4月上旬、桜が満開となり、お花見の季節がやってきました。花見を絡めた親子ハイキングも何通りか計画していましたが、年度初めの忙しさに追われていずれも実現が難しくなってしまいました。
それでも子どもと一緒に自然を満喫しにお出かけしたい…できれば高尾山をはじめとする西東京方面の山の中へ飛び込んでいきたいところですが、そうは思っても、いざ向かおうとするとそれなりの準備と時間が必要です。
そこで今回は、手近なところで東京23区内にある桜の名所、そして山のように自然豊かな雰囲気を体験できる飛鳥山公園(あすかやまこうえん)で遊んできた時のお話です。
どうも、スラ男です。
今回ご紹介するのは、東京都北区にある飛鳥山公園です。この公園は江戸時代に徳川吉宗により整備され、行楽の場として現在まで親しまれている場所です。
また、園内には北区飛鳥山博物館、紙の博物館、渋沢史料館と3つの博物館があり、花見の喧騒に疲れた時には落ち着いた雰囲気で歴史を楽しむこともできます。
中でも、新紙幣の肖像画になるということで話題の渋沢栄一については、史料館のほかにも旧邸の展示や庭園が開放されていたりと盛りだくさんなので、紙幣の刷新を前に立ち寄ってみるのも一つかもしれません。
ということで、桜の風情と一緒に歴史や乗り物まで充実した飛鳥山公園と、桜を楽しむならぜひ見つけてほしい、珍しい緑色の桜についてご紹介致します。
■飛鳥山公園(2019年4月13日) 目次
駅から近い桜の名所、飛鳥山公園
飛鳥山公園はJR王子駅に隣接した公園なので、駅からすぐに立ち寄ることができるもの嬉しい点です。「~山公園」と聞くと、階段…山道…と身構えてしまうのがベビーカーですが、こちらの公園は舗装路がしっかりと整備されておりますので、安心してベビーカーを持ち込むことができます。
加えて公園の目玉でもあるこちら、自走式モノレールのあすかパークレールもこの公園の楽しませてくれる乗り物です。カタツムリのような外見と、飛鳥山をかけてアスカルゴの名前がついています。
王子駅を下りてすぐそばの公園入口が乗り口となるため、アスカルゴからは王子駅を通過する湘南新宿線や京浜東北線、さらには新幹線なども頻繁に見ることができ、電車好きな子どもは大喜びです。例に漏れず、息子スラ坊も「あ!しょうなんせん!」と子鉄ぶりを発揮していました。
正味2分間のアスカルゴを楽しんだ後は、チューリップを始めとした可愛らしい色合いのお花畑が待つ飛鳥山の山頂です。例年3月下旬から4月上旬まで約600本ものソメイヨシノが一帯を覆い尽くし、さくら祭りの日には花見客らが山頂を覆い尽くします。
ところでこの飛鳥山公園、「飛鳥山」というだけあって山頂モニュメントがちゃんと設置してあるのです。その標高は25.4mと、23区内にある自然の山での最高峰(※)港区の愛宕山(愛宕神社)の標高26mに僅かに及びません。(※)あくまでも自然の地形で、なおかつ「山」と呼ばれている場所に限る。
では愛宕山よりも低いということで「東京都で一番低い山」の称号を得られるかというと、なんと飛鳥山は国土地理院の地図に掲載されていないため、それも認められず現在に至ります。
ただ、そんな称号がなくても、江戸時代から続く由緒ある飛鳥山の見どころは枚挙に暇がありません。特にこの花見の季節は格別の風景が待っています。
王子駅側からアスカルゴに乗って訪れる場合は、公園まで舗装路、または山道を通行することができますが、上述のさくら祭りの日には通り抜けが困難なほど隙間がありません。
今年、ぼくたちは意図せずさくら祭りの日程に訪れましたが、あまりの混雑に引き返してしまったほどです。後日、八重桜が見頃に再訪しました。
ぼくが映画『ジュラシック・ワールド』に登場するインドミナス・レックスのマネをしながら追いかけると、喜んで逃げていきました。息子は「じょうぶなアンキロサウルスだ!」と言って反撃してきますが、劇中ではアンキロサウルスの反撃も虚しく、インドミナスにやられてしまいます。
さて、それでは結末はというと…ぼくが手を下すまでもなく、この後スラ坊は転んでズボンを土まみれにしてしまい、「もうやめる」としょんぼりしながらお母さんにあやされていました。
圧巻の八重桜、そして緑の桜「御衣黄」とは?
気を取り直し公園エリアに入っていくと、公園の周りをぐるりと鮮やかな八重桜が囲んでいます。ソメイヨシノよりも花期の遅い八重桜は濃いピンクが特徴的なのですが、ここ飛鳥山公園には様々な品種が植えられております。
中でも淡黄色の花を咲かせる鬱金(ウコン)と、淡緑色の御衣黄(ギョイコウ)は珍しいもので、その2本は都電の展示横で咲いております。パッと見た感じではどっちがどっちだかわかりませんが、よく見てみると…やはりわかりませんでした(´・ω・`)
御衣黄は江戸時代に品種改良により生まれた八重桜で、当時の貴族が好んで着ていた衣服の色を思わせることからその名前がつけられたそうです。江戸時代に生まれた品種ということなので、吉宗が飛鳥山を整備した時、既に御衣黄はこの地にあったのかどうか気になるところです。
八重桜の観賞も程ほどに、息子とお城の遊具が設置された公園内を駆け回ります。厄介なのはスラ坊がちょくちょく姿を消すこと。君、ミラージュコロイド積んでる?
何気にSLの車両展示もあるから盛りだくさんな公園です。運転席に入れるため、休日の混雑時などは小さな子どもでごった返します。
さらに、公園にある売店近くのテラスからは、なんと新幹線を間近に見ることができるから子どもも大喜び。
鉄道イベントなどに行くと、車体を見て「E6系!」「E7系!」と言う子どもが多く見受けられますが、「こまち」「かがやき」のほうが可愛いので我が家ではそちらを採用しています。
さて、乗り物に花見に公園、電車までオマケでつけて楽しんだ飛鳥山ですが、実はまだ穴場的な八重桜の名所があるのです。そこへ行くには、博物館方面へ進んだ先の駐車場を抜けていきます。
その先にあるのは、渋沢栄一にもゆかりのある七社神社。なんでもここの氏子だったとかで、社額の字はご本人が書いたものだそう。
そんな神社の正面にある2本の桜、これは御衣黄と福禄寿という品種の八重桜です。福禄寿の鮮やかな淡紅色と、淡い緑色の御衣黄の対比が素晴らしい!しかし、よく見てみると、御衣黄もほんのりとピンク色に染まっているのがわかります。
実は御衣黄は、開花後の時間の経過につれて赤みがかっていくそうで、開花直後はもっと全体が緑色なのだそう。それが見てみたいなぁ。
奥まった場所にあるので分かりづらいですが、社殿前の2本の桜がなんとも印象深い素敵な神社です。
飛鳥山公園、終わりに
今回は桜の季節が舞台の飛鳥山公園をご紹介致しましたが、初夏のアジサイの時季もまた、飛鳥山は賑わいを見せています。アジサイは電車の線路脇の小径に1300株ほど植えられており、電車と一緒に楽しことができます。
コンクリートジャングルと呼ばれるほど建物が林立する都心部ですが、深々と自然に触れ合える場所は探してみると結構多いみたいです。
23区に範囲を広げれば、もっと多くの自然、ひいては山に行かなくても「山気分」を味わえそうな場所があるかも…?
さあ、次はどこに行こうかなぁ。