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なまけたろうと登山ブログ

【丹沢】畦ヶ丸 爽やかな緑と水の山旅

今回の山旅は、久しぶりの西丹沢。なんでも5月中旬~下旬にツツジの盛りを迎え、中でも檜洞丸のシロヤシオは人気だそうで例年登山者たちで賑わうとのことです。

そんなツツジが落ち着きを見せる6月初旬に向かったのは、檜洞丸の向かいにある新緑と清流の秘境・畦ヶ丸(あぜがまる)です。

 

どうも、スラ男です。

 

来たる6月10日土曜日、都内では気温30℃を超え暑い一日が予想されました。そんな中ぼくが向かったのは、西丹沢の畦ヶ丸という山です。

夏場の低山は暑さとの戦いになるので、行程は短く、なおかつ涼を感じられる山行にしたいというコンセプトが強くありました。

 

■畦ヶ丸(2017年6月10日) 目次

 

あまりの涼しさに、夏を忘れる西丹沢

都内から神奈川県の西丹沢に行くには、小田急線からバスに乗り継ぎます。去年のユーシン渓谷へ行った時に降りた新松田駅が今回のスタート地点。駅のすぐ前にあるバスに乗れば1時間程度で登山口に着きますが…?

今回はさらに下調べをして、バスに乗らずに新松田駅の目の前にあるJR松田駅へ移動します。え?バスに乗ればすぐじゃん…確かにその通り。しかしッ!

この松田駅から御殿場線谷峨駅まで移動し、そこで先程の新松田駅発のバスを迎え撃てば、ちょっぴり交通費が安く済むことです。それに、バスの乗車時間が減るのもメリットの一つ。ただ、始発でないため座れなくなる可能性があるのがデメリットとも言えます。

というわけで、谷峨駅までやってきました。バスはすぐに来るのでここまでは順調です。あ、松田駅ICカードの類が使えなく、切符を買うので小銭のご用意を。

※ですが、2019年3月からTOICAの利用エリアが拡大されたようです。

 

新松田駅発のバスが到着すると、幸運にも3~4席空いていたので無事に座ることができました。しかし、ツツジのシーズンでは座るのは無理そう…

 

TOICAが利用できるようになりました

travel.watch.impress.co.jp

 

西丹沢の細い道路を走ること数十分…西丹沢自然教室へ到着です。前回はあの緑色の屋根が紅葉といい色合いになっていましたが、新緑にも素晴らしく映えますね。おや…?

いつの間にか「西丹沢ビジターセンター」と改称されていました。西丹沢自然教室の語呂が好きだったので少し寂しい…

自然教室改め、西丹沢ビジターセンターでは、出発前に登山計画書を記入することがお決まりのようです。ぼくは事前にwebで印刷し書いておいたものを投函しました。

今回のコースは、「涼」を求める清流沿いの山旅…と題しまして、畦ヶ丸が目的地です。しかし、今回のハイライトはこの「下棚(しもんたな)・本棚(ほんだな)」と言っても過言ではないです。

山道に図書館でもあるんですか?いえいえ、それはそれでいい雰囲気そうですが、この「~棚」というのは、西丹沢では「~滝」を意味するそうですよ。つまり、畦ヶ丸登山というのは滝めぐりコースでもあるわけです。

ビジターセンターのすぐ脇にある、この緑色の橋を渡れば畦ヶ丸への登山開始!いや、もうすでに興奮度MAXですが。

序盤は沢沿いに歩いていく今回のコース。まずは木々の間を縫って進んで行きます。気になるのは、ビジターセンターにあれほどいた登山者たちが一人もこっちに来ていないこと。皆さん檜洞丸へ向かうんですかね…?

歩けば歩くほど、新緑という季節の魅力を最大限に引き出す風景が待っていました。まだ滝も見ていないのに、こんなに楽しくていいのでしょうか畦ヶ丸。

大きな水音がするので、さっそく近くに滝…いや、棚でもあるのかな?と思ったら、木々の間から見えてきたのは堰堤でした。これはこれで、すごく絵になります。近づくと水しぶきが涼しい~。

この後も同じように何度か堰堤を超えていきます。ただ階段を上がるだけでもワクワクしてしまう…本当ですよ?


おわ~~!!?白ッ!!

おまけにこの水の透明度。写真だとわかりづらいですが、水中にはたくさんのオタマジャクシがいるんですよ。もっと暑くなれば、たくさんのカエルが見られるんじゃないかな?と思うと胸が熱くなります。

早くいこうよとピンクに急かされ、トントンと小気味よい音で橋を渡ります。今回の山旅では、何度こういう橋を渡ったか覚えていないほどです。前半と後半、ほとんど橋の上にいた気がします。

それにしてもこのコース、ここまででまだ一度も暑さを感じていません。本当に涼しいので、この時季が最高かもしれません。

加えて印象的だったのが、鳥の大合唱。真夜中のサービスエリアのトイレかな?と思えるほどの爆裂チュンチュンピヨピヨ。これがずっと鳴っているものだから、途中吹き出してしまいました(笑)

ドバドバドバ…と流れる水を真横に、ぼくは気持ちのよい登山道を歩いていく…新緑と清流が奏でる西丹沢の水景色、しかし、まだまだ見どころはこれからです。

 

お目当ての滝を求めて、まずは秘密のスポットへ

山旅計画の際は、いつも季節に合わせて目的の風景、見どころ、そしてプラスαを考慮していろいろと練っています。今回の畦ヶ丸は、新緑と滝、温泉に加えて夏日に涼しい登山というコンセプトで計画しました。 

もし檜洞丸へ行っていたら、それはそれで快晴の中での展望はさぞ気持ちよかったかもしれませんが…あえて快晴の中、展望の弱い畦ヶ丸を歩くというのも贅沢でした。それに、なにより沢沿いの登山道は本当に爽やかで涼しい! 

そういえば、だんだんと登山者たちで賑わってきました。ぼくがのんびりと写真を撮っているうちに、何人かに抜かれていきました。 

何せ、あまりにも気持ちのよい道なので、山頂まで行かずにこの沢の往復だけでも十分かもしれません。

ところで、畦ヶ丸って面白い名前ですよね。山名には諸説あるようで、塚を意味する畦という言葉が由来とか、山頂付近に咲くアセビからきているとか。 

苔むした岩というのはなんとも魅力的なもので、ついつい写真を撮りたくなりますよね…青森の奥入瀬渓流では「苔ガール」なんてのも流行っているらしいです。 ぼくは「苔たろう」?いや、たろうではないか…

動物避けの柵沿いに歩いていくと、下棚沢出合に到着です。ということは、この分岐の先にお待ちかねの下棚が。コース的には少し寄り道になりますが、片道5分程度です。

森の中を進んでいくと、突如ポッカリと穴の空いたような空間が見え、静かな水音が響いてきました…ぼくのアドレナリンはドバドバですが。 

こちらが西丹沢の名瀑の一つ、落差40mの下棚です。

水量は多くはないですが、岩壁伝いに流れ落ちる静かな音、この秘境のような場所、そして眩しすぎる新緑がこの滝の魅力を最大限に引き出しています。 

滝壺はご覧のとおり静かです。静かな滝壺というのもまた粋な風景です。ここで腰を下ろして休憩としましょう。この空間を贅沢に使わなきゃもったいない! 

この名瀑を見に、チョウもやってきました。なんてチョウでしょう?調べたら、ミスジに特徴が似ていますがどうか。 

このご機嫌な空間をしばらく独り占めしていましたが、そろそろ行かねば。先程の下棚分岐のところでは、何人かそのまま畦ヶ丸方面へ行ってしまったけど、ぜひぜひここに寄り道をオススメします。

 

西丹沢最大の落差を誇る、豪快な本棚の滝

静かな流れの下棚を心ゆくまで堪能した後は、いよいよ本棚へと進んでいきます。来た道をそのまま戻り、本棚へも寄り道になるのですが、そこには絶対後悔しない景色が 待っております。

渡渉ポイントが多いこのコースは、ちょっとでも油断して滑ったりすると一巻の終わり。びしょ濡れは必至です。

渡渉の果てに視界に飛び込んできたのは、待ってましたの本棚です。 下棚もそうでしたが、コースの正面に構えるのではなく、開けた空間の奥にヒッソリとあるのがまたいいんですよね。覗き込まないと見えないみたいな。

滝直下はこの水飛沫!轟々と音をたてて流れる水は圧倒的の一言。 

先ほどのおじさんが座っていた場所からの景色。これもまた素晴らしい。こちらは静かに、直下では豪快に滝見が堪能できるということです。 

さて…すっかり忘れていましたけど、まだ畦ヶ丸への登山が控えています。本棚分岐まで戻り、橋を渡った先にある涸れ沢の脇を歩いていきます。 

ここからは前半の水が気持ちのよい道とは一転し、整備の行き届いた段々の道になってきます。

アップダウンの激しい道中、ヤマツツジと思われる花が見えました。この時季のオレンジ色はよく映えますよね。一気に元気が湧いてきました。 

うねうねと根っこが蔓延る尾根道に上がってくると、爽快な風が吹いてきました。先ほどまではつづら折りの登りが続いて暑かったけど、これでまた気分一新です。変化が著しいコースはそれだけで楽しい。 

この辺りに来ると、白くてぶばっとした花も見えてきました。西丹沢ビジターセンターのブログで類似していたのは、ウツギかなぁ。 

ここは注意のポイントです。右手側が崩落しており、ツルッと滑れば奈落の底へ。狭い道でもあるし、いつも以上に慎重に… 

ここは善六のタワという場所でした。畦ヶ丸までだいたい半分くらい。タワ(鞍部)ということは、ここからまた登り返すということかぁ。 

登ってしばらくすると、なだらかな尾根道に出ますのでここは頑張りどころです。ブナ林と風が本当に気持ちいい!この道は歩いていて爽快です。 

これは…?! 

 

ジュラシックパークⅢ?!

 

 ///←こういうやつ。まさか恐竜が…?いえいえ、何らかの獣の痕跡なのかな…クマか………クマか… 何にも出会いませんように!(ノ)゚Д゚(ヽ)ヒエー

 

前半は水々しい沢歩き、後半は瑞々しいブナ林

今回のコースは畦ヶ丸を目指して、帰りは大滝橋へと下りる予定ですが…前半の下棚・本棚だけを巡るコースだけでも十分面白いかもしれません。実際、小さな子どもを連れているファミリーも何組か見かけました。 

登山道には何箇所かベンチもあったりするので、やはり秘境といえど丹沢。整備が行き届いていることを強く感じます。

ただ、階段を降りた直後に大きく登り返すところも…ここは登りで風が吹いてすごく怖かったところです(;・`ω・´) 

ただでさえ瑞々しい新緑が美しいのに、時折アクセントでヤマツツジが現れる。5月下旬には真っ白なシロヤシオが見頃だったそうだけど…まだご縁がありません。 

西丹沢ビジターセンターを出た頃は畦ヶ丸に進む人はほとんどいなく、檜洞丸が人気なのかなぁと思っていましたが、どうしてどうして何気に賑わう畦ヶ丸です。ただ、パーティよりも単独者のほうが多かったような気がしますね。 

この階段を登った先、おそらく山頂だろうな…そうに違いない。偽ピーク?

 

大丈夫だ、問題ない。ドヤァ… 

 

ホラやっぱり!!山頂でした!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ

ということで、標高1293mの畦ヶ丸山頂に到達です。山頂では2組ほど休憩しており、後から道中すれ違った約10名のパーティが来てもまだ余裕がある程度には広いです。

てる坊~、今日は大活躍だぞ。しかし、時季的にしょうがないけど、小バエが鬱陶しいですね。 

さて、山頂も賑わってきたし、小バエもブンブンブンブンやかましいので移動します。実は山頂からちょいと進んだ先に避難小屋があるそうなので…そちらで昼ごはんにしましょう。

ギィィ…と重たい引き戸の先、おおお、いいですね~。暖炉がありますよ。いいかマーティ!この色分けされた燃料を順番に入れると、とてつもない火力になるのだ!とはBTTFのドクの談です。

日誌がありましたよ。いいですね~。とりあえずレポートしとこ。 

避難小屋で昼食を終えた後、すぐ近くの分岐を大滝峠上方面に進みます。モロクボ沢ノ頭方面も気になりますねえ。こちらにもいくつもの沢と大きな滝があるとのことなので、いつか行ってみたいところ。 

トントンと下っていくと、やっぱりところどころでヤマツツジ♪下山は特に見どころもないと思っていたけど、こういうのはうれしいですね。 

丹沢らしい木道も出てきました。3月の塔ノ岳では、泥だらけの中この木道がとても頼もしく思えました。 

この白い花のようなものは一体?ここだけ集中的に落ちています。 

上を見てみると、まだ落ちていない花もたくさんありました。

下りはトントン拍子で大滝峠上へ。この辺りには沢が多いため、道の崩落が多発しているそう。ぼくの進む先も沢があるし、気をつけて歩こう。 

(写真左から)ガサゴソ…ッ!!

 

 

ぽげぎゃあああーーー!!?

 

 

あーーーー何?何!?ビックリした!!クマかと思ったーーーー!!!!

明らかに登山道ではないところから出てきたのは、登山者でした。よかったー!おそらく沢登の方でしょうか?黒い服装にアクセント赤…ってそれくま○ン

 

 

水と親しみ水に癒され、締めもやはり水で

前半の西沢とは打って変わって、チョロチョロ水が流れている沢に出ました。ここは「ステタロー沢」というところのようだけど…  

 

ん?今なんだって?(`・言・´)

 

捨てたろう沢?たろうを?捨てる?捨て、たろう?何てけしからん地名なんだ!許せん!(笑)

沢沿いに歩いていくと、一軒屋避難小屋が見えてきました。 小屋の中を覗いてみると、おそらく沢登りの方のものと思われる荷物が置いてありました。

一軒屋避難小屋から先、色んな沢に合流しながらの山歩きとなります。まずは鬼石沢沿いに歩いていきます。この辺りでも「~棚」という滝が複数あるようですが、そこへ繋がる登山道は見当たりませんでした。沢登り限定コースでしょうか?  

緑の中に飛び込むようないい景色!ただ、落ち葉が滑るので間違っても谷底へダイブしないように。 

細いジグザグの道を下っていくと、マスキ嵐沢に合流します。これほどきれいな渓流だったら、この中を歩いていく沢登りも楽しそうです。

 

 

頭上注意… 

 

足元注意…?

 

 

ぜ、全方位バリヤー!

注意しながら歩いていくと、林道に出ました。ああ…これで気持ちいい沢歩きともお別れか~なんて思っていたら、最後まできれいな景色が続いてくれます。ユーシンブルーとまではいきませんが、エメラルドのような水面がきれいです。

大滝橋バス停に出てくれば、畦ヶ丸登山も終わりを迎えます。最初から最後まで、水に癒されながら登山を楽しむことができました。 

さて、帰りはここでビジターセンター発のバスを迎え撃つのもありですけど… 

時間に余裕がある場合は、中川温泉まで歩くのも一つだと思います。ぼくはこの温泉を楽しみにしていたので、ルンルン気分で中川川を眺めながら歩いていきます。ただ、道幅が狭い上に交通量の多さが怖い。 

大滝橋バス停から20分程度でぶなの湯に到着です!この温泉は去年のユーシン渓谷の帰りに続き2度目の利用で、お気に入りです。露天風呂がとにかく気持ちよく、料金も安いしセット券もあるのでオススメです。 

じっくりと温泉に浸かり、西丹沢の水のような爽やかさをまとった気分で、バスが来るまでの間周辺を散歩します。へぇ~、こんな吊り橋があったんだ。おお…!結構揺れる…!

きれいな川ですねぇ。この川は、西丹沢を流れる「中川川(なかがわがわ)」という大きな河川です。面白い名前ですね(笑)

帰りは行きと同じく、谷峨で下りて節約を…と思ったんだけど、うっかり電車が来るまでの時間を計算し忘れていました(;´Д`)バスに座れたら、帰りは新松田まで行っちゃったほうが無難ですね。

朝は登山者で賑わっていた新松田駅も、帰りは閑散としていました。 山旅の道中も、帰りの電車ですらもドキワクの一日となった今回。う~ん、西丹沢のことがますます好きになってしまったなぁ!次こそは檜洞丸へ!

 

さてと…次の山旅はどうしようかなぁ?