歴史ある社寺仏閣、オシャレなお店やグルメなどのイメージが強い古都・鎌倉。毎年1月には600万人ほどの観光客が押し寄せるという観光都市ですが、海と山に囲まれた自然豊かな一面もあり、多くのハイキングコースが整備されています。
ほとんどのコースが1時間半~2時間半程度で歩くことができるので、子どもを連れてのハイキングにもピッタリ。しかし、3歳児と一緒に歴史探訪は渋すぎます。
そこで今回は、下山後には鎌倉グルメを食べ歩くというプランで、鎌倉観光を楽しんできた時のお話です。
どうも、スラ男です。
12月の上旬までなら高尾山や鎌倉で紅葉が楽しめると聞き、今回の山旅を計画しました。しかし、台風24号が巻き起こした「塩害」により、鎌倉の紅葉はシーズン前に既に壊滅状態にあるとの噂が(;´Д`)
現地で見てきた感じでは、最盛期の写真などと比較すると確かに紅葉が少なく、イチョウに至ってはほとんどが落葉していました。にも関わらず鎌倉に強く惹かれたのは、鎌倉アルプスの冒険感と、鎌倉グルメが楽しみで仕方なかったからです。
ということで、あれもこれも食べたくなる、そんな魅力的な鎌倉への山旅…もといグルメ旅が始まるわけです。
■鎌倉アルプス(2018年12月1日) 目次
紅葉狩りで賑わう鎌倉へ
鎌倉へ来るのは初めてではありませんが、学生の時に訪れたきりなのであまり記憶にありません。京都や奈良もそうですが、社寺仏閣、歴史の名所は今になって「もっとちゃんと見ておけばよかった…」と思うばかりです。
今回は北鎌倉駅を起点に建長寺を目指して歩いていくのですが、駅を下りると鮮やかな紅葉にいきなり目を奪われました。
自宅から鎌倉まで来るには、電車を何本も乗り換えなければなりません。ですが、息子スラ坊は大の電車好きなので、乗る電車見る電車が増えれば増えるほど喜んでくれます。特に今回初乗車の横須賀線が気に入ったよう。
横須賀線だけでなく、大好きな湘南新宿ラインも通るので大喜びです。駅から500mほど線路沿いを歩けますので、スラ坊にとってはワクワクのスタートとなったに違いありません。
途中には明月院への分岐もあり、アジサイの時季は混雑が予測されます。空いている時こそゆっくりと見てみたいところですが、明月院を見送り幅の狭い歩道を進んでいきます。
駅からのんびり20分ほど歩けば、立派な寺標の建長寺が見えました。一文字がスラ坊ほどの大きさとはたまげます。拝観料を払っていざ境内へ。
こちらの建長寺は、鎌倉五山と呼ばれる格式高い寺院の一つで、境内にある国宝や重要文化財の数は枚挙にいとまがありません。そもそも、境内そのものが「建長寺境内」として国の史跡に指定されているほどです。
ただ、その一つ一つを追っているとスラ坊に置いていかれてしまうので、雰囲気だけ噛みしめて桜並木の奥へ。
仏堂の前にはビャクシンの古木がその存在感を際立たせています。見るものを圧倒するこの巨樹は、なんと推定樹齢760年だそう。絶対精霊いる。
「ふくろうさん」とスラ坊。置き物は触れるけど、動物園などで実物を見ると怖がってしまうんですよねぇ。でも鳥って独特の怖さがありますよね。
ところで、フクロウといえば「不苦労」の語呂合わせで縁起の良い存在としてお守りなどでよく見かけます。こちら建長寺にも複数のフクロウの置き物がありましたが、やはり縁起ものだから?
調べてみると、仏殿に住み着いたハトを除けるためだそうです。天敵であるフクロウがいるとなればハトも近づけないので、設置したそうな。余談ですが、フクロウには「魔除け」の力も持つそうです。
広大な敷地の建長寺の奥へ奥へと進んでいくと、ハイキングコースの入口となる半僧坊への長い階段が見えてきました。この石段が根こそぎ体力を奪っていく最初の試練となります。
頂上近くになってくると、複数の天狗がお出迎え…というよりは、本殿を守るように睨みをきかせています。天狗というと長い鼻のイメージが強いですが、長い鼻を持つのは大天狗、鳥の嘴を持つのが小天狗(または烏天狗)と分けられています。
山旅をしていると出会うことの多い天狗という存在。修行を積んだ僧が死んだ後の姿と考えられており、神仏としても妖怪としても今日まで語り継がれているその魅力は尽きません。
小さな武士と行く、天園ハイキングコース
半僧坊からはいよいよハイキングコースへ入っていきます。最高点の大平山を経て瑞泉寺へと下る縦走路は天園ハイキングコース、または、ご当地アルプスの一つとして鎌倉アルプスと呼ばれています。
かつて源頼朝が幕府を置き、海と山に囲まれ天然の要塞と言われた鎌倉。そんな歴史の舞台が今日ハイキングコースとして整備され、老若男女問わず多くの観光客に歩かれることになるとは頼朝も夢にも思わなかったでしょう。
まずは幅の狭い石段が続き、登る人と下る人とが行き交います。スラ坊が元気よく「こんにちはー!」と言うと、ありがたいことに皆様「こんにちは!」や「一人で登って偉いねえ」などなど返してくださいます。
石段からの展望は開けており、相模湾や先ほどまでいた建長寺が望めます。
道が平坦で歩きやすいのか、笹のトンネルをガシガシ歩くスラ坊。ただ、雨の翌日などはぬかるみやすく、また岩場が多いので子どもと一緒に訪れるならよく晴れた日が望ましいですね。
岩場が増えてくると俄然楽しいようで、今回は「抱っこ(・o・)」が全くありません。
一部ロープを使う急な岩場もありましたが、苦戦しながらも無事に下りることができたスラ坊。天然のアスレチックを楽しんでいるみたいです。
鎌倉の植生がよくわからなかったのですが、様々な種類の植物が入り交じる雑木林は見応えがありました。
森深くなってきたところで鎌倉でよく見るというリスを期待しましたが、終始出会えず。スラ坊に「リスに会えるかも」なんて言ってしまった手前、親子ともども肩を落とします。
切通しを歩いていく小さな武士のスラ坊。下から攻め入るのは困難を極め、逆に上から守りやすそうで「天然の要塞」も納得の地形です。
半僧坊から歩き続けて50分ほどで、鎌倉市最高地点の大平山に到達です。普段歩いている山と比べると標高は159mと低いですが、海も山も望める抜群の眺望を誇ります。
最高地点の岩場から少し下ると、休憩に適した広く明るい草原へ続きます。この先には休憩所もありますが、多くのハイカーがここで休憩しておりました。
ぼくたちは名物の「おでん」が食べたかったので、この先へ進みます。
名物おでんと紅葉の獅子舞
ところが、ぼくの予習不足により悲劇が起きてしまいます。
なんと、この先にある峠の茶屋が跡形もないのです。そこでおでんを食べようと計画していたので、慌てて調べてみると2016年5月に閉店していたようです。ぼくは鎌倉アルプスを歩くのは初めてで、しかも観光地だからという先入観があったため油断していました…(;´Д`)
「峠の茶屋跡」となった広場もまた、多くの方の休憩場所となっていました。「おでんは…?(´・ω・`)」と悲しそうな顔をするスラ坊ですが、この先にもう一軒の休憩所があるから行ってみよう!と励まします。
もう一つの休憩所である天園休憩所の名物は「ふろふき大根」です。貼り紙のイラストからもわかるように、見た目もインパクト大な大根にゆず味噌がたっぷり。食欲をそそります。
しかし、休憩所まで行ってみると「本日終了しました」の貼り紙が。
周りのハイカーさんいわく、具材が売り切れたため今日は営業終了したとのこと。12時40分のできごとでした。えぇ…紅葉のシーズンだから…?
明らかにしょんぼり(´・ω・`)しているスラ坊。ごめんね。
おでんがないとあっては、下山後の鎌倉グルメに全力を注ぐしかありません。瑞泉寺方面よりもちょっとだけ時間を短縮できる、獅子舞を経由して鎌倉宮を目指すことにしました。
この獅子舞というコースは、鎌倉アルプスの紅葉の名所として知られています。谷地から伸びる背の高い大イチョウやモミジが一箇所に集中し、見上げれば鮮やかな色彩の天幕が張られたような風景が広がります。
そう…広がるはずなのですが、やはり台風24号の塩害のせいか紅葉はまばらで、周りにいた人たちも「今年はだめだなぁ」とやるせない表情をしていました。
イチョウもまだ緑色の葉のまま落葉しており、なんだか気持ち寂しそう。スラ坊はガサゴソと葉をかき分けるのが楽しそうなので何より。
ほんの一部ですが、真っ赤に紅葉している箇所もありました。
紅葉スポットを抜けると、シダや苔に覆われた沢沿いの道になってきます。日当たりが悪く道もぬかるみが多いので、3歳児と一緒に歩くにはあまりよいとは言えないコースです。
今回は紅葉の本気を見られずに終わりましたが、「本当に鎌倉か?」とも思える景観の獅子舞。ぜひまた再訪したくなるような場所でした。
お待たせの鎌倉グルメとパンめぐり
下山後はお楽しみの鎌倉グルメです。食べ歩きグルメが集中する鶴岡八幡宮の周辺までは獅子舞の入口から歩いて30分ほどあるので、その前に途中の鎌倉宮でトイレ休憩を。
鎌倉宮から500mほど先の交差点にあるこちら「モン・ペシェ・ミニョン」が本日の一軒目。実はぼくもスラ坊も大のパン好きでして、鎌倉には美味しいパン屋さんも点在しているそうなので色々チェックしてきました。
「フランスパンの最高峰」といわれるビゴの店ですが、店内に入るとまずパンの香りが美味しい。パン屋さんって入るだけでも幸せな気持ちにしてくれますよね。どれも美味しそう…スラ坊はクロワッサンが好きなようです。
おやつ代わりにパンをパクついた後は、鎌倉観光の定番である鶴岡八幡宮へ。
人の多さに拝殿までは行きませんでしたが、白鳩だけは見たかったので白旗の立ち並ぶ旗上弁財天社に立ち寄ります。すると、木の上にたくさんの白鳩が。スラ坊はハト自体を怖がっていましたが、ぼくはハトの「落とし物」のほうを怖がってしまいます。
また、白鳩のほかにもたくさんの水鳥やコイが泳いでおり、エサをあげることもできます。コイのエサやりってなんでこんなに楽しいのでしょうか。そして必ずいる食い意地すごいやつ…(;´Д`)
神社を出て信号を渡り右折した先、曲がり角まで行くと美味しいハム、ソーセージのお店、腸詰屋があります。こちらで2軒目の食べ歩き。
そのまま小町通りを駅方面に進んだ先、鎌倉点心で豚まんを一つ購入。最近肉まんにハマっているスラ坊にはうってつけのお店です。
子どもと二人で来ているのでお酒は飲みませんが、美味しそうです…
鎌倉まめやがある交差点を左折し、若宮大路に出て右手側に美味しそうなソフトクリームのお店ぎゅう舎が。運動後の甘いものは美味しいですよね。
どこかのお店に入って食べるのもいいですけど、子どもと二人きりなので半分ずつでより多くのグルメを食べる。せこいようですが食べ歩きを楽しむには効率のよい方法だなと感じます。
さて、食べ歩きを楽しんだ後は帰るだけなのですが、電車好きなスラ坊のためにもうひと頑張りしたいところです。JR鎌倉駅から御成通りを進んだ先には江ノ電が走っていますので、その姿を見に行きましょう。
それなら鎌倉駅からでも見られますが、御成通りに最後に寄りたいお店があるのです。それがこちら、KIBIYAベーカリーさん。またパン屋です。
こちらのパンをパン好きな妻へのお土産として、本日予定していたグルメめぐりは無事終了となります。ここのあんパンはとても美味しかった…
ホームに入り、間近でみる江ノ電に大興奮のスラ坊。もちろん、駅構内には江ノ電グッズショップもありますので、自然と吸い込まれていきます。
本日スラ坊のお土産は、江ノ電のプラレール。量販店にはサウンド付きの江ノ電も売っていますが、こちらは鉄道会社限定のものです。2両編成の可愛いプラレールですが、お値段はかわいくありません(´;ω;`)
そんなぼくの荒んだ懐事情も知らずに、スラ坊はスヤスヤと眠ってしまいました。
鎌倉アルプスの親子ハイキング、終わりに
思っていたよりもずっと自然を満喫できた鎌倉アルプス。そして何より今回は、スラ坊がその行程をほとんど自力で歩いてくれたことが、驚きでありまた嬉しくもあります。
おでんが食べられなかったのと、獅子舞の紅葉が本来の見応えに及ばずとなりましたが、それを補って余りあるほどの楽しさが鎌倉にはぎゅっと詰まっていました。
さあ、次はどこに行こうかなぁ。