔵の低山は複雑に入り組んでいますが、自由にコースを組み替えて楽しめますので、同じ山でもまた違ったアプローチで登れるのが特徴です。次に日和田山を訪ねる時は、桜か、はたまた曼殊沙華か。今からもう楽しみです。
次はどの山に行こうかな。