7月、週末の青空。この時をずっと待っていました…上旬の悪天候により今年はもう無理かと諦めかけましたが、なんと開花遅れにより霧降高原(きりふりこうげん)のニッコウキスゲ満開にドンピシャ。
初めてニッコウキスゲを見るのなら日光がいい!という理由をくっつけて、向かった先はまたまたの東武日光駅。いよいよ女峰山への挑戦が始まります。
どうも、スラ男です。
日光連山への登山…それがどこから始めるにせよ、今年中にとりかかりたいなぁという思いが強くありました。それがまさか、連山のお母さん的存在の女峰山(にょほうさん)から始まるとは思いもせず。いい景色が見られるといいんだけど…
■霧降高原~女峰山(2017年7月15日) 目次
天空回廊を進め!ニッコウキスゲと青空散歩
青空の土曜日。始発電車に乗って東武日光駅を目指します。鈍行だと日光まで行くのは長く感じますが、この車窓からだんだんと見えてくる日光連山を見るのが楽しみでもあります。
連日の悪天候により不安だった空模様ですが、青空が広がる東武日光駅に到着です。本日の目標である女峰山。本当に大丈夫だろうか?
夏の日光というと、日光そばや名瀑、天然氷のかき氷などが魅力的ですが、今回はいつもと違うバス停から霧降高原を目指します。
中禅寺湖方面に行くバスと違って、こちらのバスに乗り込む人は少ないです。加えて、終点までも30分程度で着いてしまい、なかなか時間の余裕がもてました。
これからこの天空回廊を登って、山を越えて女峰山へ向かうわけですが…もうニッコウキスゲを目の前にして、気分は最高潮!
ところで、階段何百段って言われてすぐに凄さを実感できますか?ぼくは日光東照宮の奥宮へ続く石段が約200段!と言われても、あまり驚けませんが、この天空回廊の1445段には、さすがにヤバい!と直感しました。
果てしない階段に怯んでしまいますが、このニッコウキスゲが咲き乱れる散策路を歩くの最高です。目は楽しいし、空気は気持ちいいし、暑すぎるということもありません。
季節の花はニッコウキスゲだけじゃありません。左端のと○がりコーンのようなクガイソウ、ぶばぶばしたのはヒヨドリソウかな?
さらにアヤメや、線香花火のような花も見られました。
それにしても、トンボがすごい。本当にトンボだらけです。きっとこの辺りの虫とりしょうねんの手持ちポケモンは、ヤンヤンマ×6匹に間違いありません。
今回の山旅は、トンボと一緒だったと言っても過言じゃないです。
たろうも今日は三匹、レギュラーのネイビー、ブラウン、ピンクでお届けしております。
喜んでいるみたいです。先を急ぎましょう。
ところでニッコウキスゲですが、しぼんでいる花も多く見られるのは開花しても翌日にはしぼんでしまう一日花だからだそうです。美しさは一瞬、佳人薄命ということですね。
そうそう、ニッコウキスゲというのは通称で、「ゼンテイカ」が本来の名前だそうです。ニッコウキスゲを見るなら日光と意気込んできましたが、そもそも日光の固有種ではないんですね。
そんな花咲く高原風景に、つい何度も振り返ってしまいます。そんな悠長で大丈夫か?大丈夫だ、問題ない。
さて、いよいよなだらかな階段もその様子が変わり、山頂までグンと標高を上げていくようです。どれ…?
ぎゃあ!(ノ)゚Д゚(ヽ)
階段の途中に設置されている展望デッキからはこの景色。待ち受ける頂上を見上げれば疲れも吹き飛ぶはずです。この青空、雲、そして一面の緑とニッコウキスゲ。最高です。
しかし、この雲が、後の女峰山への道のりの中で重要な鍵となってくるのですが…この時のぼくは知る由もなし(笑)
お!ここで1,000段の大台に突入です!写真は撮りませんでしたが、何段ごとに階段が応援してくれるのは嬉しい気遣いです。
展望デッキでは風景の他にも、ここまでたどり着いた人たちの会話が面白い。まだまだ余裕という人もいれば、バテバテの人もいたり。日頃の運動不足がたたったというお父さんもいれば、元気なお子さんは目を輝かせています。
頂上には展望台があり、霧降高原が見渡せます。見える景色は正直なところ今までの展望デッキとあまり変わりませんが、ここまで登ったという達成感がより一層感動を深めてくれます。
ニッコウキスゲを照らしてくれた太陽を仰ぎ見、感謝とともにこれより先の登山道へ歩みを進めます。まだまだ始まったばかりですが、頑張るぞ!
この青空よ続いてくれー!
どうして…?
一転して雲の中、目指すは赤薙山
青空の霧降高原を抜けると、絶望の雲の中へ。獣避けの回転ドアの向こうは、今までの風景と一転してガッツリ登山道っぽい…
これより先の赤薙山(あかなぎやま)への期待も膨らみますが、膨らんできたのは今までの青空をかき消すほどの雲でした。 日の光を覆い尽くす雲、先に進むか否かの迷いは、まさに目の前の雲霧そのものか。どうするネイビー!
「こっから先に行くの?女峰山?!若いねえ!」とおじいさん。
進行方向の稜線がはっきりと見えますが、その先が雲で見えないというのが不安を煽ります。まるで、RPGでボスに挑む前のようなシチュエーションです。
小丸山(こまるやま)の山頂は標高1601m。ということは、女峰山まであと800mくらい?と安易に思ってはいけません。容赦ないアップダウンが襲いかかりますので、すんなりとはいかなさそうです。
女峰山までの道のりは、そのアクセス難からあまり人が多くないという情報でしたが、意外にもたくさんの登山者で賑わっていました。ニッコウキスゲの開花シーズンだからかもしれません。
これは…クルマユリ?前を歩いていた人が写真を撮っていたので気づきました。
前を歩くハイカーさんが仰ぐ先…あれが赤薙山かな?
雲の動きも早いため、ふとした瞬間に道の全容が見えたりします。目の前の気持ちよさそうな稜線の先が赤薙山か…よーし!
なだらかな稜線歩きはここでいったん終わり、樹林帯の中へ。複雑に伸びた木の根っこを手すりにして、うんせうんせと登っていきます。
ここで先ほど前を歩いていたストローハットの登山者が引き返してきて、「もうすぐ2000mですよ!」と励ましてくれました。
赤薙山は標高2010mということで、2010年にはここを訪れた人も多かったことが予想されます。今年2017年は、雲取山がちょうど2017mというので、記念山頂標が設置されているそうですよ。
おや…?これは…確か何とかドウダン!他の方の登山ブログで見たベニサラサドウダン。これもツツジ科なんだそうです。
余談ですが、ドウダンツツジを漢字で書くと「満天星」って、厨二心をくすぐられますよね。
赤薙山で小休止します。この日は食料も水分も多めに持ってきているので、少しでも軽量化を。赤薙山の「赤」つながりで、ピンク、キミに決めた!
この文句で思い出しましたが、懐かしい初代ポケモン。ぼくは緑バージョンから始めました。
それと関係あるかわかりませんが、緑色が好きです。登山服も緑色で、ザックにはペットボトル2本を刺して、ザクⅢ改のような見た目です。バラでも咥えるか。そういえばてる坊も緑色だ(笑)偶然にも草が敬礼のようなポーズをしています。
前半の霧降高原を快晴にして力を使い果たしたのか、曇り空の今はお休みのようですね。さあ、休憩後も頑張るぞい!
変わる花模様、シャクナゲの群生地を歩く
赤薙山より先はなだらかな道が続きます。この道で足をタメながら女峰山の手前に待ち受ける急坂に備えましょう。 おや?足元がなんだか賑やかですね?
またまたベニサラサドウダン。ちょうど見頃過ぎくらいでしょうか。地面にたくさん落ちているところがあれば、それが目印にもなります。
なだらかな道が多いとはいえ、中にはロープのある箇所も。
登りきったところで、ハクサンシャクナゲを発見しました!このコースではニッコウキスゲと同時季にシャクナゲも見られるという、嬉しい発見でした。
花の発見で山旅は明るくなりますが、登山道は怪しさを増していきます。
赤薙山から50分程で、奥社跡という広場に出ます。奥社というからには、以前は祠か何かがあったのでしょうか?
この奥社跡から先は、ハクサンシャクナゲの群生が続きます。濃い桃色のアズマシャクナゲとはまた違い、白地に薄っすらとピンクがかった姿がどこか儚げ。
奥社跡から続くシャクナゲロードは、なだらかですが道幅が狭い。何人かとすれ違いもあったので、注意が必要ですね。
程なくして、岩場に到達します。ここにヤハズという道標が立っており、晴天であれば、この岩稜から女峰山が見渡せるとのことなのですが…見えません。
ヤハズからも平坦な道が続き、独標と好展望の一里ヶ曽根(いちりがそね)に到達です!後ろを歩いていたパーティの会話に思わず笑ってしまいました。
「あそこ女峰山の山頂じゃないっすか?」「俺もそう思う」「一里ヶ…曽根、うわ~違うじゃん!」「やられましたね」
それな。
女峰山方面は、本来この一里ヶ曽根から捉えることができるそうですが、どうやら日光の母はスパルタお母さんのようです。 待てど暮らせど視界は悪くなる一方です。
女峰山と男体山は日光連山の夫婦的存在で、その子どもには太郎山(たろうさん)などがいます。つまり、たろうのお母さん?というわけで、連れてきたよたろうちゃん。
さて、女峰山を目指す前に最後の休憩を。今日は食料のバリエーションも豊かです。ウイダーinのチョコバーがあったので、冷やしながら持ってきました。パリパリで美味しい。
チョコバーを頬張っていると、少し雲が晴れてきた!?女峰山までとはいきませんが、この先の稜線が見えました。
希望の光も差してきたし、いざ進もうと前を見ると…ガレ場の斜面を登り返すようですね。 え?こんなに?
ママー!!!(ノ)゚Д゚(ヽ)
偉大なる日光連山の母、女峰山
あの恐ろしい急斜面を下りきったところで、「⇨水場」という嬉しい道標がありました。さながら、これから待ち受けるボスを倒す前の回復ポイントのようで、ちょっとした行列になっていました。
これが冷たくって美味しい!顔を洗うもよし、補給をするもよし。近場に座っていた男性も「よぉーし、回復したぞー!」と気持ちよさそう。
しばらくはなだらかな登山道が続き、周囲の景色も変わってきました。女峰山への道のりは、ピーク毎に景色が変わり、歩いていて飽きません。
この急坂が危険箇所です。左側が切れ落ちてますので、すれ違いになる時は手前で待ったほうがいいでしょう。
急坂を登りきると、女峰山からお隣、帝釈山(たいしゃくさん)までの稜線をついに捉えました!でもまだまだ遠いなぁ…
南アルプスの天然水改め、女峰山の天然水で体力を回復!キンキンに冷えてる水をがぶがぶ飲みたいところですが、山ではチビチビ飲んでいます。
これより先は、足元で健気に咲く黄色い花が目立ちました。調べるとミヤマダイコンソウのような気がします。
ロングコースとなるため、それほどの混雑はないだろうと予想した女峰山ですが、多くの登山者に出会いました。日本二百名山のブランドは伊達じゃないですね。
山頂付近で再びのハクサンシャクナゲ。ここまでの道中をずっと応援してくれていたので、一気に好きな花になりました。
ついに山頂標を捉え、目的地に迫ります。いよいよです…!
標高2483m!女峰山の山頂に辿り着きました!!ですが、トンボだらけでここでの休憩は厳しそうです。休憩するなら手前の祠のある広場が適しています。
しかし先客がいたので、帝釈山方面へ少し下ります。女峰山から帝釈山へは日帰り不可能なので、くれぐれも進まないように。
女峰山を見上げるたろうたち。たろうはお母さんを見て何を思う…?
いつもの表情ですよね。
いつの間にか濃霧、果てしなく続く下山路へ
休憩を終えて、再び女峰山山頂へ岩場を登ります。え、若干晴れてきている?
女峰山から下山ルートは、霧降高原へ戻るピストンコースか、唐沢小屋方面へ向かい二荒山神社へ下山するコースとあります。ニッコウキスゲをもう一度!という思いもありピストンにするか悩みましたが、予定通り唐沢小屋へ。
唐沢小屋方面へ進むと、いきなり第一の試練が。平たい石がガタガタに累積しているガレ場です。油断して足を乗せるとガクッ!と滑ってしまいます。
ガレ場は雲の影響もあり道がわかり辛いですが、目印が点々とあるのでそれを頼りにしていけば目的地へ到達できます。ぼくも無事に唐沢避難小屋へたどり着きました。
ちょっと怖いけど、中に入ってみましょう。綺麗な感じですね。
さあ、先へ進みたいところですが、水場への分岐がありますね。私、気になります!
小屋から水場までは急坂を10分とのこと。急坂ということは体力と相談です。ぐんぐんと下りていき、水音が聞こえてくればお待ちかねの水場です。どなたかの登山レポートでは女峰山の冷水なんて書かれていましたが、これがまた美味しい!
小屋から水場までの往復はどちらも正味10分でした。おや、これはイワカガミ!山梨の坪山(つぼやま)で見られなかった花がこんなところで。
恐怖のガレ場が、トラバースとなって再登場です。写真右奥の森の中へ続いているので、目印を見逃さないように進みます。
帰り道もハクサンシャクナゲ。この日は最後までシャクナゲに応援されました。
箱石金剛という道標に既視感を覚えます。そういえば、霧降高原でも焼石金剛という道標がありました。
霧の森を進んでいくと、笹原が見えてきました。これはぜひ青空と一緒に見たかった。ここで下山路で初めて前方にハイカーさんを発見!
ぼくは下り利用だからまだいいですが、確かに登りだと非常にタフなコースですよね。ところが、紅葉の時季にこのコースを登っている方の記録を見たら結構楽しそう。やっぱりこの霧のせいか?
霧がどんどん深まる中、黒岩という展望スポットに到着しました。天気であれば、ここから氷瀑で有名な雲竜渓谷(うんりゅうけいこく)が見られというから楽しみにしていましたが、もちろん何も見えません。
たろうたちもこの表情です。
辺りが火山地質になってきたところで、八風という謎の道標が見えました。何だろう…はちかぜ?やふう?
おそらく「八風(はっぷう)」が正しく、仏教用語のようです。人間が求める4つのできごとと、人間が避ける4つのできごとからなる、修行を妨げる8つのできごとを言うそうです。
八風を通り過ぎると、すぐ下にニッコウキスゲが。帰りもニッコウキスゲを見たかったなぁと思っていたので嬉しいです。八風に倣うならこれは人間が求めるできごとでしょう。しかし…
これより先、延々と続くこのクマザサ地獄は、人間が避けたいできごとでしょう。しかもこのササ、進むにつれて背丈を増していきます。腕を切らないように長袖でガード。
単調な一本道をどれほど歩いたのでしょうか。女峰山の金剛シリーズの最後、白樺金剛が見えてきました。この~金剛というのは、先ほどの八風も仏教に関連することから山岳信仰の名残りですかね。
しばらく歩いていくと、 ついに街が見えました!確かにこの道は秋に来たら気持ちよさそうです。
それにしてもこの草原、「ヴェロキラプトルの縄張りだ…!」という、映画『ロストワールド/ジュラシック・パーク』のワンシーンを彷彿させる道のりでした。ぼくはよく生き残れました。
ササの道を抜けて、少し道に変化が出てきました。カナカナカナというヒグラシの声に風情を感じるとともに、スギの樹林帯へ突入です。
大きな石碑が突然現れたら、ゴール地点はもう間近に迫ってます!
ここまで本当に長かった。霧降高原ではシカによるニッコウキスゲの食害が酷いという話を聞きましたが、シカよ、クマザサを食べてくれないか?
山頂からここまでの標高差はなんと1700mもあり、どうりで長いわけです。標高だけで計算すると、高尾山口駅から高尾山山頂までを4往復ほどとなり、それだけに達成感が溢れ出ました。
登山口からは二荒山神社境内の神苑の脇に繋がりました。せっかくなので神社見学もしようかと思いましたが、とにかくクタクタ。また今度にします。
神社近くにある日光カステラ本舗でお土産を買っていると、目の前までバスが来ていたので慌ててダッシュ!なんとか間に合い、駅まで戻ってくることができました。
帰りのお楽しみはこれですこれ。贅沢に特急電車を使っちゃいます!スペーシアかな?と思っていたら、新型に乗れることに!近未来的な外見の特急リバティ。なんかロボコップみたいで好き。
次の日光は太郎山かな?紅葉の白根山も気になるなぁ。いっそ日光湯元に一泊して、両方登れるなら登ってみたいなぁ。
行く度に好きになる日光エリア。早くも次の山をターゲッティングしているぼくに、ブラウンもどこか呆れているように見えました。