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なまけたろうと登山ブログ

【奥武蔵】ユガテ~大高取山 古の修験道と、名勝・越生梅林

毎年、杉林に突っ込んでいっては花粉症を患います。なぜ、人は同じ過ちを繰り返すのでしょうか?去年も同時期に奥多摩を訪れ、杉の登山道を歩き、翌日花粉症となりました。

しかし、これも春の訪れを祝う伝統行事のようなもの!今回は、奥武蔵の山上集落ユガテから、越生梅林(おごせばいりん)まで縦走し、早春の山旅を満喫してきた時のお話です。

 

どうも、スラ男です。

 

やはり2月末にきますね。花粉症覚悟はしていました。この時季に低山の樹林帯を歩けばどうなるか…今朝は目が真っ赤で鼻水地獄。辛い…あまりにも…

それでもぼくを奮い立たせたのは、という季節の花でした。

最終目的地を越生梅林に決め、越生よりはるか南、西武秩父線東吾野駅から梅林へ至るというロングコースにしちゃいました。

 

■ユガテ~大高取山(2017年2月26日) 目次

 

古道を抜けて、秘密の山上集落へ

到着した東吾野駅から、まずはユガテという場所を目指します。どうもぼくは「ユーシン」だとか「ユガテ」だとか、不思議な地名に魅力を感じるようです。 

最初の目印である福徳寺を目指して歩いていきます。早朝限定の景色、凍える植物とか、鯉の養殖場の看板とかに気をとられていたら、なんといきなりの道間違い! これは幸先のよくないスタートです。

ここが曲がる所です。駅からは随所に道標があるし、案内図もあったのになぁ。自身の気の緩みをピリッと引き締めます。

福徳寺に到着すると、境内からつながる古道・飛脚道を通っていきます。

この道は虎衆やまめクラブという飯能市の団体が色々と管理してくれているようです。こういうマイナーな道を整備してくれていることに感謝ですね。 

詳細な案内図も設置されていました。オマケに外国語対応までされています。意外とここを訪れる登山者が多いのでしょうか?

序盤は急登が続きますが、長くはなく、なだらかな道がほとんどです。

そういえば、先月の山旅に続き、またしても奥武蔵に来ています。この登山道の感じや匂い、どうやらぼくはこの山域が好きなよう。

一般に急な坂道のほうを男坂、緩やかな道を女坂という認識ですが、男坂方面は地図によれば秩父地方の好展望」とのことなので、迷わずそちらに。

飛び込んできたのは、雲一つない青空と、秩父地方の渋い山並み。いきなりの好展望で、気分は静かに盛り上がりを見せます!

右のほうに飛び出た三角の山、あれは武甲山(ぶこうさん)ですね。ついこのあいだ自分が行った山を別の場所から捉えるというのは、また別の感動があります。

ここは橋本山(はしもとやま)というピーク。最初に一息入れるにはうってつけのスポットではないでしょうか? 

ちなみに、山頂標識の上にいるのが今回のオトモたろう。

「きのこ園」と書かれた手製看板を過ぎ、山上集落ユガテに到着しました。

季節の花が眩しい、山の上にひっそりと佇む集落。「山上の桃源郷」「別天地」と称されている場所で、非常に興味をそそられました。

さて、ユガテから次に目指すのは越上山(おがみやま)です。道標の鎌北湖・エビガ坂方面に向かいます。 

ロウバイ、紅梅、白梅ときれいに入り乱れる景色は、今回のコースの最終地点である越生梅林への期待に拍車をかけます。

 

ユガテから越上山、入り乱れるルートを迷わずに

ユガテの民家の脇を歩いていき、ロウバイのトンネルを抜けた先で車道にぶつかります。いくつも道標があるので助かりますが、行く先々で多方面に分かれるため、地図で現在地を確認しながら歩いていきましょう。

鎌北湖・エビガ坂方面へ登山道を歩いていくと、再び車道を挟みます。薄暗い樹林帯を黙々と進んでいくと、分岐点に到達です。左が吾野駅右が鎌北湖とエビガ坂か…よーし。 

 

この道…違うぞ!

 

進むべき道はこちらではありません。 新しい道標の側に立てかけてあった「鎌北湖・エビガ坂」の道標に勘違い!鎌北湖の先がエビガ坂だと思ったけど、ここがエビガ坂でした。

再びエビガ坂まで戻ってきて、反対方向を目指します。

登山道にも段々と変化が見られました。岩が多くなってきたり、荒れた場所も出てきました。気をつけながら進んでいくと、また車道にぶつかります。人気スポットなのでしょうか?ランニングをしている人が非常に多かったです。 

車道を進んでいくと右手側に登山道が見えてきます。この分岐から鎌北湖へ行けたり、ユガテへも行けたりと、ルートは複雑を極めます。ぼくは真ん中の道、十二曲と書いてあるほうへと進んでいきます。 

しかし、道標には「マチガイ」と上書きされているのが気になります。地図を見てもマチガイとは思えませんが…果たして?とにかく進んでみましょう。

坂道を進んでいくと、小さなピークにたどり着きました。ここの道標は散乱しておりましたが、進む方向は「マチガイ」はなかったようです。

この先に、木々の伐採か何かにより丸裸になった箇所がありました。後で調べてみたら、おそらくここが地図上の「鉄塔」という場所で、以前は鉄塔が建っていた場所と思われますが…今はこの有様です。

丸裸になったことにより良好なパノラマが広がっていました。しかし、いきなり風通しがよくなったため、寒い寒い。

しばらく歩いていくと、ここでまた複雑な分岐にぶつかります。

このまま左斜めに抜けると車道に出ますが、目指すのは右斜めにある道です。小さいですが、足元に一本杉峠の道標がありますので見落としなく。

しばらく歩き、この道標はくるりと回り込むと「越上山」の文字にひと安心。

ところでこの越上山、ガイドブックでは展望がないと紹介されていますが…?

山頂手前の険しい岩場からは良好な展望が待っていました。これは寄り道の価値アリですね。

岩場の先にある山頂はこじんまりとしており、確かに展望はありませんが、休憩にはもってこい。ここまで結構な道のりだったけど、まだ半分も過ぎてないことに驚きです。

越上山で休憩して、この後はいよいよ伝説の残る峠の絶景に心が踊ります。

 

かつて義経が何度も振り返ったという、絶景の顔振峠

さて、越上山から前回の分岐点まで戻ってきて、穏やかで心地よいひだまりの道を顔振峠目指して歩いていきます。

こういう遊びのある看板も素敵です。同じように、スカイツリーが完成してからできた案内板は、あちこちにあるのでしょうね。

余談ですが、ぼくはこの手の看板からスカイツリーが見えた試しがありません。

広場の先には諏訪神社があり、ここで大勢のハイカーが休憩していました。トイレがあるのが嬉しいですね。

ゴール地点の梅が待ちきれないわけではないですが、きれいに咲いている梅と青空がきれいです。花見に行くと曇り率が高いので、嬉しい限り。 

諏訪神社から先で珍しい看板を見つけました。山の中ではめったにない、イタリアンのお店かぁ。気になりますね。

舗装路をそのまま歩いていけば、顔振峠(かあぶりとうげ)に到着です。車も多く通っていたり、ハイカーさんたちも続々やってきました。 

この顔振峠には、かつて源義経(みなもとのよしつね)武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)が、その展望の素晴らしさに何度も顔を振り返り眺めたという伝説が残っています。

 

平九郎茶屋さんのテラス席は、この展望が自慢です!右端の武甲山から、秩父の山並みが続いていきます。1月にぼくが歩いたコースも確認でき、何だか感慨深いですねぇ。

なかなか気づきませんでしたが、富士山が見えていました!

ところで、この顔振峠ですが、その読み方は色々あるそうです。「こうぶりとうげ」だったり「かおぶりとうげ」だったり。

小休止を終え、ここからは現在地である奥武蔵グリーンラインをさらに進んでいき、越生の名所、黒山三滝を目指していきます。

新緑や紅葉の季節こそ黒山三滝が一番賑わう季節なのかもしれませんが、こういう外しの時季だと混雑を回避できます。どっちがいいのかは悩みどころ。 

ここですれ違った単独の奥様が、「こっち側から来たけど、結構疲れるよ~!おまけに人っ子一人いなくて怖かったよ(笑)」と、お話ししていました。

先ほどの分岐から黒山三滝へは、傘杉峠(かさすぎとうげ)に向かってもたどり着けますが、今回はこちらの役の行者(えんのぎょうじゃ)に進みました。

広場には森を見守る石像がズラリ。なんだか、儀式や呪文でも唱えれば何かを呼び出せそう。もうちょっと緑が増えたら、さらにいい雰囲気が出ると想像が膨らみますね。 

山登りの大先輩、と表現していいのかどうか…?優しく厳しい眼差しで、森と登山者を見てきたのでしょう。  

自分が下ってきた道を振り返ると、なるほど。確かに先ほどの奥様が仰っていたとおり、このダラダラ続く坂道は登りだと厳しそう。 

さあ、下っていくと水の音が聞こえてきました。黒山三滝はもうすぐです。

 

古の修験道を抜け、黒山三滝へ

傘杉峠へと繋がる分岐点までやってきたら、すぐ近くに黒山三滝の道標がありました。そこには、男滝・女滝天狗滝と分かれており、これらの滝を総称して黒山三滝と呼ぶそうです。

まずは一番落差のある天狗滝から見に行ってみましょう。写真を撮った地点より先は、「危険箇所」として注意が促されていたのでここまで。水の勢いはそれほどないですが、足元から見上げる滝は見応えがあります。

天狗滝を見たら、男滝・女滝方面へ戻っていきます。パンフレットなどにも載っている赤い橋が目印なので、すぐにわかりますよ。

手前にある小さいな落差の滝が、女滝。いわゆるマイナスイオンがでているのか、ひんやりしていて気持ちよかったです。

そして、こちらが男滝。滝壺付近に虹が出ていました!そのせいか、男滝が一番人だかりがありました。カメラマンもスパイダーマンばりの体勢で好アングルを探していました。

黒山三滝に対抗じゃないけど、三たろうはどうだ!どうでも…ないか!

黒山三滝の出口方面に向かうと、何やらいい匂いが。


ぼくの大好物じゃ、あーりませんか。


ちなみに、手前がニジマスで、奥はイワナ。ヤマメも含めた川魚の見分け方については最近勉強しました。味の見分けもつくといいんだけど…目指せ、川魚ソムリエ。ギョムリエ

いやもうホント、大好きなんですよ、川魚。特にニジマス。子どもの時にキャンプ場で食べて以来ずーっと好きですね。食べる機会こそあまりないけど、見つけたらついつい食べてしまいます。

さて、一休みの後は、出口の黒山バス停まで歩いていきましょう。

今回のコース選びの時、当初はこの黒山鉱泉をゴールにして、温泉でゆったりしてからバスで越生梅林へ…なんて思っていたのですが、残念ながら、2017年現在、黒山鉱泉館は閉館しておりました

ということで、もうひと歩きしちゃおうか!となったわけです。

それにしても、外しの時季と思ったのですが、黒山三滝への観光客が結構多かったことに驚きです。車もたくさん停まっており、待ちも出ていました。

黒山バス停からはこの川越観光バスに乗って越生梅林ないし、越生駅まで行くのももちろんアリだと思います。そこは時間や体力と相談で…

これから目指すのは、顔振峠の道中でも何回も目にした桂木観音(かつらぎかんのん)です。そこから大高取山を抜けて、越生梅林へと行きますよ~!

 

大展望を誇る越生里山、大高取山へ

地味ですが勾配のある林道を歩いていくと、途中でこんな道標が見えてきます。この奥に進めば、いよいよ桂木観音へ向かうルートとなります。

桂木観音から色んなコースにアクセスできることに驚きます。道標を確認して左側の桂木観音を目指して歩いていきます。 

いったん車道に出ると、みかんのような果実がなっています。

どうやらこれは、毛呂山町の特産品のゆずでした。近くには桂木のタブノキ林」という埼玉県の天然記念物もあったようです。ちゃんと見ればよかったなぁ。 

車道を道なりに歩いていけば、桂木観音に到着です。目の前に展望台が! この展望台で初めてスカイツリーを捉えることができました。すごい! 

桂木観音は無人ではありますが、立派なお寺です。建物の右側に登山道があり、大高取山を通過して越生町に繋がるコースがあります。この道で老若男女問わずハイカーがグッと増えましたね。 

登山道は狭いので、前に渋滞ができていると詰まってしまいます。前を歩くシニアハイカーさんの列は、まるで貨物列車のようにズラっと並んでいましたが、最後尾のおばあちゃんが「きゅうこうきますよー!」と号令を出してくれました。

「きゅうこう」…?ああ!「急行」か!では、ありがたく通らせてもらいます。…って、50人くらいの列だったけど、何かのイベントだったのかな…?

そうそう、大高取山に来たなら外せない絶景ポイントがあるのです。 それがこちらの幕岩(まくいわ)への分岐。

分岐からほどなくして、幕岩展望台に到着です。情報どおりの好展望で、先客がたくさんいました。 

幕岩から来た道を戻って、大高取山(おおたかとりやま)に到着です。あれ?山頂は展望なしとのことでしたが、山頂は木が伐採されており一部開けていました。 

下山の途中、先ほどの50人くらいの団体さんの渋滞に捕まりました。また最後尾のおばあちゃんが気づいてくれて、「さっきのお兄さんだわ、みなさ~ん、特急きましたよ~!」とありがたい号令が。

ん…?「特急」にグレードアップ!?お邪魔にならないように一気に抜けます。10人程度のパーティならまだしも、一体何人いたんでしょうか?そして、何の会だったのでしょう?

こうして登山道を抜けて、越生の町並みが見えてきたと同時に見頃の梅林が!! 

越生梅林へ入る前に、近くの梅園神社で下山報告をば。今回の旅路の、最後のセーブポイントとでもいいますか。

関東三大梅林の一つに数えられる、越生町が誇るこちらの梅林。さぞ有名なところなのだろうと思って周りに聞いても、あまり知らないという回答が多くて肩透かし。

ですが、これを機にぜひ知ってほしい素敵な場所なのです。

 

見上げれば梅、足元にはフクジュソウ、梅花繚乱の越生梅林

見頃としては、2月末は最盛期よりもちょっと早めとなりますが、地元のおばあちゃんによると、最盛期の混み合いはこの日の比じゃないそうです。

じっくり見たかったのもあるので、逆に早く来てよかった。のぼりには越生町のマスコットキャラ、うめりんがデザインされています。 

この時季のみの入園料300円を支払って園内に入ると、いきなり目の前に梅の枝が飛び込んできます。あ、物理的な意味じゃなくて…目線の位置にポツポツと梅が咲いているので、梅のトンネルをくぐっているよう。 

土日祝のみミニSLが運行していますよ。子どもは観梅よりもSLに夢中でした。「え~!また~!?」などという親御さんの声とともに、長蛇の列がミニSLの人気を物語っていました。

梅だけじゃなく、足元にはフクジュソウが咲いていました。黄色い花があると、南房総じゃないけど一気に春めきますね。 

フクジュソウと梅の共演です。花があると行きたい山の選択肢も増えるなぁ… 

この日は埼玉県各地のゆるキャラが大集合するイベントの日で、ちょうどその時間に当たりました。あ、左端のは道中何度か目にしたもろ丸くんです。 

イベントブース近くの梅は、必然的に人が集まるからか満開でした。この日は午後から曇り空になる予定で、確かにだんだんと空の青みが雲に覆われていきました。

何度か道間違いもあり、どうなることかと思ったけど…この時間に下りてこられてよかったとひと安心です。 

あ、うめりんがいましたよ。うめりん、丸っこくて可愛いですね。この後ゆるきゃらとの写真撮影会がありましたが、やはりうめりんが一番人気でした。

ピンク、白のほかにも黄色もありました。ロウバイですね。漢字では蝋梅ですが、実は梅ではありません。「この黄色いのも梅なの~?違くない~?」と誰かも言っていました。 

さて…満を持してといいますか、梅に合わせてもってきましたぶさいく。いつになくしたり顔です。梅、桜の時季はピンクのたろうの独擅場でしょうか。 

ピラルク、きばみも緊急参戦! これを待ってた。

蜂がやってきました。花あるところに虫あり、コレは無視できませんね~。 

梅林内には屋台村もありました。本当ならあれもこれも食べたいけど。

梅湯が無料で配布されていたので、いただきました。中では金粉がゆらめいており、きれいなのはもちろん、香りよし、味よしでホッと温まります。梅昆布茶に近い味ですな…

園内の展望台からは梅林が一望できます。素敵です。俳句やフォトコンテストなどのイベントも行われており、特産品の販売もしておりました。お土産は梅か、ゆずか。迷うところ…

さて、越生梅林を楽しんだ後は、体中にまとわりついた花粉を洗い流すべく、温泉に行かなければなりません。

越生ハイキングをするなら、ゆうパークおごせ」が便利かもしれませんが、あいにく梅林方面とは反対方向です。ということで、やってきたのはこちら、ニューサンピア埼玉おごせ」。梅林からちょっと距離がありますが、日帰り入浴が可能で、越生駅までのバスも出ています。

ぬるめではありますが、露天もあってゆったりと疲れをとることができ最高です。帰りのバス停でお話しした越生在住のおばあちゃんから、美味しい梅の食べ方や別の季節の越生の見どころとか色々教えてもらいました。

今回の山旅はすごい長い距離を歩きましたが、どこも見応えがたっぷりあって楽しかった。いつかまた季節とコースを変えて訪れたいですね。などと、すっかり奥武蔵の山旅にハマってしまっています。