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なまけたろうと登山ブログ

【鎌倉】衣張山 非日常を訪ねて、鎌倉歴史ハイキング

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都心から電車で約一時間と、抜群のアクセスを誇る鎌倉エリア。

背の高い山こそありませんが、そのぶん町と山とが密接に関わり合う歴史の深さは言わずもがな。かつて源頼朝(みなもとのよりとも)が創設した鎌倉幕府の遺構が町のそこここに見え、手軽に歴史ハイキングが楽しめます。

新年最初のショートハイクにと訪れたのは、鎌倉南東部にある衣張山(きぬはりやま)。ある夏の日、頼朝が妻の政子のためにこの山に衣を張り、雪山に見立てて涼をとったという素敵な山名由来を持つ山です。※諸説あり

海と町と、山と歴史と、親子で楽しめるハイキングの聖地・鎌倉へ。

 

 

どうも、スラ男です。

 

 

今回は、神奈川県鎌倉市にある衣張山から逗子へ抜けるコースを親子でハイキングしてきた時のお話です。

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ハイキングの始まりこそ薄暗くしっとりしたシダ植物が群生する登山道を歩きますが、山頂が近くなれば一気に展望が開け、鎌倉市街地と相模湾に加え、富士山まで楽しめるのが本コース最大の魅力です。

また、コース随所に佇む石仏や歴史遺構も見どころで、知を訪ねるハイキングを楽しむのも面白そうではありますが…?

 

■衣張山(2021年1月4日) 目次

 

ウォーミングアップに鎌倉市街地を探索

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清々しい朝の鎌倉駅。元旦から3日あたりまでは、鎌倉ともなれば初詣の賑わいが予想できますが、コロナ禍ではどんな様子だったのでしょうか。三が日を外した鎌倉の人出は、思ったよりも疎らでした。

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鶴岡八幡宮の参道である段葛(だんかずら)は、桜の時期には美しく彩られるとのことですが、冬枯れの風景も味がありますよ。魅力的な沿道のお店を横目に、衣張山の登山口まで歩いていきます。

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もちろんバスも多く出ていますが、久しぶりの親子ハイキング、ウォーミングアップという名目で市街地の探索を楽しみます。主にぼくだけ(笑)

鶴岡八幡宮の鳥居を右に折れて、滑川を渡れば田楽辻子のみちへ。その昔、田楽師が住んでいたことに由来する小道は鎌倉時代からよく歩かれていたそう。

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田楽辻子のみちを歩いていくと、“竹の庭”で有名な報国寺に辿り着きます。登山前に安全祈願と、非日常感を演出する竹林で気持ちを盛り上げていきましょう。

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竹の庭に一歩足を踏み入れれば、一気に別世界へ。空気の乾いた冬でもこの雰囲気ですから、ぜひとも竹林がしっとり青々とした夏に再訪したいところです。

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竹林を眺めながら抹茶とお菓子が楽しめるお茶屋さんもありますが、そちらはまたの機会で。

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ところで、寺社に興味があれば、御朱印帳は鎌倉ハイキングには欠かせないアイテムの一つではないでしょうか。というより、鎌倉で寺社めぐりをする際は、ハイキングのほうが欠かせない要素と言ったほうが正しいかもしれません(笑)

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報国寺を出た後は、そのまま南に進めばU字型に衣張山へと至るショートコースになります。しかし、ぼくたちは逗子市に抜けるコースのため、いったん田楽辻子のみちへと戻り、坂道の先の平成巡礼道へ。

「後ろ向きに歩けば疲れない!」とは息子スラ坊の妙案ですが、誰もがそう言うんだよ、最初だけは

 

寄り添う道祖神と、絶景の衣張山

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令和元年の台風被害により、鎌倉もまた甚大な被害が報告されています。当然ながらハイキングコースもしばらくの間通行止めとされていましたが、整備が進みいくつかのコースは通れるようになりました。ありがたいことです。

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倒木を跨いだり渡ったりを繰り返し、薄暗い森の中を進みます。岩肌にびっしりと並ぶシダ植物は、いかにも太古の森っぽさを感じさせるのでぼくにはたまりませんが、スラ坊はあまり好きじゃない、どころか苦手のよう。

「シダの山はもうやめてね(´・ω・)」

いやいやそれは難しいよ、そんな要望は無シダ。

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ぼくが衣張山で一番気に入ったのは、山頂の展望ではなくこの道祖神(どうそじん)。

道祖神は外界から災難や病気を防ぐために設置され、旅の安全や縁結びの神様とも言われています。それにしてもこの二人、なんとも安らかな表情が微笑ましい。

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背よりも高い笹薮を抜けていくと、山頂はもう間もなく。

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辿り着いた衣張山の山頂からは、富士山、鎌倉市街地、そして相模湾の絶景が広がっています。開放感たっぷりで、登山口からわずか15分でこの景色はちょっと信じられません。

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山頂は休憩適地で、いい感じの岩に腰掛ければ目の前の絶景を眺めながらのランチタイムが楽しめます。山頂標は見当たりませんが、白い柱がその代わりでしょうか。

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後に来た学生さんグループが「エグいエグい!エッグ!エッグ!」と口々に絶景の感想を漏らします。なるほど、彼らがあの有名なメンズエッグ

ちなみに、元来「エグい」とはマイナスイメージの表現ですが、最近では転じて「凄すぎる」という使われ方も増えています。言葉はどうあれ、どんな景色でも「良き」と思う心はいつまでも大事にしたいと思います。

 

名越切通、鎌倉の歴史遺構を訪ねる

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衣張山の絶景を後にし、お次は名越切通や大切岸などの歴史遺構が見られる逗子エリアへ。この先は細い尾根伝いとなるので、滑らないように注意が必要です。

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鎌倉市自然ふれあいの森へ下山すると、すぐそばに「関東の富士見百景」の案内板が。どういうわけか富士山の正面に雲がかかり、終始全景は見えませんでした。やはり早朝か…

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すぐ近くは市街地のはずなんですけど、気が付くと山奥にいるような錯覚に陥ります。そこが鎌倉、逗子エリアの山深さということなのでしょう。上着を羽織り、おやつを食べて進みます。

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尾根伝いを歩いていると、小さな崖のように切り立っているところに出ます。ここはお猿畠の大切岸(おさるばたけのおおきりぎし)というところで、その形状から鎌倉幕府の防御遺構だと考えらていましたが、後の調査で石切り場であることが確認されたようです。

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特異な景観から、確かに敵の侵入を阻む防御地形のように考えてもなんら不思議はありません。もちろんその可能性が完全に否定されたわけではないようですが、いずれにせよロマンが広がる不思議な地であることは確かです。

ここはねぇ、昔石を切っていた場所みたいだよスラ坊。「へー(´・ω・)」テクテク

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大切岸から名越切通方面へ戻り進んでいくと、何やら頭上で動く影が。リスです!タイワンリス

スラ坊が「わあ可愛い~!」と思うのは仕方ないですが、鎌倉市では野生のタイワンリスによる獣害が頻発しているとのことで、見つけても餌をあげてはいけないと呼びかけています。

近くにあった看板を見て、スラ坊も他の人に「エサあげちゃダメなんだって」と呼びかけていました。スラ坊、君もしかして名誉鎌倉市民?

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さて、いよいよ歴史探索もクライマックスを迎えます。道幅が段々と狭く、そして厳めしくなってくれば、名越切通(なごえきりとおし)に到着です。

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この切通は、鎌倉と三浦半島を結ぶ交通の要路として開削されたそうで、その険しさから難越し(なごし)と呼ばれ、名越と転訛したと言われます。

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切通は交通要路のほかに、先の大切岸を含めた周辺の遺構から防衛要所としての見方もあるようです。人一人分にまで狭まったこのスペースを見れば、確かに三浦半島からの侵入を防ぐための砦的な役割を持っていた…のかもしれません。

ただ、近年の発掘調査により現在の切通の景観は、かなり新しい時代に作られた可能性が高いことがわかっています。お猿畠の大切岸は石切り場としての側面を持つことからも、断定はできませんが。

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名越切通を出れば、まるで異世界から現代に帰ってきたかのようで、すぐに市街地に出られます。鎌倉方面にある銭湯、清水湯への立ち寄りも考えていましたが、あいにくこの日は定休日。最寄りのバス停から帰途へ着きます。

 

衣張山の親子ハイキング、終わりに

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都心にもほど近く、子ども連れでもちょうどいい鎌倉ハイキングの良さは、手軽に“非日常さ”を味わえる点にあると思います。周辺の寺社の雰囲気もさることながら、山々に眠る歴史を訪ね歩き、帰りにお土産を買って現実世界へ帰る。そのどれもが非常にコンパクトなので、無理せず楽しむことができます。

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低山のため夏場は厳しいですが、秋冬と花咲く春は一日フルに使って親子ハイキングが楽しめる素晴らしい鎌倉・逗子エリア。お次は三浦半島まで足を延ばして、さらに良い低山に出会いたいところです。

 

次の山旅はどこにいこうかなぁ。