埼玉県飯能市に去年11月にオープンした、メッツァビレッジ。北欧のライフスタイルを楽しむテーマパークということで、今年3月にはムーミンバレーパークのオープンも控え、ますます北欧の風を吹かせる飯能に期待せずにはいられません。
しかし、飯能市にはもっと以前からムーミンの気配を漂わせる公園があるといいます。はじまりは一通の手紙から、飯能市に何故ムーミン?という謎を紐解きながら、ぜひ子どもと一緒に訪れたくなる公園を歩いてきた時のお話です。
どうも、スラ男です。
今回は子どもと一緒に行く親子ハイキングです。高尾山の次はどこがいいかな?とガイドブックとにらめっこの日々。乗り物や施設の多さを重視するなら、筑波山や青梅の御岳山、または伊勢原の大山あたりも候補に浮かびました。
しかし、茶所で有名な入間市に、以前から気になっていた丘陵地帯があったことを思い出します。加えて、この丘陵地帯のゴールには子どもがたっぷりと遊べる公園があるということが決め手となり、今回の山行計画が決まりました。
ということで、入間市にある加治丘陵(かじきゅうりょう)から飯能市の「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」へと向かう、北欧の雰囲気を味わう山旅が始まるわけです。
■加治丘陵(2018年11月17日) 目次
茶所・入間の茶ん歩道、加治丘陵
埼玉でハイキングといえば、奥武蔵エリアをはじめとした飯能市よりも西側の紹介が顕著なので見落としがちですが、わずかに手前の入間、狭山、所沢でも丘陵地帯のハイキングが楽しめます。
入間市と青梅、飯能市の境目に位置する加治丘陵は、最高地点が203mで、南面に茶畑が広がる茶所らしい景観が特徴です。この里山保全のため整備が行き届いた丘陵地帯をのんびりと歩きながら、お目当ての公園を目指していきます。
快晴の11月中旬、西武池袋線の仏子(ぶし)駅に10時前に到着です。子どもと一緒のハイキングだと、朝3時に起きて4時出発~!というわけにはいきませんが、それなりに早い時間でのスタートを心がけています。
本日もお気に入りの恐竜パーカーのスラ坊は、目の前を颯爽と走る西武線の特急レッドアローに目を奪われています。
今年3月にデビュー予定の新型特急「Laview(ラビュー)」が走るようになれば、このレッドアローを目にする機会も減ってしまうのでしょうか…
さて、仏子駅から加治丘陵までは、まずは市街地を縫って歩いていきます。道中には「ふれあい茶ん歩道」の道標もあるので、入間市が配布している加治丘陵のマップと合わせて活用していきます。
ちなみに、道標には加治丘陵の文字はなく、目指すのは「桜山展望台」です。
■入間市 加治丘陵
小さな公園の近くで稼働中のショベルカーを見つけました。間近で見るショベルカーの迫力にしばし足を止めてしまいます。はたらくくるまは永遠の憧れです。
住宅の石垣にかかるこの看板を見落とさないように注意です。展望台のほうへ右折し、その先の坂道をつづら折りに登っていきます。
坂道を見ると、スラ坊は「きゅうこうれっしゃのおとおりだ~!」と、きかんしゃトーマスに出てくるゴードンのまねをして駆け抜けていきます。そしてまた坂道を下り、以下繰り返し。トップハム・ハット卿の出番ですね。
坂道の途中で、大きな彫刻作品が見えてきました。この作品を見上げながら、スラ坊はゴードン、ぼくはスペンサーとなって二人の競争が始まりました。※スペンサーは、トーマスに出てくる公爵夫妻専用の機関車です。
「ゴードンの4!」(ゴードンの車体番号は4番)というように、トーマスで数字を覚えたスラ坊。この緊急位置表示版はこの先もずっと続くのですが、8番だけ見つけられなかったのが悔やまれます。
つづら折りの坂道を登りきれば、整備されたアップダウンの道へと続きます。登山道の右手に、どんぐりの会なる看板と展望台へと続く道がありました。
少し覗いてみると、飯能市街地と秩父の山々の展望が開けています。中央よりやや左にある、ピラミダルな山容の武甲山が印象的でした。
桜山展望台から望む茶畑と山岳展望
再びハイキングコースに戻り、坂道がたくさんあるから面白いのか、急行列車は勢いよく登っていきます。この直後に転んでしまうとは夢にも思わずに。
大丈夫だスラ坊よ、事故は起こるさ。
この加治丘陵はしばらく一本道が続くのですが、途中から探検の森や自然探勝路などへの分岐が多くなります。木製のミミズクがある分岐を駿河台大学方面へと進めばあけぼの子どもの森公園に着きますが、その前に展望台へと立ち寄ります。
山仕事の広場手前の分岐、南コースを進めば展望台はすぐです。
空気が澄む秋冬にこそ輝くのが展望台です。本日前半のハイライト、桜山展望台へとたどり着きました。
「入間市景観50選」にも選ばれているこの展望台からの眺めは、おそらく公園を楽しみにしているスラ坊と同じくらい、ぼくにとっての楽しみです。
ちなみに、こちらの展望台は開放時間が午前9時から夕方頃(季節変動)と決まっておりますのでご注意を。
階段を上がった先、南面には緑の絨毯ともいえる茶畑が広がっていました。
ここ入間市や狭山市を中心に茶の栽培が行われており、特産品である狭山茶は「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と歌われるように、静岡茶、宇治茶と並び「日本三大茶」として愛されています。市内には狭山茶だけの自動販売機もあり、お茶の博物館などもあるので、いずれ訪れてみたいところです。
■狭山茶について
展望台の北側には、飯能市街地と秩父のパノラマが広がります。中央にある駿河台大学は、ドラマ「ごくせん」などのロケ地としても有名ですが、ぼくはついついその奥に広がる山々に釘付けになってしまいます。
そして階段の正面、奥多摩・丹沢方面にはなんと富士山がくっきりと。なんとなく富士山の展望とは程遠いイメージの奥武蔵でしたが、これは凄い!
360度に広がる山岳展望にしばし時間を忘れたいぼくに、悪魔のささやきが聞こえてきました。
「もうおわった?はやくいこ」
スラ坊ェ…(;´Д`)
この展望台でお昼休憩を予定しておりましたので、時刻は11時、予定通り持参したお昼ご飯の準備に取り掛かります。
今回は子どもの好きそうな味のカップヌードルを用意しました。限定モノですが、この「ミルクシーフー道ヌードル」がスラ坊に大好評!「おそとでたべるとおいしいね~」となかなか粋なコメントを残し、ほとんどを一人で食べきってしまいました。スープも飲みやすいのがグッドです。
予備にと用意したカップスープは、スプーンを忘れたので封印した。
昼食休憩の後は、公園に向かう前に寄り道を。北コースまで来た道を戻り、100m先の山仕事の広場へ行ってみます。
広場は、到着した瞬間走り出したくなるような広大な草原で、何組かの団体さんが休憩していました。点々と紅葉した木と晴れ空を眺めながら時間を忘れる…そんな贅沢な過ごし方もいいなぁと思ってしまいます。
ちょっとした遊具もありますが、この加治丘陵全体がアスレチックのようなものなので、遊びに物足りなさを感じるということはなさそうです。
山仕事の広場から北側にも道が続いており、うっかりそちらへ進んでしまいましたが、こちらはハイキングコース外なので慌てて北コースへ戻ります。
このまま往路のミミズク像のところまで戻れば、あけぼの子どもの森公園へのコースとなりますが、自然探勝路の方へちょっとだけ寄り道を。
坂道と階段を登った先にはあずま屋があり、こちらが標高188mほどの阿須山(あずやま)山頂となります。
二等三角点のところで記念撮影をした後、いよいよお目当ての公園を目指していきます。ミミズク像の分岐を駿河台大学方面へと進んでいくと、なんとマウンテンバイクに乗った方とすれ違いました。
あとで調べてみると加治丘陵はかつてはサイクリングコースだったみたいです。それにしてもあの登山道を自転車とは…恐れ入ります。
冒険と不思議の空間、あけぼの子どもの森公園へ
駿河台大学方面への分岐をしばらく歩いていると、Y字路に差し掛かります。右手側に進むと公園の裏側につながるそうですが、2018年11月時点では崩落のため通行止めとなっていたため、ぼくたちは左手側のハイキングコースを進んでいきます。
この辺りは広葉樹の森が美しく、ハイキングの最後を気持ちいい景色で締めくくることができました。
公園での遊ぶための体力を温存したいのか、「だっこ(・o・)」とスラ坊。駿河台大学の隣からぐるりと大回りして、ようやっと公園の入口に着きました。今回一番キツかったのは、この車道歩きと言っても過言ではないです。(;´Д`)
公園に着くとまず目を奪われるのは、このメタセコイア並木。おそらく紅葉最盛期には見応え充分の景観となり、また北欧の雰囲気と表現される所以なのかもしれません。
お次に飛び込んでくるのは、個性あふれる見た目の「きのこの家」。家の中は自由に遊べる空間となっており、雰囲気を楽しむもよし、探しものをするもよしの素敵な建物です。
緑の木々と生き物の棲む水辺に佇む素敵なお家も、人気の撮影スポットです。中に入って窓から覗けるようになっているので、少し離れてお~い!と声をかければ素敵な思い出が残せそう。
時間帯によってはこんな影遊びもできちゃうのだから面白い。恐竜フードを被せてスラ坊も鬼?の仲間入り。
ところで、冒頭でも触れましたが、どうしてこの飯能市の公園がムーミンと繋がったのでしょうか?そもそも、この公園はトーベ・ヤンソンの故郷であるフィンランドの自然との付き合い方を参考に、トーベ・ヤンソンとの交流を続けながら飯能市が建設したそうです。
つまるところ、よく「ムーミン公園」や「ムーミン谷」と呼ばれるこの公園はムーミンのテーマパークではなく、ムーミンの世界(北欧)をモチーフとした公園ということになります。
恥ずかしながら、今の今までムーミンについてよく知らなかったぼくは、この機会に家にあったムーミンの絵本をスラ坊と一緒に読み、予習をしてきました。
それが功を奏したのか、園内にある図書館では延々とムーミンの絵本を読んでくれとおねだりされました。ぼく自身も絵本を読むことにハマったので、温かい木の香りのする図書館ではいつまでも読んでいられそうです。
話が横道にそれましたが、そうしてムーミンの世界を体感できる自然公園として親しまれてきたあけぼの子どもの森公園は、平成29年6月から「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」と正式に名を改めるに至ったそうです。
このことに加えて、ムーミンのテーマパークのオープンも控えていますし、今後も飯能市と北欧のコラボレーションから目が離せませんね。
あけぼの子どもの森公園を出ると、道路の向かいに阿須運動公園がありますので、遊具を使った遊びも!という方はこちらもオススメです。園内にはストーンヘンジや恐竜のオブジェなどもあり、夕暮れを目処に、ぼくたちも少しだけ遊んでいきました。
帰りの駅はこちら元加治駅。行きで降り立った仏子駅の一つ隣なので、ちょうどひと駅分のハイキングでしたが、内容は十分だったと思います。
さて、ここから地元まで帰るのは簡単ですが、電車好きなスラ坊のためにひと肌脱いじゃいますか!というのも、実は飯能駅に用事があって、どうせ行くなら飯能から特急レッドアローに乗っちゃおう!というプランです。
ところが、まさかまさかの人身事故発生による電車の遅延。これにより特急は全て運転見合わせとなり、ぼくたちは肩を落としてしまいます。
元加治駅のホームから今日歩いた加治丘陵の山容を見つめながら、電車が来るのをしばし待ちました。
ようやっと来た電車に乗って、飯能駅でのお目当てはコレ!2日前に発売したばかりのプラレール「ぐでたま スマイルトレイン」です。
実はこの日も仏子駅に向かう途中に見かけており、2018年4月に家族で秩父に芝桜を見にいった際は、このラッピング電車に乗りました。2018年中の期間限定車両だったため現在ではもう見ることはできませんが、この可愛いラッピング車両が家にあれば賑やかになること間違いなしです。
このプラレールをお土産に、やっぱり帰りの電車はぐっすりのスラ坊とともにこの日の山行を無事に終え、家路へとつきました。
加治丘陵の親子ハイキング、終わりに
子どもと一緒に訪れる場所としては、非常に遊び応えのあった加治丘陵。中でも桜山展望台から360度に広がる山岳展望は一見の価値ありで、新緑の時季に茶畑と絡めても面白いかなと思う場所でした。
そして加治丘陵とセットで訪れたいのが、ムーミンの世界観を体感できるというトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園。今回は立ち寄りませんでしたが、オシャレな北欧風カフェもありますので、また季節を変えて訪れたいところです。
さあ、次はどこに行こうかなぁ。