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なまけたろうと登山ブログ

【埼玉】荒幡富士~八国山緑地 息子と歩くトトロの森

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夏真っ盛りの低山歩き、ぼく一人ならそれもまた良しとなりますが、小さな子どもと一緒ではそういうわけにはいきません。そこで着目したのが、丘陵地帯を歩くということです。

丘陵歩きは、山登りとは違い市街地が近くにある場合が多いため、何かあった時に割とすぐにエスケープできるという大きなメリットがあります。それでいて、植物や湧水などの自然が豊富にあり、昆虫も多く見ることができるので山を歩いている感も味わえます。

今回は、埼玉県所沢市の南西部、東京都との県境に広がる狭山丘陵を舞台に、映画『となりのトトロ』のモデルとも言われる森を歩いてきた時のお話です。

 

 

どうも、スラ男です。

 

息子と一緒にハイキングに行く際は、「どんなお山に行きたい?」と聞くことにしています。「むしさがしのおやま!」と、最近はこればかり。

虫を探したい、どんぐり集めをしたい、美味しいものが食べたいなどなど、子ども視点で一日たっぷり楽しめる山を探してみると、ほとんどの目的を東京都の高尾山でクリアできることに気づきます。しかし高尾山は近々で行ったので、せっかくなら別のお山を…

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そういえば、最近『さんぽ』を息子がよく歌っているのを思い出します。『さんぽ』といえばスタジオジブリの映画『となりのトトロ』の主題歌です。せっかくならトトロの舞台となった里山でも歌いたいじゃないですか。 

というわけで、虫探しにトトロ探しと、広大な里山が広がる狭山丘陵の東側をめぐる冒険の始まりです。

 

■荒幡富士~八国山緑地(2019年9月14日) 目次

 

いざ狭山丘陵、荒幡富士で虫探し

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池袋駅から飯能方面に向かう際、いつもは通り越してしまう西所沢駅。今日はここで西武狭山線に乗り換えて、ひと駅先の下山口駅がスタート地点。

乗り換えた電車は埼玉西武ライオンズのロゴが施された「L-train」。西武鉄道の電車はラッピングの種類も豊富で、電車旅に彩りを加えてくれます。

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今回の目的地ですが、ひと口に狭山丘陵と言ってもその内容は複雑です。狭山丘陵には5つの都立公園のほか、生き物の学習施設や博物館、そしてトトロの森と呼ばれるスポットが48ヶ所(2018年3月時点)もあるのです。

ぼくたちは狭山丘陵の東側、荒幡富士市民の森からトトロの森を経由して、八国山緑地へと向かう予定です。まずは駅から荒幡富士まで10分ほど歩きます。

 

■狭山丘陵とは?

www.sayamaparks.com

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荒幡富士(あらはたふじ)という名前の通り、この森の奥には標高119mの人工の富士山があります。途中には学習施設もあるので、ここでたっぷりと時間を使って楽しんじゃいましょう。おや、息子スラ坊の手にはさっそく冒険のオトモが…(*´∀`*)

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さっそく森の中へ入ってみると、スラ坊が木の棒で何かをつついています。キノコだ!何キノコでしょうか…相変わらずキノコは難しすぎる。

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階段を登りきると、木の柵に注意書きが。スズメバチ。クマやイノシシと同様に、最も遭いたくない生き物ではないでしょうか。そういえば、テレビで「9月はスズメバチが活発な時期です」なんてニュースを耳にしました。

ふと顔を上げると、視線の先にあった木の幹、何とそこに5、6匹のスズメバチが群がっていました!!

 

 

何…だと…!?

 

 

後ろにいたスラ坊に引き返そうと伝えると、息子も「しずかにね!」と、以前に話したスズメバチの話を覚えていたみたいです。ぼくは毎晩、生き物の生態や雑学などを話しながら子どもを寝かしつけているのですが、まさかこんなところで役に立つとは。

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階段を下りて真っ直ぐ進むことにしましたが、やはりスラ坊、先ほどのスズメバチ遭遇で怖くなってしまったよう。大人でも怖いですからね。

そんな時は『さんぽ』を歌って元気づけようじゃないか!と思い歌い始めると、「うたっちゃダメ!」と怒られました。その理由は、「スズメバチがきちゃうから…」だそうです。

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森の中ほどに見えてきたのは、いきものふれあいの里センターです。何やら賑やかな子どもの声が聞こえてきます。スラ坊も猛ダッシュで飛び込んでいきました。

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施設では、森の中にある生き物や植物の生態系、特徴などを学べるほか、係員の方がやってきて、実際に昆虫を触らせてくれたりもしました。訪れた日は、昆虫の王者・カブトムシ…の幼虫の観察会を楽しみました。

「カブトムシの幼虫のオスとメスの見分け方って知ってますか?」という質問に、子どもたちは「知ってる知ってる知ってる!!」と大興奮。

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昆虫観察が終わると、スラ坊は仲良くなったほかの子どもたちと外に虫探しに飛び出していきました。「いっしょにさがそうぜー!」なんて。

森の中で一時間ほど虫探しを楽しんだ後、子どもたちとお別れ。すると、ポツポツと雨が降ってきてしまいました。雨の予報ではなかったはずです。降雨情報を調べると、なんと所沢市にだけ雨雲が(;´Д`)…とにかく、いったんいきものふれあいの里センターに戻ります。

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「おとうさん、めつむってね」といたずら心全開のスラ坊に手を引っ張られた先、目を開けると恐ろしい形相のスズメバチのマスクが!嬉しそうにケラケラ笑う息子、よし後でくすぐり地獄だ。

それにしても、本当に恐ろしい造形です。マーベル・コミックの悪役、ヴェノムそのものですよ。え?るろうに剣心でも見た?人違いだ抜刀斎。

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ほどなくして雨も上がったので、荒幡富士に登ってみます。天気が良ければ山頂から富士山も望めるようですが…

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真っ白で見えない富士山の代わりに、特徴的な建物が右側に見えました。あれは西武園ゆうえんちの観覧車で、この後ぼくたちはあそこを目指して歩いていく予定です。頑張ろう!スラ坊!

 

(´・ω・`)←スラ坊

 

 

トトロの森を抜けて、八国山緑地へ

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荒幡富士から次の目的地、トトロの森2号地まではゴルフ場沿いに歩いていき、いったん市街地へ出ます。舗装路歩きが続くので、子どもにとっては面白みの少ない場面かもしれません。

息子も先ほどまでのお友達との虫探しが楽しすぎたからか、明らかにしょんぼりしています。

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ちなみに今回のルートですが、道標があるにはありますが、市街地を縫って歩いたりするので事前に地図を用意することをおすすめします。地図は先ほどのいきものふれあいの里センターほか、トトロの森を整備してくれている「トトロのふるさと基金」のホームページからダウンロードが可能です。

 

■トトロの森とは?

www.totoro.or.jp

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市街地の奥から森へと入っていくと、きれいに整備された雑木林が広がっていました。コナラやクヌギなどがよく見られ、それこそカブトムシやクワガタを探すにはもってこいの森と言えます。

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トトロの森の看板の端に、まっくろくろすけを見つけました。

いつかの奥多摩赤ぼっこでもまっくろくろすけがたくさんいました。となると、ここでもまっくろくろすけがいないか探してしまいます。 

そういえば、せっかくトトロの森を歩いているのだから、今こそ『さんぽ』を歌うべきじゃないですか。ということで元気よく口ずさもうとすると…「うたわないでー!(>﹏<)」とスラ坊。どうやらスズメバチの件を引きずっている様子です。ごめん。

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トトロの森を抜けて再び住宅街を歩いていると、若いイガグリが実っているのを見つけました。息子はこれを「いがぐりぼうや」と読んでいます。よくわからないけど可愛い呼称です(笑)

次の八国山緑地へは東側から入るのですが、住宅街の先にファミリーマートがあるのでそこで少し休憩を取ります。

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さて、休憩の後はいよいよ八国山緑地(はちこくやまりょくち)を歩いてゴールとなります。

そういえば、八国山というと『となりのトトロ』の劇中でも似たような名前の場所が出てきますよね。そうです、サツキとメイのお母さんが入院していた七国山病院。実はこの山の中腹にある新山手病院がモデルとも言われているようです。

ほかにも狭山丘陵には、トトロの劇中の風景を彷彿とさせるスポットが点在しているようで、クロスケの家という巨大なトトロが出迎えてくれる観光施設もあるのです。ただ、クロスケの家は狭山丘陵の北西部にあるので、さすがに今回のルートと組み合わせることはできません。また別の機会に。

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八国山緑地に入ってみると、さっそくキラリと光る虫を発見しました。センチコガネですね。よくカナブンとコガネムシの区別がつかないという話を聞きますが、センチコガネは縞模様があるのでわかりやすいです。 

と思って調べてみたら、縞模様がないもいるようです。いいかげんにしろ。

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八国山は、かつて駿河・甲斐・伊豆・相模・常陸・上野・下野・信濃の8つの国の山々を望めたことが由来だそうです。この近辺は鎌倉時代の古戦場と言われ、南北に鎌倉街道が通っていたそうですよ。

少し進んでみると、鎌倉時代の武将・新田義貞(にったよしさだ)にちなんだ将軍塚が建てられていました。どうやら鎌倉幕府を倒そうと挙兵した際に、ここで一時滞在したとのことです。

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とても歩きやすい八国山緑地は、散歩やハイキングにぴったりです。緑がとても豊かで、すぐ隣が市街地だなんて信じられませんね。

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西武園線が目の前にある、ころころ広場が本日の山歩きのゴールです。ここは電車を間近に見られるので、電車好きなお子さんは喜ぶと思います。

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先ほど立ち寄ったファミリーマートで買ってきた冷やしたぬきうどん。市街地が近いので、武蔵野うどんが食べられるお店を探すというのもいいですね。ぼくも息子もうどんが好きなので、いつか山登り×うどんを計画したい。

 

香り立つお茶のお風呂、掬水亭・狭山の茶湯

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さて、八国山緑地を出た後は、旅の最終目的地を目指します。ここにきて青空が見え始めました。ヒーローは遅れてやってくるというやつですね。

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旅の締めには温泉と決めていますが、今回は一風変わったお湯が特徴の宿、「中国割烹旅館 掬水亭」へ。

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西武園ゆうえんちの観覧車を見上げると、午前中の雨が嘘のような天気です。青空よどうしてもう少し早く来てくれなかったのかい?

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都立狭山公園に立ち寄れば、多摩湖から爽やかな風が吹いてきてこの日の疲れを吹き飛ばしてくれました。公園を北側に抜けて、目的地の掬水亭に到着です。

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こちらのお風呂の目玉は、地元の特産品である狭山茶ブレンドしたバスパウダー入りの「狭山の茶湯」です。温泉ではないようですが、お茶のお風呂、しかも狭山茶のお風呂ということで非常に興味深いです。

 

狭山茶といえば、“色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす”と歌われる歴史ある銘茶です。お風呂のため味わうことはできませんが、いざお湯に浸かってみるとお茶の良い香りが。気泡の発生している箇所は特に香りを楽しむことができます。

珍しいお風呂にスラ坊も興味津々のようで、さらに子ども用のおもちゃも用意されていたので、ここでもついつい長湯となりました。 それと、個人的に大切な要素なんですが、ここの冷水機がキンキンに冷えていて本当に美味しかった

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お風呂で汗を流した後は、すぐ隣の遊園地西駅へ。ここから西武球場まで行って乗り換え、帰りも鈍行電車でゆっくりと。空模様が慌ただしい一日でしたが、こうして狭山丘陵ハイキングは無事に終わることができました。

 

狭山丘陵の親子ハイキング、終わりに

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虫探しというテーマでやってきた狭山丘陵。今回はクワガタを見ることはできませんでしたが、チョウやトンボなどは割と見られましたし、何より施設でカブトムシの幼虫に触れ合えたのはいい思い出になったかと思います。

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また、トトロの森に焦点を当てれば、今回歩いたコースとはまた別の組み合わせでもっと違った楽しみ方ができると思います。ぼくも次回は大きなトトロに会ってみたいです。

生き物と自然が豊かな狭山丘陵、小さな子どもを連れてのハイキングにはぴったりの場所でした。

 

さあ、次はどこに行こうかなぁ。